鰹(カツオ)の旬は年に2回。
カツオは捕れる季節で脂ののりも異なり、その呼び方も変化する。春に九州方面から北上する「初ガツオ」、秋に産卵のため南下するものを「戻りガツオ」と呼ぶのだ。
そんなカツオは春と秋で脂ののりが全く違う。初ガツオは、エサを求めて北上する若いカツオで、脂のりは少なく身が締まってサッパリしている。そのため、刺身よりも軽く表面を火であぶった「たたき」がうまい。
一方、秋の戻りガツオは、イワシなどのエサをたっぷり食べて南下するので、脂肪の量は初ガツオの約10倍とも。そのたっぷりな脂のりで「トロ鰹」とも呼ばれ、そのまま刺身で堪能するのが最もメジャーだ。
今回はカツオと犬の相性、栄養や気になる点を紹介していく。
犬にとってカツオはどんな食材?
カツオには血中コレステロール値を低下させ、脳を活性化する働きを持つDHA(ドコサヘキサエン酸)や、血流を良くするEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含む。
しかも、良質なタンパク質をはじめ、ビタミンA、D、B群などの栄養素も多く含んでいるため、カツオは犬の健康にも役立つ食材になってくれるだろう。
また、カツオには回遊魚に特有の「血合い肉(背身と腹身の間にある赤黒い部分)」が多いのも特徴である。
通常だと血合い肉は臭みが強いため、マグロやブリなどを刺し身にする場合は取り除かれるが、カツオの場合は「血合い付き」で売られていることも多い。
一見、色も黒く、血生臭いため敬遠されがちな部位。しかし、この血合い部分の栄養価は「レバー並」とも言われており、鉄分やタウリン、ビタミンD、B群などの栄養がたっぷり含まれているのだ。
カツオに含まれる犬に役立つ栄養と効能
DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHAは、脳や網膜などの組織を構成する成分でもあることから、脳の健康を維持して学習能力や記憶能力の向上、目の網膜や視神経での情報伝達の円滑、視覚回復のサポートなどにも期待がもてる。
また、高齢犬の認知症予防にも効果があるといわれている。
EPA(エイコサペンタエン酸)
DHA、EPAは共に「オメガ3系高度不飽和脂肪酸」という栄養素であり、科学的な構造も似ているため同じ効果を示すことがあるという。
EPAの主な働きは、血液中の善玉コレステロールを増やしてくれる作用がある。血管・血液の健康維持には重要な成分であり、血栓を予防してくれる効果があるとされている。
ナイアシン
鉄分
気になるカツオのカロリーと糖質・脂質は?
カツオは捕れる季節によって、春は「初ガツオ」、秋は「戻りガツオ」とある。
戻りガツオの方が脂がのっている分、カロリーや糖質、脂質は高そうだが、実際はどの位含まれているのだろうか。
カロリー | 糖質 | 脂質 | |
春:初ガツオ | 114kcal | 0.1g | 0.5g |
秋:戻りガツオ | 165kcal | 0.2g | 6.2g |
(※いずれも100gあたりの数値)
こうして見るとその差は一目瞭然。やはり戻りガツオの方が圧倒的にカロリーや脂質が高い。
とはいえ、カツオ一切れ17g~20g。基本的に犬に100gも食べさせるものではないので、数値はドックフードのトッピング、手作り食、おやつで与える時の参考程度に。
アニサキスによる食中毒を予防しよう
最近よく聞くようになった寄生虫アニサキスによる食中毒。
当然、スーパーで売られている切り身やサク状にもまれに付着しているようだ。愛犬に安全に与えるためにも予防方法はマスターしておこう。
そもそもアニサキスとは?
アニサキスは寄生虫の仲間で、クジラやイルカなどの消化管の中に生息する線虫である。
それらの排出物と共にアニサキスの卵も海に排出され、オキアミなどのプランクトンに食べられ幼虫に成長する。それを捕食した魚(ふだん私たちが食べてる魚)に寄生し、最終的には成虫になれる宿主(クジラやイルカなど)に捕食されるというわけだ。
私たちがよく耳にするアニサキスは幼虫で、長さ2~3㎝、幅0.5~1㎜くらいで、白色の少し太い糸のように見える。主に魚介類の「内臓」に寄生しているが、宿主が死亡し鮮度が落ちてくると、内臓から筋肉に移動する。
アニサキス食中毒の症状
アニサキスが生きたまま胃にいってしまうと、胃の壁を突き破ろうと噛んでくる。これが我慢できないほどの激痛となるのだ。また、吐き気、嘔吐、じんましんなどの症状をともなうこともある。
人の場合、この症状の多くが食後8時間以内に現れるとされているが、犬も同じ症状を起こす可能性があると言われている。
アニサキスを予防する方法
加熱する
厚生省のホームぺージでも注意喚起しているが、「加熱なら70℃以上、または60℃なら1分」とされている。
参照:アニサキスによる食中毒を予防しましょう (厚生労働省)
冷凍する
アニサキスは-20℃で24時間以上冷凍すると死滅すると言われている。だが、家庭用の冷凍庫は-18℃の場合が多いため注意が必要だ。そのため家庭用の冷凍庫では48時間以上の冷凍を勧めている場合もあるようだが、個人的にはオススメしない。
細かく刻む
一番安全なのは加熱することがベストだが、愛犬に生のカツオを味わせたい飼い主さんも多いだろう。
そんな時は切り方に一工夫。アニサキスは少し傷がつくと死んでしまうので、細かく刻んだり薄くスライスするとよい。また、アニサキスは肉眼でも確認できるため、調理の際はよく確認してみよう。
人の場合は「よく噛む」ことにより予防できるが、犬の場合はよく噛まず丸飲みしてしまう。なるべく細かく刻んだものか、薄くスライスしてから与えよう!
さいごに
魚の代名詞とも言えるDHAやEPAをはじめ、良質なタンパク質なども豊富に含むカツオ。
日本近海を回遊しているカツオは、今や一年中スーパーで見かける存在だ。季節によって生育する場所が変わり、捕れる時期によっては脂ののりかたも異なる。
アニサキスには注意が必要だが、適切な予防をすれば安心して食せることが分かった。
ぜひ、春と秋の旬のカツオを愛犬とたっぷり楽しんでもらいたい。