和ハーブの代表格ともいえる「シソ」。
その葉を野菜として捉えているときは「大葉」。植物として捉えている場合は「シソ」と呼び名が変わる面白い食材だ。
通常、食用にするには青ジソ、赤ジソの2種類。
漢字で「紫蘇」と書くように、シソは元々、赤紫色の赤ジソのことを指していた。その赤ジソの変種が青ジソで、現在は大葉とも呼ばれている。今やシソといえば大葉や青ジソが一般的になった感があるが、実はこういった違いもあるのだ。
そんなシソ。犬に与えても問題のない食材のひとつとして知られているが、実は青ジソ、赤ジソの2種類で異なるパワーを秘めているのはご存知だろうか?
今回は、シソに秘められたパワーを上手に摂取する方法を伝授しよう。
シソに含まれる栄養と効能
一般的に、赤ジソは薬効が高く、青ジソの方は栄養価が高いと言われている。
まずはシソに含まれる主な栄養価についてチェックしてみよう。
ビタミンACE
青ジソと赤ジソ両方に含まれている栄養成分は、βカロテン(必要に応じてビタミンAに変換)、ビタミンC、ビタミンEといった強力な抗酸化作用を持つ成分を多く含んでいる。
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEは「ビタミンACE(エース)」と呼ばれるほど抗酸化力に優れており、免疫力アップやアンチエイジング、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えてくれるには欠かせない栄養素なのだ。
ポリフェノール類 (ルテオリンとロズマリン酸)
シソに含まれるポリフェノール類にルテオリンとロズマリン酸がある。
ルテオリンは肝臓での解毒作用を促進する働きがあり、ロズマリン酸は糖質の分解を抑制して吸収を穏やかにしてくれる作用がある。
さまざまなビタミンB群
シソには、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン(B3)、葉酸、パントテン酸(B5)など、実に様々なビタミンB群を含んでいる。
ビタミンB群は基本的には炭水化物、脂肪、タンパク質の代謝に必要な成分である。つまり、人や犬にとっても生きるためのエネルギーを作るには欠かせない栄養素でもあるのだ。
香り成分ぺリルアルデヒト
シソの清涼感たっぷりの香り成分でもある「ぺリルアルデヒト」には、胃液や消化液の分泌を促進してくれる働きがあるので、食欲が落ちている時にはうってつけの食材といえるだろう。
また、強力な防腐抗菌作用があるため、食べ物が傷むのを予防する働きもある。よく刺し身にシソが添えられているのはこういった理由があるからなのだ。
上記の他にも、ビタミンK、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄など多彩な栄養を含んでいる。
薬味として普段何気なく使っていはいるものの、実は意外にも栄養満点な食材だったのだ。
青ジソと赤ジソ、異なる栄養成分の差
赤ジソは薬効
青ジソと赤ジソの大きな違いはその色にあるだろう。
赤ジソにはアントシアニン色素である「シソニン」が含まれているため赤色の葉をしている。梅干しを漬ける時に赤ジソが用いられるのは、シソニンが酸に反応して赤く染まる性質を利用しているから。
このシソニンには抗酸化作用がある他、防腐効果にも優れている。日本で古くから梅干しに赤ジソを利用するのは保存性を高めるためでもあったのだ。
また、ロズマリン酸とぺリルアルデヒトが、青ジソよりも多く含まれている。栄養面よりも薬効としての効果が強くでてくるのはこうした特徴があるからだろう。
青ジソは栄養
青ジソは赤ジソよりもβカロテンが豊富に含まれている。
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。
しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素なのも嬉しいポイントだ。
シソの上手な与え方
青ジソと赤ジソ。異なる栄養成分の差が分かったところで、次はワンランク上の与え方をマスターしよう。
青ジソ
青ジソ(大葉)は一年を通して安定して購入できるため、手軽に購入することができる。よく愛犬の食事に使われるのが、「トッピングや手作り食に細かくして加える」というものだが、ここで少しばかりテクがある。
青ジソ(大葉)の香り成分でもあるぺリルアルデヒトは、揮発性のため、刻んでから時間が経つと香りが薄れてしまう。シソ特有の香りが徐々に薄くなる=薬効も徐々に劣ってくる、とも考えられているので、与える直前に加えるのが望ましい。
また、葉の裏側に香り成分が多く含まれているという。調理の際は、なるべく裏面を触らないようにするといいだろう。
赤ジソ
赤ジソの旬は6~8月の夏。主に梅干しの色付け用として利用される。
梅干し以外といったら「赤紫蘇ジュース」が知られているが、赤紫蘇ジュースを犬に与える際には少し注意が必要。
その理由は、材料の砂糖の量を見るとビックリするぐらいの量が含まれているから。私たちが飲む場合、濃縮液で7~8倍に薄めて飲むのが一般的だが、犬に与える分は10倍~20倍に薄めて与えるのがよい。
また、赤ジソのイチ押しの使い方といったら、乾燥させるのがおすすめ。
基本はサッと洗って干すだけなのでとても簡単。保存が効くので、使いたい時に細かくしてトッピングや手作り食のお供に。さらに、ハーブティー(しそ茶)としても楽しむことができる。
太陽と風に当てて自然乾燥させる方法や、電子レンジで短時間で作る方法もあるので、旬の時期にはぜひお試しを。
もちろん、赤ジソだけではなく青ジソでも可能。大量に入手して使い切れない時は、乾燥シソにチャレンジしてみよう。
シソを長持ちさせる保存テク
旬の時期に大量にいただいたり、使いきれずに残った時など、冷蔵庫に入れておいたらカピカピになってしまった…。なんて経験もあるのではないだろうか。
ここでは、シソを長持ちさせる保存テクについて紹介していく。
冷蔵庫で保存
シソは乾燥が最も苦手な植物。そのため、購入したら真っ先にやるべきことがある。
それは「軸の端を少しカットして水に浸ける」こと。これは、切り花などの手入れにも使われる方法で、カットした切り口から水を吸い込んでくれるようなる。
大葉の場合は、大抵何枚かゴムで束ねてあるので、ゴムは外さずに行うと後で使いやすい。
冷蔵庫には、軸の端が水に浸るくらいの水でシソを立てて保存するのがポイント。シソが丸々水に浸かってしまうと水腐りするので注意したい。
冷凍も可能
シソをそのまま冷凍して真っ黒になってしまった…なんてことはないだろうか?
これは、買ってきた状態のまま冷凍すると冷凍焼けを起こしてしまうことにある。
冷凍の際のポイントとしては、キッチンペーパーの上に広げて、しっかりと水分を拭き取ることが重要。後々、使うことも考え、3~5枚程度の小分けにしてキッチンペーパーで包む。あとはこれをラップで包み、冷凍庫で保存すればOK。
こうすることにより、1カ月以上は保つのでたくさん入手して使い切れない場合は冷凍してしまおう。
さいごに
日本では平安時代よりも前から栽培されていたといわれているシソ。
その薬効効果、栄養価ともに、素晴らしいパワーが青ジソ・赤ジソに含まれていることが分かった。
保存においても、乾燥・冷蔵・冷凍と可能なので、上手に保存して愛犬と一緒にシソのパワーを取り入れてほしい。