味のよさからナッツの女王とも呼ばれる「ピスタチオ」。
パチっと弾けてカリっと美味しく、酒のお供にはもってこいの定番品だ。
ピスタチオはおつまみとしてのイメージが強いせいか、あまり栄養など気にせず食べているが、実は意外にも多くの栄養素を持ち合わせている。
特に豊富に含まれるたんぱく質は、私たち人間にとっても犬にとっても貴重なエネルギー源。他にも、ビタミンB群、カリウム、リン、オレイン酸なども含まれている実に栄養のある食べ物なのだ。
しかし、このピスタチオは犬に与えてはダメな食べ物とされているようだ。一体何がいけないのか、早速調査してみよう。
【獣医師監修】班目美紀
ピスタチオにはどんな成分が含まれている?
意外かもしれないが、ピスタチオには多くの栄養と、それによって見込まれる様々な効能がある。
ここでは、代表的な栄養成分をいくつかご紹介する。
ビタミンB群
ピスタチオには、ビタミンB1、B2、B6、葉酸などのビタミンB群が含まれている。
ビタミンB群は基本的には炭水化物、脂肪、タンパク質の代謝に必要な成分である。つまり、人や犬にとっても生きるためのエネルギーを作るには欠かせない栄養素なのだ。
また、ビタミンB群はどれかひとつだけでは効果を発揮しにくい成分。互いに助け合ってその機能を発揮するので、1つだけの大量摂取よりもバランスよく摂取することが大切だ。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
近年、高血圧や脳卒中の予防などにもつながる重要な栄養素として注目されている。
ビタミンK
ビタミンKの役割は、出血した時に血液を固めて止血する働きのほか、骨に存在するタンパク質を活性化し、骨の形成を促す作用がある。
犬は腸内細菌によってビタミンKが合成されると言われているが、それだけで1日の必要量を補えないともいわれている。そのため、普段の食事からも不足しないよう補ってあげたい栄養素だ。
オレイン酸
ピスタチオの主成分である脂質の大半を占めているのがオレイン酸だ。
オレイン酸がもたらす効能としては、保湿効果や、皮膚や毛の健康維持、善玉コレステロールには影響を与えず悪玉コレステロールだけを減少させる効果、便通をよくする効果などが挙げられる。
なぜ犬に与えてはいけないの?
このように、ピスタチオに含まれる栄養素を見る限りでは犬が食べても問題ないように思えるが、一体何がいけないのだろうか?その理由について探ってみよう。
カロリーが高い
ピスタチオは栄養価が高いだけではなく、カロリーもという点に注意しなくてはならない。
100g当たり600kcal以上もあるので、日常的に与えていると肥満などの原因にもなってしまうだろう。愛犬が肥満になれば、運動も大変、怪我もしやすくなる、病気のリスクも高くなるなど、いいことなど何1つもない。
1~2個程度を食べたならまだしも、何個もいっぺんに与えるのは避けたほうがいいだろう。
殻付きのまま食べてしまうのは危険
もちろん、ピスタチオを1~2個食べてしまったからといって重症になることはないが、「殻付き」のまま食べてしまうのは危険だ。
硬い殻を食べてしまってウンチとして排出されれば良いのだが、腸に詰まって腸閉塞になる危険性もある。
殻付きのまま与える飼い主さんはいないだろうが、食べてる姿をジッと見ていれば「犬はピスタチオの殻を食べることができない」とは知らずに、剥いた殻を食べてしまう可能性だってあるかもしれない。
犬にとって「ピスタチオは食べれるもの」と思わせないほうが安全だと言えるだろう。特に小型犬のような消化器官も小さい犬種はなおさら注意が必要だ。
アレルギー
どんな食べ物にでもアレルギー要素はあるのだが、多くのナッツ類は比較的アレルギーを起こしやすい食べ物だと言われている。
ピスタチオに限った話ではないが、他の食べ物と比べてアレルギーのリスクがあるものは極力避けた方が無難ではないだろうか。
さいごに
手軽に購入できるピスタチオ。栄養も豊富で美味しい食べ物ではあるが、犬にお裾分けするには不向きなナッツとも言えるようだ。
また、実際に飼い主さんが食べるときにも殻の処理には少しばかり注意が必要だ。ぜひ頭の隅にでもとめておいていただきたい。
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