ねっとりホクホク、煮物や汁物の名脇役「里芋」。
里芋といえば、親芋の周りにたくさんの「子芋」「孫芋」さらには「ひ孫芋」と1つの種芋からたくさんの芋が付く。そのため、親、子、孫、ひ孫と続くことから、子孫繁栄を願う縁起物として正月料理などに好んで使われる縁起物食材だ。
そんな縁起物でもある里芋の歴史は古い。日本には縄文時代に伝わったとされ、一説には稲よりも古い作物と考えられている。
山で自生している山芋に対し、里で栽培されるから「里芋」。その、ねっとりした味わいにはどんな栄養が含まれているのだろうか。
今回は、犬への与え方、栄養や効能などについて紹介しよう。
里芋は「生の状態」では与えない!
里芋は犬用フードの材料に使われることもある食材であり、熱を通せば犬に与えても問題ないとされている。
ただ、里芋を生で数個食べ、中毒症状を起こした症例があるようだ。
里芋を生で数個食べ、頻繁に吐きぐったりしたゴールデンリトリバーが来院しました。里芋中毒のようです。煮て食べる場合は問題ないのですが生で食べた場合、結構 消化器障害がひどく現れます。
里芋中毒については確かな根拠は確認できていないが、生の状態では与えないほうが無難といえる。また、消化の面から考えても里芋の生食は避けるべきだろう。犬に与えるなら加熱した里芋がベストだ!
里芋に含まれる犬に役立つ栄養と効能
里芋といえば、何より皮をむいた時の「ぬるぬる」感が特徴である。このぬるぬるの正体は「ガラクタン」という成分と、「粘液糖タンパク質の混合物」によるもの。実は里芋に含まれるこれらの成分には優れた効果があるのだ。
では、里芋にはどんな栄養が含まれているのかチェックしてみよう。
ガラクタン+粘液糖タンパク質の混合物
あまり聞き慣れないが、「ガラクタン」とは炭水化物とタンパク質の複合体のことを指しており、高血圧予防やコレステロールを下げる働きに効果があると期待されている成分。
また、食物繊維である「粘液糖タンパク質の混合物」の働きによって、粘膜保護や便秘の予防・改善にも期待ができる。そのうえ、粘液糖タンパク質の混合物にはタンパク質の吸収を高める効果があるので、愛犬のスタミナアップにも嬉しい成分であるのだ。
カリウム
里芋にはカリウムが100gあたり640mgと、芋類の中ではトップクラスの含有量を誇る。
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
犬に与える前に知っておきたい2つのポイント
茹で汁は使わない
里芋を茹でると「アク」が出てくると思うのだが、里芋には結石の原因になるシュウ酸がわずかながらに含まれているという。そのため、茹でた後の「茹で汁」を使ったレシピは避けるようにしよう。
シュウ酸は水に溶けやすい。茹でた後に水にさらしておくのも有効だ。
食物アレルギーがないか様子を見守る
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに
正直、ぬめりがあって皮剥きが面倒である里芋だが、意外にも芋類の中では最もカロリーや糖質は低い。そのため、他の芋類と置き換えることにより、簡単にカロリーや糖質を抑えることができるため、犬に限らず、飼い主さんにとっても嬉しい食材だ。
また、皮剥きに手こずる場合は、里芋に一周切れ目を入れて10分程度茹でるとよい。こうすると里芋の皮が簡単に剥けるので、ぬるぬるして皮剥きに苦戦する方はお試しを。
茹で上がった柔らかい里芋をすり潰して与えれば、愛犬にとっても有益な食材になってくれるだろう。縁起物食材として、おめでたい席にも使われる里芋。愛犬と共に日々のメニューに加えてみてはいかがだろうか。