海苔の歴史は古く、貝や魚と同じように縄文時代から食べられていたといわれている。
遺跡からは、ワカメ、ヒジキ等の海藻が発見されているが、現代のような海苔の形状とは違って、藻の状態で食べられてたと考えられている。
海苔と一言でいっても、その加工方法の違いから「生海苔」「乾燥海苔」「焼き海苔」「味付けのり」「青のり」など種類が変わってくる。
日本国内で使用される海苔の品種には、味わいの良さが特徴の「アオクサノリ」や、光沢のある質感が特徴の「スサビノリ」など、おにぎりや手巻き寿司で使う海苔として馴染みが深い。
今回は、日本の伝統食材である海苔と犬の相性について解説していこう。
犬に海苔を与えても問題ない?
薄っぺらい見た目の割に…と言ったら失礼かもしれないが、海苔には実に多くの栄養が含まれいる。
その見た目とは裏腹に栄養が凝縮されていることから「海の野菜」とも呼ばれているのだ
主な栄養を見てみると、ビタミン類やミネラルといった犬にとって健康維持には欠かせない成分が豊富に含まれている。
もちろん、犬にとって害になる成分は含まれていないため、海苔を与えても問題はない。しかし、気になるのは海苔に含まれる塩分である。
海苔を食べたことがない、という人はいないと思うが、実際に海苔に含まれる塩分量を見てみよう。
(※日本食品標準成分表2015年版(七訂)引用)
食塩相当量[g] | |
焼き海苔 | 1.3g |
味付けのり | 4.3g |
(※表は100gあたりの含有量)
ご家庭でも使われる機会が多い「焼き海苔」「味付けのり」とで比較してみた。
こうしてみると、やはり味付けのりは塩分が高めなのが分かる。
人にとっては、適度の塩分は食味として重要ではあるが、犬に人間と同じ感覚で与えてしまうと、知らず知らずの内に塩分の過剰摂取をしている恐れがあるので注意が必要だ。
犬の必要な塩分量には諸説あるが、体重1㎏あたり、約0.06g~0.12gが適量だと言われている。
体重5㎏の小型犬を例でいえば、0.3g~0.6g/日は必要になるが、ドッグフードには必要量が入っているので、必要以上の塩分は過剰摂取となり、犬の心臓や腎臓に負担がかかってしまう。
塩分に関して言えば、焼き海苔を少量与える分にはそれほど影響ないだろうが、味付けのりは塩分が多いので犬には与えないほうが無難だろう。
犬にとって海苔の栄養と効能とは?
ビタミンA
視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つ。他にも、皮膚の健康を保ち、免疫力を正常に働かせる効果に期待がもてる。
ビタミンC
犬は体内でビタミンCを合成できるが、だからといって摂取しなくてもいいわけではない。年齢と共にその能力は低下するので長期的に摂取したい栄養素の一つ。
ビタミンCの主な働きは免疫力アップ、白血球の機能強化、腸内環境を整えるなど、犬の健康維持には欠かせない栄養素なのだ。
ビタミンB1
ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。
別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
犬に海苔を与える際に注意すべきこと
海苔にはビタミン類やミネラルが豊富に含まれているのは、前項でも説明した通り。
しかし、栄養があるとはいえ、毎日のように与えすぎていては、犬の健康に害を及ぼす可能性があることは知っておきたいところ。犬にとって良い栄養補給にするためにも、注意すべき点はしっかり抑えておこう。
口の中で海苔が張りつく
みなさんも、海苔を食べた時「上あごの裏側に海苔が張り付いてしまった」という経験はないだろうか?
特に水分を含んでいない海苔だけで食べてしまうと、口の中の水分を海苔が吸ってしまい張り付いて離れなくなってしまう。
人間は唾液や口に水を含めば問題ないが、犬にとっては海苔が張り付くなど知る由もない。まして飼い主さんが与えれば、何一つ疑問を感じず喜んで食べてしまうかと思う。
そのため、犬に与える大きさは刻みのり状に細かくするか、ぬるま湯で溶かした海苔をフードに加えてあげるようにしよう。
喉に詰まり窒息の恐れ
前項の続きになってしまうが、口の中で張り付いている内はなんとかなるだろうが、喉に張り付いてしまうと窒息のリスクが高くなる。
以前、海苔が巻かれた「おにぎりの早食い競争」で、若い男性が亡くなってしまった事故も起きている。
みなさんも愛犬の食べている姿を見て、「早食い競争でもしてるのかな?」と思うことはないだろうか。
犬は一度食べ始まったら、ものすごい勢いで完食してしまう生き物。
少し大げさかもしれないが、犬が海苔を食べている時は飼い主さんがそばにいてあげるのも必要ではないだろうか。
アレルギーがないか様子を見守る
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があるのは知っておきたいところ。
初めて与える時は、まず少量から試そう。痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに
海苔と言えば、パリパリした食感やしっとりした食感の海苔など、料理との組み合わせ次第では、色々な美味しさを味わえる。
その食感と栄養豊富なこともあり、海苔が好きな方は多いのではないだろうか。
犬も海苔を食べることはできるが、与える際に注意しなくてはいけない点があることも覚えておこう。
適切な与え方をマスターして、愛犬と海の恵みを存分に味わっていただきたい!