「フランダースの犬」は、日本では1975年に人気テレビアニメとして放映され、その後もテレビや映画で何度も放映されています。
英語の原題は「A Dog of Flanders」とされ、「パトラッシュ」という名の犬が登場します。
しかし、この「フランダースの犬」に登場する犬の種類は、実ははっきりわかっていないのです。
「パトラッシュ」については原作の挿絵や描写とアニメの絵が違うため、とくに日本では「フランダースの犬」の種類が何であるかの結論は出されていないのです。
ここでは「パトラッシュ」の犬種についての3つの説をご紹介します。
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「フランダースの犬」とは?
このまま寝たらフランダースの犬みたいにならないかなこういう感じで pic.twitter.com/Cr074lf7rk
— とにかく明るい横原 (@114514inushima) November 11, 2023
イギリスの作家ウィーダが1872年に出版した児童向け文学で、貧しい暮らしの中で画家を目指す少年と、少年が保護した犬との友情が描かれています。
舞台はフランドル(フランダース地方、今のベルギー)のアントワープに近い小さな農村で、
寝たきりの祖父と暮らす貧しいネロという少年が、こき使われて捨てられた金物屋の犬を保護して、お祖父さんの世話をしながら、その犬パトラッシュとともにけなげに暮らします。
しかし、その最後は世間から見捨てられた少年と犬が、クリスマス・イブに教会で抱き合いながら凍死してしまうという、とても悲しい結末を迎えるお話です。
フランダースの犬のあらすじ
「フランダースの犬」の結末って覚えていますか?教会で絵画を見ながらネロがパトラッシュと天に召されるシーン……その教会がアントワープの聖母大聖堂。ネロが最期に見ていたルーベンスの絵画です。 pic.twitter.com/9pWzFGaqSl
— だいご@Bucket List Planner (@Daigo_1972) October 16, 2023
ネロは飼い犬パトラッシュとミルク運びの仕事をしながら画家を目指し、アントワープの聖母大聖堂にあるルーベンスの絵に憧れながらも、高い観覧料を払えず観ることができませんでした。
やがて、ネロは村で起こった火事の犯人との濡れ衣を着せられ、ミルク運びの仕事も大手業者に奪われ、優しかった祖父を亡くしてクリスマスの前日に住んでいた小屋を追い出されてしまいます。
画家になる望みをかけたコンクールにも落選し、吹雪の中を大聖堂にたどり着き、力が尽きたところにパトラッシュが駆け寄って来ましたが、その場で動けなくなりました。
そしてどちらも凍えて息を引き取ろうとしたその時、雲間から月の光がルーベンスの絵を照らし出したのです。
ネロは、最後にルーベンスの絵を観たいという願いを叶えてくれた神様に感謝しながら、パトラッシュと一緒に天国へ召されます。
ネロとパトラッシュはしっかり抱き合ったまま、ネロに辛く当たったことを悔いる村人たちによって、お祖父さんのお墓に一緒に埋葬されたのでした。
フランダースの犬のパトラッシュの犬種についての考察
きになって調べたらフランダースの犬のパトラッシュはセント・バーナードじゃなくてブーヴィエ・デ・フランドルって犬種が元になってるらしいが、
原作の挿絵がベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアにも似てるという話もチラホラ… pic.twitter.com/gEH18QdH7I— 社畜柱🍑🐱そにゃ (@soniyan77) July 8, 2014
ウィーダの原作でパトラッシュを紹介する描写では「全体に黄色や褐色の毛色で、がっしりとした立ち耳の大型犬」とされていますが、日本のアニメでは同じ立ち耳でも白と茶色のぶち柄です。
これについてはさまざまな理由が語られていますが、このことによって日本では「パトラッシュは何犬なのか?」と論争を呼ぶことになりました。
パトラッシュのモデルについて、日本ではこれまでに3種のワンちゃんが候補に挙げられています。
「ブーヴィエ・デ・フランドル」説
