滋養のある食べ物として、日本でも古くから人々に食されてきた「山芋」。
その歴史は、なんと縄文時代からはじまっており、当時はすでに野生種ではなく栽培したものを食べていたとの記録が残っています。
中国から伝来し、日本でも栽培されるようになった「長いも」や「大和芋」をはじめ、日本原産の「自然薯(じねんじょ)など、これらを総称して「山芋」と呼ぶようになりました。
山芋といえば、すりおろせばネバネバ、刻めばシャキシャキの食感が味わえるのが特徴ですよね♪
人間にとっては滋養強壮効果のある山芋。犬にとっても期待される効果があるのでしょうか?
今回は犬と山芋について解説していきます。
犬は山芋を食べても大丈夫!
与える時に注意しなくてはいけない事もありますが、山芋は犬が食べても大丈夫な食材です。
犬に害を与える成分は含まれてなく、栄養バランスにも優れていますので、山芋は犬にとって健康的な食材として、手作りメニューのレシピにも多く取り上げられています。
また、消化を促してくれる「アミラーゼ」と呼ばれる成分も含まれていますので、犬の胃腸には優しい食材と言えるでしょう。
犬にとって山芋の栄養は?
「山うなぎ」とも呼ばれる山芋は、古くからスタミナ食材としても知られています。
では、犬にとって山芋の栄養はどんなメリットがあるのでしょう??
アミラーゼ(別名:ジアスターゼ)
前項でも紹介しましたアミラーゼ。
アミラーゼは「でんぷん」を消化する酵素。胃腸薬にもよく使われる成分で消化を助けて栄養の吸収を促進してくれる働きや食欲不振の改善にも期待ができます。
アルギニン
アルギニンは、体内のアンモニアを尿素に変換して排泄する重要な役割を持っています。
アンモニアはタンパク質が分解されると生成されます。食事でタンパク質を多く摂取した場合は、それだけアンモニアも増えることになりますので、それを尿素に変換して排出するために、量に応じてアルギニンも必要となってくるのです。
アルギニンは他にも、血管を拡張する作用や免疫力アップ、疲労回復をサポートする働きが期待されます。
ビタミンC
犬は体内でビタミンCを合成できますが、だからといって摂取しなくてもいいわけではありません。
年齢と共にその能力は低下していきますので長期的に摂取したい栄養素の一つです。
ビタミンCの主な働きは免疫力アップ、白血球の機能強化、腸内環境を整えるなどの役割があります。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きがあります。
ビタミンB1
ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素です。記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する役割もあります。
山芋はなぜ痒くなる?犬も痒くなるの?
みなさんは山芋を調理するときに、手が痒くなることはないでしょうか?(私もその一人)
食べた後も口の周りがムズムズすることもあります。
症状がひどい場合は皮膚が赤く腫れて、痛みや熱さを感じる人もいるのだとか…。
この原因、山芋に含まれるシュウ酸カルシウムという成分が針状に結晶化するからなんです。
ちなみに、この成分は山芋の皮に近くなるほど多く含まれています。皮を剥いたり、すりおろしたりすると痒くなるのは、その成分が肌に付着して刺激しているからなのです。
この痒くなる現象は、当然、犬の皮膚に付着した際にも起こりますので、シュウ酸カルシウムの成分が少ないとされる、山芋の中心部分を与えると良いかもしれません。
犬に山芋を与える前に知っておきたいこと
皮膚疾患がある場合は与えない!
前項でも説明した通り、山芋には痒みの成分が含まれていますので、何かしらの理由で犬の皮膚に付着してしまうと、皮膚が弱い犬には刺激が強すぎる場合があります。
食べても問題はありませんが、何かの拍子に皮膚に付着してしまうリスクを考えると、皮膚が弱い犬には食べさせないほうが安全といえます。
腎疾患がある場合も注意が必要!
山芋にはカリウムも多く含まれていますので、腎疾患のある犬は注意が必要です。
腎疾患で高カリウム血症になっている場合、山芋に限らず、カリウムが含まれている食べ物は与えないようにしなければいけません。
カリウムを多く含む食材を与えると、血中のカリウム濃度が上がり命に危険が及ぶ可能性があります。
食物アレルギーがないか様子をみよう!
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのですが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があります。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか様子を見ててあげましょう!
すりおろした山芋は粘り気が強い!
すりおろした山芋は意外にも粘り気が強いのが特徴です。このまま犬に与えてしまうと喉につかえてしまう場合があります。
すりおろした山芋を与える場合は、水分を少し含ませて粘り気を弱くしてあげるのも大切ですね♪
さいごに
いかがでしたでしょうか?今回のまとめとしては、
- 山芋は犬に与えてもOK!犬にとっても健康食材だった!
- シュウ酸カルシウムは痒みの原因。皮膚が弱い犬には与えないのが無難。
など、季節の変わり目や風邪が流行り出す時期に、愛犬と一緒に山芋のエネルギーをいただきましょう♪