犬がパテラにかかった!?症状や手術費用、先天性?治るの?

犬 パテラ
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犬の病気ってたくさんありますよね。

飼い主さんも愛犬もできれば生涯関わりたく病気の数々・・・

今回は【パテラ】という病気についてお伝えしていきますが、まだ診断されていなくても知っているだけで愛犬のちょっとした変化に気付けたり、病気にかかるリスクを減らせたりするものです。

パテラにかかりやすい犬種から病気にかからない為の予防策まで実用的な内容が盛りだくさんなので、『うちの子は大丈夫!』と思っている方もぜひ一読してみてくださいね。

 

犬がパテラになる原因と症状・予防策も公開!

そもそもパテラなんてあまり聞きなれないネーミングですが、一体どんな病気なのでしょうか?

体の小さな犬が発症しやすい病気で、かかってしまうと今後の犬の人生に大きな影響をもたらします。

まずはパテラの原因や症状について説明していきます。

 

パテラになると犬はどうなる?

パテラとは『Patellar Luxation』を略した言葉で、日本語に訳すと『膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)』、簡単に言うと『脱臼』です。

脱臼というと『外れた骨を元に戻せば元通り!』『痛いけど元に戻れば即痛みもなくなる!』ってイメージがありませんか?

パテラの場合は残念ながらそんなに単純なものではありません。

人間も犬も歩く度に膝が曲がりますよね?

膝を曲げて元の状態に戻る時に膝蓋骨と呼ばれる膝のお皿の部分が収まるスペースがあり、通常であればこの溝にすっぽりと収まりますが、ズレて収まらなくなってしまいます。

膝蓋骨が体の内側にズレていれば『膝蓋骨内方脱臼』、外側であれば『膝蓋骨外方脱臼』と呼ばれ、初期の状態では大きな痛みがある訳でもなく症状が現れないこともあります。

膝蓋骨は太ももの骨の筋肉と、靭帯でスネの骨と繋がっている為、症状がないからといってそのまま放っておくと関節や靭帯が傷つき痛みが出たり、悪化すると骨が変形してしまったりします。

初期段階ではなかなか気付きづらいかもしれませんが、犬にとって歩いたり飛び跳ねたりすることは日常茶飯事。

重症化する前の段階で痛そうにしていたり歩き方がおかしかったりと必ず飼い主さんでも気付けるポイントがあるので、不自然なサインを見逃さない様、日ごろから目をかけていてあげましょう。

 

パテラになる原因は先天性?

パテラが発症する要因として先天性・後天性2つの理由があります。

 先天性(=生まれつき)

先天性の要因については詳しく解明されていない部分も多いのですが、生まれながらにして膝蓋骨を支える靱帯が弱かったり膝関節周辺の形成不全などがあります。

特に後ろ足に症状が出やすく、生まれつき骨の形が曲がって膝蓋骨が外れやすくなっているうえに成長して行く過程で筋肉や靭帯など膝蓋骨を支える組織も弱くなりバランスが取れなくなることもあります。

 後天性 (=外傷性)

子犬のうちは好奇心旺盛なので成犬がなかなかしないような可愛らしい仕草や遊び方をするもので、見ているだけで微笑んでしまいますよね。

テーブルやソファーの上から元気いっぱいに飛び降りたり、急にゴロンと転がったりしがちですが、飛び降りてうまく着地できなかったり、思わぬ場所に過度な負担がかかってしまい、それが元で発症しまうケースも。

ふだんとはちがう『キャン!』と甲高い声で悲鳴のようにないたり、びっこするそぶりなどがあったら要注意です。

 

パテラになりやすい犬種

  • トイプードル
  • チワワ
  • ヨークシャテリア
  • ポメラニアン
  • マルチーズ
  • パピヨン
  • 柴犬
  • ゴールデンレトリーバー
  • バーニーズマウンテンドッグ

 

比較的小型犬が発症しやすいと言われていますが、『膝蓋骨外方脱臼』に関しては小型犬よりも大型犬の方がかかりやすく、性別で見てみるとオスに比べメスの方が1.5倍も発症しやすい傾向にあります。

 

犬がパテラにならない為に

先天的な理由が原因の場合は防げませんが、後天性のパテラについては日頃の心掻け次第で予防することができます。

動物病院のお医者さんたちがパテラにかかる犬がこれ以上増えないようにと飼い主さんができるケアの仕方や対策をおすすめしてくれています。

【1】床をすべりにくくすること 

先ほどパテラの要因として高い所から元気いっぱいに飛び降りたりする危険性をあげましたが、フローリングなど床がすべりやすいと高い所から落ちなくてもくるっと方向転換した場合などでも踏ん張りが効かず膝に負担がかかってしまいます。

