犬の肛門嚢炎って治らない?治療費や放置するととんでもないことに!

犬 肛門 嚢炎
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犬の病気について調べているといろいろな病気があるんだなぁ・・・なんてつくづくと思います。

『あ!これ知ってる!』という病気から聞いたこともない病気まで実に様々。

今回ご紹介する【肛門嚢炎】に至っては『なんて読むの?』という方も少なくないのではないでしょうか。

『肛門っていうくらいだからおしりの病気なんだよね?』

その通りです。

【肛門嚢炎】(こうもんのうえん)は犬や猫などに見られるおしりの病気です。

 

犬が肛門嚢炎にかかると治らないって本当?

 

なんだか難しい読み方で怖そうなネーミングですよね。

人間が発症することはないですが、犬だけでなく猫やイタチ・スカンクなどの動物も肛門嚢炎にかかります。

この子たちの共通点はマーキングをする動物であるということ。

そもそも肛門嚢炎を発症すると犬の体にはどのような症状が出るのでしょう。

 

犬のおしりの腫瘍は『こうもんのうえん』?

犬ってよくおしりの匂いを嗅ぎ合いっこしてますよね。

犬の校門を十字に分けた時に両サイドの真ん中より下の部分(時計で表すと4時と8時の場所)に肛門嚢と呼ばれる袋状の器官があります。

この袋の中には臭い匂いのする液体が入っていて、その正体はマーキングをする時にぴゃっと出てくる、あの分泌液です!

通常であればうんちをしたり、肛門周辺を舐めることで排泄されます。

しかし、うんちの中で良くない菌が増殖していた場合、この菌が肛門嚢に入ってしまうことで炎症を起こしていたり、袋の中に溜まっている液体を外に出す力が弱かった時にはこの液体が排出されず溜まってしまいます。

袋の中でこの液体が溜まりすぎると細菌感染が起こり肛門嚢炎を発症しますが、肛門のすぐ横の部分がぷくーっと膨れあがっているので腫瘍のようにも見えます。

 

こんな仕草が見られたら肛門嚢炎かも

肛門嚢炎は症状がそれほどひどくない段階であれば犬自身が気付かないこともありますが、症状が進んでくると犬も違和感を感じ始め、おしりの辺をしきりに気にし出します。

こんな仕草が見られたら愛犬のSOSのサインかもしれませんので、前兆がないか確認してみてくださいね。

 

  • いつも以上にやたらと肛門を舐める
  • お座りの状態で肛門を床や地面に擦りつけている
  • 立った状態でしっぽを追いかけてぐるぐるする
  • いつもより元気がない
  • ちょろっと量の少ないおしっこを頻繁にする
  • おしっこに血が混じっている
  • 肛門から腐ったようなひどい悪臭がする
  • おしっこやうんちをする際痛そうに変な声を出す
  • いつもより食欲がない
  • ごはんを食べても吐いてしまう

 

最初のうちは違和感を感じたりムズ痒そうな感じですが、悪化すると床や地面に肛門を擦り付けることで肛門周辺の皮膚が破れて出血したり、袋の中に黄色や黄緑っぽい膿が溜まって、どろっと出てくることも。

犬はただでさえストレスを感じやすいものですが、体調不良でストレスを感じることにより更に違う病気のリスクも高まりますので、ここまで悪化する前に早急に動物病院に連れて行きましょう。

 

犬の『こうもんのうえん』って治らないの?

インターネットで肛門嚢炎について調べてみると結構な割合で『肛門嚢炎は治らない』なんて記事があがってきます。

ただでさえ聞き慣れない病名で恐ろしいのに更に不安が増してしまいますね。

しかしほとんどの場合、肛門嚢炎はきちんと処置をすれば治ります。

肛門嚢炎は肛門嚢に溜まった液体を外に押し出す『外肛門括約筋』という力が弱い小型犬が発症することが多く、チワワやトイプードルなど小型の室内犬であれば、特に注意していてあげたい病気です。

小型犬以外にも肥満体質の犬やシニア犬、普段から下痢をしやすい犬や性格の優しすぎる子も肛門周りの筋肉が弱まって発症することがあります。

 

放置するととんでもないことに!治療費は?

 

犬の肛門嚢炎が治ると聞いてほっとした方!

まだ安心は出来ませんよ。

正しい処置をすれば予防もできますが、対処方法を間違えたり愛犬の不調のサインに気付かずに放置してしまうと肛門嚢炎は悪化し、大事になってしまうのです。

最悪の場合、肛門嚢そのものを手術で摘出することになります。

そうならないように対処法を収得しましょう!

