白米と違って玄米は栄養豊富でヘルシーなことから、女性だけでなく男性にも中心に人気を集めています。
そんな玄米は、実は犬が食べても大丈夫な食材。
お通じや、体の健康にとっても素晴らしい食べ物になります。
ただし、与え方や成分、消化の問題など、注意すべき点は何点かあります。
知っていましたか?犬によっては玄米適した調理方法や、食べ合わせなどで効能や成分も変わってきてしまうのです。
今回は、オススメの調理方法や成分的なお話もしていきます。
【専門家監修】応武 梓
Contents
玄米を犬に与える時に気をつけることは?
ご存知のとおり、玄米には食物繊維がかなり豊富に含まれています。
そのため人間としてはお通じにも効果的であり、健康や美容にも人気が高いもの。
ですが、犬にとっては食べ方によっては消化しにくい食べ物です。
普通に炊いた玄米だと、硬くパサパサしているため、犬にとって消化に良いとは言えません。
愛犬に玄米を食べさせる時のオススメの与え方としては、多めの水でじっくり柔らかく煮て、優しいお粥にしたり、フードプロセッサーなどで玄米をペースト状にしたり、消化しやすいように工夫してあげると良いでしょう。
また、犬の体のしくみではお米を消化するのが実はあまり高機能ではありません。
なので、一度にたくさんの玄米をあげてしまうと、消化不良を起こす可能性があります。
玄米が引き起こすよくない症状は?
普段から下痢をしやすいワンちゃんには多く与えることは辞めておきましょうね。
さらに、ワンちゃんの中には「玄米アレルギー」を持っている子もいるので、経過観察も忘れずに。
玄米デビューをさせる際は、少量からスタートさせましょう。
食べさせたあとに、下痢や嘔吐・皮膚をかゆがる・目の充血が見られるなどのアレルギー症状が現れた場合は、与えるのを中止し、すぐにかかりつけの獣医師に相談するようにしてください。
また、同じ玄米でも「玄米茶」は絶対に与えないようにしてください。
玄米茶は、玄米と茶葉を混ぜたもの。
玄米自体には問題がありませんが、お茶を作る際の茶葉にはワンちゃんにとってあまりよくない成分としてカフェインが含まれています。
これをたくさん摂取することによりカフェイン中毒を起こす危険性があります。
玄米に含まれる成分とは?
ここで、玄米に含まれる代表的な成分をひとつひとつご紹介していきますね。
カリウム
カリウムはミネラルの一つ。
細胞内の浸透圧を維持や、細胞の活性を維持したりする役割があり、体内の不要なナトリウムを排出する効果があります。
疲労回復にも効果的で、欠乏すると「低カリウム血症」を発症することも。
とても大事な成分であることに間違いありませんが、過剰に摂取すること「高カリウム血症」の原因にもなるので、注意が必要。
マグネシウム
マグネシウムは、体の中におよそ300以上もある酵素の働きを助けるミネラルの一部です。
これらが不足してしますと、食欲不振になったり、下してしまう場合もあるのです。
これは犬も人間でも一緒なんです。
リン
これは歯や骨を丈夫に保ったり、神経や筋肉を正常に保つ効果があります。
一方で、過剰に摂取すると結石ができやすくなったり腎疾患のもとになったりします。
食物繊維
食物繊維には、「水溶性」と「不溶性」の2種類ががあります。
水溶性食物繊維には、血中のコレステロールを下げたり免疫力を上げてくれたりする効果があり、「不溶性」の食物繊維は腸の中で膨らむため、便秘改善や大腸がんの予防に効果的です。
ただし、こちらも過剰摂取すると下痢を引き起こす恐れがあります。
玄米には特に不溶性食物繊維が多く含まれており、便秘にとっても効果的なのです。
玄米を犬にあげるときの適した調理方法は?
ドッグフードや白米と比べると硬い玄米は柔らかくする必要があります。
まずは、軽く洗って12時間~ひと晩くらい浸水。
ザルに引き上げてよく水を切ってから、少量づつフライパンで乾煎りしてから炊くとかなり柔らかく美味しく炊きあがります。
ドッグフードなどの材料と煮込んでおじや状態にすればきれいに消化されたよいウンチが出でくれます。
もっと簡単な方法は、圧力鍋を使うと良いです。
早く簡単に、おいしくふっくらとしたワンちゃんのご飯が完成しますよ。
でも、もし胃腸の弱い犬や、玄米をあげるのが初めてという場合は、よく煮て粗熱をとったらミキサーやブレンダーで更に細かくしてあげると安心です。
玄米を食べると犬にはどんな良い点があるの?