フローリングをやめてカーペットやすべり止めマットなどを敷いてあげることで、日常的に発生しやすい事故からのリスクを減らすことができます。

【2】太らせすぎない 

これは人間でも同じことが言えますが、太りすぎると足腰にかかる負担が必然的に大きくなります。

立っているだけでも負担がかかってしまいますが、高い所から飛び降りた時には標準体重の犬と比べ何倍もの負荷が膝にかかってしまうので、おやつの与えすぎなど体重の管理には充分気を付けましょう。

【3】後ろ足の筋肉を鍛える 

  1. 愛犬の後ろ足の膝を片方ずつ手で包み込むように押さえながら優しく曲げたり伸ばしたりを1日5分以上・100回を限度に行いましょう。
  2. 次に太ももの内側の筋肉を指の腹でやさしくほぐす様に30秒ほどマッサージすることで血行がよくなり筋肉の凝りがほぐれます。

この2ステップだけ!

YouTubeなどで動画もあがっているので要チェック。

専門的な器具も必要なく誰でも簡単にできますし、『マッサージしようね~』と愛犬に声掛けしながら行えばコミュニケーションも築けますので積極的に挑戦してみてくださいね。

先天性の場合は症状が悪化しないよう日々変化がないか注意深く見守ってあげ、定期的に健康診断を受けましょう。

特に生後3~12ヶ月の成長期は体の変化も大きく、急に容態が悪化する場合があるのでより一層注意が必要です。

 

犬がパテラにかかった時の手術費用や完治の有無

実際に犬がパテラにかかってしまった場合はどのような治療が行われ、手術にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

またパテラは一度かかってしまうと完治することはあるのでしょうか?

治療法に関しては獣医や飼い主さんの考え方次第で様々な意見があると思いますが、今後の愛犬の人生にダイレクトに関わってくることなので、後から後悔することのない様しっかりと納得いくまで検討しましょう。

 

治療方法や手術の費用ってどれくらい?

まずパテラが疑われたら、きちんと歩けるか早歩きの様子などを観察し歩き方や体重のかかり方のバランスを確認し、触診やX線のレントゲン検査をした上でパテラと診断された場合は治療のステップに移行します。

治療は基本的に内科的治療と外科的治療の2種類。

どちらにするかは飼い主さん都合ももちろんあるとは思いますが、基本的には愛犬の種類や年齢、体重、パテラがどれくらい進行しているかのグレードによっても変わってきます。

 内科的治療 

サプリメント、内服薬、半導体レーザー治療で入院することなく治療をする。

痛み止めを飲んで安静な生活を送る様になりますが、しばらく様子をみても改善の見込みがなく悪化してしまう場合には手術をする流れになることもあります。

 外科的治療 (=手術) 

『骨組織の再建術』や『軟部組織の再建術』と呼ばれる手術をする。

通院だけで済む場合もあれば2、3日~2週間ほど入院するケースもあります。

入院をする場合の治療費は病院によっても変わってきますが、2週間の入院となると40万円前後と高額な治療費がかかってしまうこともしばしば。

 

手術しなくても完治するの?

できれば愛犬の為にも入院や手術は極力避けたいですよね。

内科的治療の場合は鎮痛剤や炎症を止める薬を内服したりレーザーを当てることによって一時的に症状をやわらげる処置となりますが、薬やレーザーだけで膝関節や関節周囲の構造そのものが改善することはないので、手術をすることなく完治するということは残念ながらありません。

パテラの進行グレードが低いという条件に加え、高齢であったり、他に手術をすることでのリスクが高い場合には内科的治療が選択されますが、あくまで一時的 = 現状維持の為の処置と捉えておきましょう。

手術をして根本から改善しないとパテラの足をかばって反対側の足も発症してしまったり、ヘルニアになってしまうという事態に繋がりかねないので慎重な選択が必要です。

手術をせずにリハビリをする場合にはコンドロイチンなどが配合されたパテラ用のサプリやサポーターなどをじょうずに活用しながら、日々の生活では足に負担がかかるリスクを極力減らして生活しましょう。

 

愛犬がパテラにかかったら まとめ

 

パテラはあまり聞きなれない病名ですが、案外よく診断される病気のひとつです。

後天性のパテラに関しては予防することができますし、先天性であったとしても重症化するリスクを下げることもできます。

愛犬にとって食べることやお散歩、飼い主さんと元気いっぱい走り回って遊ぶことは生活の中でとても大きな割合を占め、ストレス解消にもなります。

愛犬が歩けなくなってしまうリスクを少しでも減らしてあげるよう努めるのは飼い主さんとして当然の責任ですよね。

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