ブーヴィエ・デ・フランドルってこういうイッヌか。 “機敏に動けるすばらしい運動力と、粘り強い忍耐力を兼ね備えています。……また、軽快かつ大胆な足取りで誇らしげに歩きます。” 誇らしげに? pic.twitter.com/tA0aj1c07S
— 小山田浩史 (@magonia00) July 23, 2016
ベルギー原産で、物語の舞台となったフランドル地方で16世紀ごろから牧羊犬として活躍していました。
物語の地元ベルギーに建てられているパトラッシュ像は、固くパーマがかかった長い黒い被毛を持つこのワンちゃんがモデルとされていて、そのことから最有力候補とされています。
体高65cm前後、体重38kg前後の大型犬で、とても賢いだけでなく、性格は温厚で優しく飼い主に忠実とされ、最期までネロから離れなかったパトラッシュのモデルに相応しいワンちゃんです。
「ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア」説
ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア飼いたい pic.twitter.com/NibzVEsUFC
— ゆうた (@WolfPirlo21) September 18, 2016
ベルジアン・シェパードもベルギー原産の牧羊犬で、4種類に分類されています。
その中でもこのマリノアは「立ち耳」で、毛色がフォーン(黄金色)やマホガニー(赤栗色)などであることから、原作のパトラッシュに近いとされてモデルとして有力視されています。
名前の通りシェパードに似た容姿で、高い運動能力があり警察犬や軍用犬に向いています。
「セント・バーナード」説
セント・バーナードにサングラスさせて「タクヤ」って名前つけてる奴いそう pic.twitter.com/X1Q19RlVbJ
— 🍢ク 口 ウ🍢 (@okitaorutaSan) June 22, 2023
日本でフランダースの犬をアニメ化する際に、原作にある「フランダース産の大型の労働犬」の写真を見た監督さんが、「日本にはいない犬種なのでイメージが違う」と感じたそうです。
そこで日本の子供たちが馴染みやすいようにと、優しくおとなしいイメージで知られているセント・バーナードや、日本の代表的な犬種の柴犬などを参考にデザインしたとされています。
そのためアニメのパトラッシュは、立ち耳でセント・バーナードみたいな毛色になったのでした。
ベルギーでフランダースの犬は有名じゃないってホント?
!!
『フランダースの犬』がアントワープでここまで知名度を上げていて胸熱。子供の頃、ベルギーでは誰もネロとパトラッシュのことを知らなくて、学校の友達に「もう疲れたよパトラッシュ…」まで物語ったら感動された思い出。日本人観光客が続々と訪れたおかげ、つまりは日本アニメーションのおかげ https://t.co/7lDsE2iLqv— Tuscan Blue (@tuscanblue2015) October 9, 2023
フランダースの犬がイギリス人の作家が書いた事はご紹介しましたが、この物語は当然ですが英語で書かれていて、公用語がオランダ語のベルギーではほとんど知られていませんでした。
この物語がオランダ語に翻訳されたのはつい最近で、日本でアニメ化されて有名になったことについてベルギー人は不思議に感じていたぞうです。
また日本ではネロが10歳の設定でしたが、原作では15歳であったため、児童文学としては主人公の年齢が高かったことも広まらなかった理由ではないかと言われています。
フランダースの犬のパトラッシュが好き!犬の種類はなんだろう?まとめ
久々日光浴ができて気持ちいいらしい。
しかし、フランダースの犬最終話っぽい…… pic.twitter.com/ItU8ylBzio— はるか (@maguritto) November 13, 2023
ここでご紹介したようにフランダースの犬、パトラッシュの種類が何であるかは定説がありません。
それでもベルギーでは日本人観光客からの問い合わせが多いことから、国内フランドル地方のアントフェルペンという街にネロとパトラッシュの像が建てられています。
ちなみにその「フランダースの犬」のパトラッシュ像のモデルとされている犬の種類は、「ブーヴィエ・デ・フランドル」だということです。