玄米を食べるメリットは、「優れた炭水化物」であることがあげられます。
玄米は調理方法を間違えなければ、消化の良い炭水化物でおり、良質なエネルギー源となります。
また、「難消化性でんぷん」をたくさん含むことも玄米の良い点ともいえます。
こちらの成分は、犬の消化酵素のみではなかなか利用されることはない炭水化物ですが、腸内環境を良くする大切な成分です。
玄米は犬にとって健康になる食材のひとつ!
玄米は犬の腸内環境を整えることができる貴重な食材なのです。
血糖値が上がってしまうこと・栄養の偏りなどは、玄米でかなりの確率で補助することができます。
まず、玄米は血糖値があがりにくい食べ物なのです。
食物繊維が、炭水化物の吸収を遅らせてしまい、血糖値を上がることを穏やかにします。
さらに、米を削る工程がないために、炭水化物以外の栄養素も豊富に含んでいますよ。
玄米を食べるときの「デメリット」は犬にあるの?
実はここまで、安心安全として紹介してきた玄米にもデメリットは存在します。
玄米の構造は少し複雑で、ロウというもので覆われています。
これは玄米の「ボソボソ感」と「消化を悪くする原因」にも。
個体差や好みがありますが、ワンちゃんによっては白米と比べて玄米を食べることが嫌いな子も。
その原因はこのロウ部分にある場合がほとんど。
玄米を食べることで体によくない場合もある
このロウ部分には、残留農薬や重金属が含まれているとされており、こういった汚染物質は、長いスパンで見てみると犬の健康を害するリスクがあることが分かっています。
「無農薬玄米」などであっても、玄米が育つ環境や水がキレイな場所で作られたものでない限り、汚染物の影響を受けているので、かなり注意が必要です。
あとは栄養食品でもある玄米が、時には犬にとってあまりよくない結果になってしまうこともあることも説明していきます。
それは、「フィチン酸」と呼ばれるもの。
これは抗酸化作用を持つなど、少しの量であればメリットも大きい成分です。
ただし、体内にあるミネラルを吸着して対外に排出する力をもっており、過剰に摂取し続けることは犬にとってリスクになる可能性もある成分になるのです。
ですが、命に関わるものでもないので、そこまで神経質に気にすることでもありません。
オススメの玄米は?
実はデメリットを解消したお米があります。
「ロウカット玄米」などと呼ばれているお米も人気です。
この「ロウカット玄米」は、名前のとおり、玄米のロウ部分のみをカットしたお米です。
玄米は栄養面ではすごく優れているのですが、ワンちゃんにとってデメリットとなる要素があります。
そのロウ部分スライス加工したこの玄米は、ワンちゃんでも食べやすく、オススメできるお米と言えます。
ただし、発芽玄米は、「ロウ」部分を全て除去できているわけではないので、最も犬に好ましいのは「ロウカット玄米」と言えます。
オススメの与え方は?
玄米自体はとっても体に良いものですが、炊き方にも工夫が必要です。
実はお米を炊飯すると、不思議な変化が起こるのです。
でんぷんがα化になるという変化で、粘りのある「ノリ」のような状態になり、ワンちゃんの体内で玄米の「でんぷん」を消化しやすくする働きがあるのです。
つまり、柔らかく炊いたお米は、ワンちゃんの胃の中の消化を良くするというメリットがある一方で、腸内細菌への効果はあまり期待できないというデメリットが。
そこで、ワンちゃんにとって最もベストなお米の与え方は、「炊飯されていない米」と「炊飯したお米」をミックスするという方法が理想的。
配合バランスの目安は、生のお米を3~4割、炊飯した柔らかいお米が6~7割程が適量になります。
愛犬のごはんを手作りされている方でも、市販のドッグフードにプラスする場合でも、どちらもお米のみにすることはお勧めできません。
栄養バランス上、犬にはバランスが良いとは言えません。
犬に玄米を食べさせる際は、できるだけ他の食べ物やドッグフードをミックスすることがオススメ。
まとめ
愛犬に玄米を食べさせることによって、色々な良い点と悪い点があります。
もともと、食物繊維が豊富なのでお通じに良いことは有名ですよね。
ワンちゃんたちにも同様の効果が得られ、しっかりとした調理方法と分量を間違えなければ、とっても効果的な健康食品になります。
また、通常のドッグフードと合わせてあげることで、ドッグフードだけでは摂取することができない成分も一緒に取る事ができますよね。
玄米を与えすぎてもよくありませんが、シニア犬や体が弱い子にこそオススメの食材になります。
また、かなり柔らかくすれば介護食にも向いているので、一度玄米の調理方法など頭に入れておくといいかもしれませんね。