 

肛門の下が腫れてきたときの対処法

肛門嚢炎ってきちんと定期的にチェックをしてあげていれば、ひどくなる前に予防することができるんです。

簡単に言うと溜まってしまった液体を飼い主さんが出してあげるという発想。

肛門嚢炎という病名を聞いたことがない方でも【肛門嚢絞り】と聞いてピンと来る方もいるかもしれません。

 

【肛門嚢絞り】とは・・・

肛門嚢が腫れてきたなと思ったら片方ずつ指で優しく挟み込んで外に向かって絞り出してやりましょう。

この作業の事を【肛門嚢絞り】または【肛門腺絞り】と言い、慣れないうちはうまくできないかもしれませんが、慣れてくるとそれほど時間もかからず案外簡単にできるようになります。

月1回くらいのペースで確認してあげれば悪化することもなく予防できますが、定期的にトリミングサロンにかかっている場合、大概はトリマーさんが処置してくれています。

うまくできない場合は獣医師やトリマーさんにコツを教えてもらうことをお勧めしますが、どうしても自分で肛門嚢絞りをする自信がないという方は、ぜひトリミングサロンを利用しましょう!

 

ちなみに・・・

特に病気が発症したわけでなくても動物病院で肛門嚢絞りをお願いすることもできるよ!

費用は大体500円くらいかな。

 

『こうもんのうえん』放置すると破裂するって本当!?

肛門嚢の液体は健全な時はさらっとしていますが溜まってくると徐々にどろっとした液体になってきます。

どろっとした液体は通常時よりも細菌が増殖しやすく、増殖した細菌によって肛門嚢の入り口が炎症を起こし腫れ上がるので、なお更外に出しにくい状態になってしまうという、まさに負のスパイラル!

腫れに腫れた肛門嚢がこれ以上入りきらなくなるとついに腫瘍化したり破裂をしてしまいますが、破裂してしまうことを【肛門嚢破裂】と言います。

つまり、肛門嚢炎が破裂するというのは本当です。

犬は人間の何倍も痛みに強いとされていますが、ここまで来ると犬にとっても激痛を伴います。

先ほど肛門嚢絞りについてお話しましたが、誤った肛門嚢絞りも破裂の原因となってしまいますので、ちゃんと正しく出来ているか今一度確認して、もしも自信がないようであれば獣医師やトリマーさんにアドバイスしてもらいましょう。

 

犬の『こうもんのうえん』手術や治療費

犬が肛門嚢炎にかかってしまったら、動物病院ではどんな治療が行われるのか気になるところですよね。

まずは獣医師による肛門嚢の触診。

床や地面に肛門を擦り付けたり、膿が溜まりすぎて破裂してしまっている場合にはその部分にスライドと呼ばれるガラス板をぺたっと押し付け、悪い細菌が増殖していないかなど顕微鏡で検査をします。

顕微鏡検査後、特に悪い細菌や感染も発見されず擦り付けた部分も問題なければ肛門嚢絞りだけの処置で済むことも。

細菌が増殖しているようであれば抗生剤を使って疾患部分を洗浄しますが、どんな抗生剤が適切なのか特定する為の検査が併せて行われることもあります。

 

病気の進行具合によっても変わってきますが・・・

そこまで重症ではない症状で顕微鏡の検査を含めた2週間程度の治療を行ったとして、治療費はだいたい 10,000~15,000円くらいと思っておけば大丈夫そうだよ。

 

肛門嚢炎がかなり進行し腫れがひどかったり破裂して皮膚に穴が開いてしまったりしている場合には、まずはバリカンで肛門周辺の毛を剃り、痛み止めの麻酔をかけた後肛門嚢に溜まった液体を全て排出。

その部分にチューブで抗生物質を直接投与して何回かに分けこまめに洗浄を行います。

即入院してしばらく退院できないなんて事態にはあまりなりませんが、おしりを舐めない様エリザベスカラーをして自宅で安静に過ごします。

これくらいの状態になると、だいたい2週間のうちに3回程度の通院をし、その都度丁寧に洗浄をしては経過を観察という流れになることがほとんど。

一度発症してしまうと再発するケースが多いので、完治した後も注意が必要です。

何回も肛門嚢炎を繰り返して癖になってしまっているような場合には手術をして肛門嚢そのものを取ってしまうこともあります。

 

肛門嚢の摘出手術をすれば慢性的な細菌感染や不快感から解放されてスッキリするけど、両側の摘出は約170,000円!

かなり家計に響く金額・・・

 

治療費は動物病院によって違うのであくまで目安です。

さらにお薬等が処方されるとその分金額も上がってくるので、不安な方は受診前に確認しておきましょう。

 

犬が肛門嚢炎にかかってしまったら まとめ

 

肛門嚢炎についてざっくりと説明してきましたが、どうでしょうか?

さっそく愛犬のおしりをチェックしてみている方も多いかもしれないですね(笑)

犬は体に異変を感じても人間のように飼い主さんに伝えることができませんが、愛犬の日常を注意深く観察していれば何かしらのサインを送っていることに気付くはずなのです。

今回紹介した肛門嚢炎に関しては、定期的にチェックをしていれば予防だってできますし、ちょっとしたコツさえ掴んでしまえば飼い主さんが発症しないようにケアしてあげられます。

ペットを家族として迎えたからには、遊んだり癒しの時間を求めるだけでなく、きちんと愛犬の健康管理もしてあげましょうね。

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