【獣医師監修】犬は鰹(カツオ)を食べても大丈夫?賢い与え方

カツオ
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カツオ

鰹(カツオ)の旬は年に2回。

カツオは捕れる季節で脂ののりも異なり、その呼び方も変化する。春に九州方面から北上する「初ガツオ」、秋に産卵のため南下するものを「戻りガツオ」と呼ぶのだ。

 

そんなカツオは春と秋で脂ののりが全く違う。初ガツオは、エサを求めて北上する若いカツオで、脂のりは少なく身が締まってサッパリしている。そのため、刺身よりも軽く表面を火であぶった「たたき」がうまい。

 

一方、秋の戻りガツオは、イワシなどのエサをたっぷり食べて南下するので、脂肪の量は初ガツオの約10倍とも。そのたっぷりな脂のりで「トロ鰹」とも呼ばれ、そのまま刺身で堪能するのが最もメジャーだ。

今回はカツオと犬の相性、栄養や気になる点を紹介していく。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

犬にとってカツオはどんな食材?

カツオ

カツオには血中コレステロール値を低下させ、脳を活性化する働きを持つDHA(ドコサヘキサエン酸)や、血流を良くするEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含む。

しかも、良質なタンパク質をはじめ、ビタミンA、D、B群などの栄養素も多く含んでいるため、カツオは犬の健康にも役立つ食材になってくれるだろう。

 

また、カツオには回遊魚に特有の「血合い肉(背身と腹身の間にある赤黒い部分)」が多いのも特徴である。

 

通常だと血合い肉は臭みが強いため、マグロやブリなどを刺し身にする場合は取り除かれるが、カツオの場合は「血合い付き」で売られていることも多い。

一見、色も黒く、血生臭いため敬遠されがちな部位。しかし、この血合い部分の栄養価は「レバー並」とも言われており、鉄分やタウリン、ビタミンD、B群などの栄養がたっぷり含まれているのだ。

 

カツオに含まれる犬に役立つ栄養と効能

カツオの栄養

DHA(ドコサヘキサエン酸)

DHAは、脳や網膜などの組織を構成する成分でもあることから、脳の健康を維持して学習能力や記憶能力の向上、目の網膜や視神経での情報伝達の円滑、視覚回復のサポートなどにも期待がもてる。

また、高齢犬の認知症予防にも効果があるといわれている。

 

EPA(エイコサペンタエン酸)

DHA、EPAは共に「オメガ3系高度不飽和脂肪酸」という栄養素であり、科学的な構造も似ているため同じ効果を示すことがあるという。

EPAの主な働きは、血液中の善玉コレステロールを増やしてくれる作用がある。血管・血液の健康維持には重要な成分であり、血栓を予防してくれる効果があるとされている。

 

ナイアシン

ナイアシンはビタミンB3とも呼ばれ、基本的には肉や魚に多く含まれている成分。
 
糖質、脂質、タンパク質の代謝に欠かせない。循環系、消化器系、神経系などの働きをサポートしてくれる。
 
 
 
ビタミンB12
 
ビタミンB12は補酵素として、タンパク質、炭水化物、脂質などの代謝を助ける働きがある。
 
また、造血ビタミンの一つであるビタミンB12は、赤血球の生産には欠かせない栄養素でもあるのだ。そのため、老化防止、貧血防止、タンパク質合成などに効果を発揮する成分とされている。
 
 
 
 

鉄分

主に、肉や魚に多く含まれているヘム鉄と、野菜に含まれる非ヘム鉄に分けられるのだが、ヘム鉄のほうが鉄としての吸収率が高い。
 
カツオに含まれる鉄分はヘム鉄。鉄分は貧血予防や改善に効果的と言われている。
 
鉄分は赤血球の中の「ヘモグロビン」を作るのに欠かせない材料。また、赤血球が酸素を運ぶ手助けをしてくれる大切な役割もある。
 
 

 

 

気になるカツオのカロリーと糖質・脂質は?

カツオ

カツオは捕れる季節によって、春は「初ガツオ」、秋は「戻りガツオ」とある。

戻りガツオの方が脂がのっている分、カロリーや糖質、脂質は高そうだが、実際はどの位含まれているのだろうか。

 カロリー糖質脂質
春:初ガツオ114kcal0.1g0.5g
秋:戻りガツオ165kcal0.2g6.2g

(※いずれも100gあたりの数値)

こうして見るとその差は一目瞭然。やはり戻りガツオの方が圧倒的にカロリーや脂質が高い。

とはいえ、カツオ一切れ17g~20g。基本的に犬に100gも食べさせるものではないので、数値はドックフードのトッピング、手作り食、おやつで与える時の参考程度に。

 

アニサキスによる食中毒を予防しよう

アニサキス腹痛

最近よく聞くようになった寄生虫アニサキスによる食中毒。

当然、スーパーで売られている切り身やサク状にもまれに付着しているようだ。愛犬に安全に与えるためにも予防方法はマスターしておこう。

 

 

そもそもアニサキスとは?

アニサキスは寄生虫の仲間で、クジラやイルカなどの消化管の中に生息する線虫である。

それらの排出物と共にアニサキスの卵も海に排出され、オキアミなどのプランクトンに食べられ幼虫に成長する。それを捕食した魚(ふだん私たちが食べてる魚)に寄生し、最終的には成虫になれる宿主(クジラやイルカなど)に捕食されるというわけだ。

 

私たちがよく耳にするアニサキスは幼虫で、長さ2~3㎝、幅0.5~1㎜くらいで、白色の少し太い糸のように見える。主に魚介類の「内臓」に寄生しているが、宿主が死亡し鮮度が落ちてくると、内臓から筋肉に移動する。

 

アニサキス食中毒の症状

アニサキスが生きたまま胃にいってしまうと、胃の壁を突き破ろうと噛んでくる。これが我慢できないほどの激痛となるのだ。また、吐き気、嘔吐、じんましんなどの症状をともなうこともある。

人の場合、この症状の多くが食後8時間以内に現れるとされているが、犬も同じ症状を起こす可能性があると言われている。

 

アニサキスを予防する方法

加熱する

厚生省のホームぺージでも注意喚起しているが、「加熱なら70℃以上、または60℃なら1分」とされている。

参照:アニサキスによる食中毒を予防しましょう (厚生労働省)

カツオ加熱

 

冷凍する

アニサキスは-20℃で24時間以上冷凍すると死滅すると言われている。だが、家庭用の冷凍庫は-18℃の場合が多いため注意が必要だ。そのため家庭用の冷凍庫では48時間以上の冷凍を勧めている場合もあるようだが、個人的にはオススメしない。

カツオ冷凍

 

細かく刻む

一番安全なのは加熱することがベストだが、愛犬に生のカツオを味わせたい飼い主さんも多いだろう。

そんな時は切り方に一工夫。アニサキスは少し傷がつくと死んでしまうので、細かく刻んだり薄くスライスするとよい。また、アニサキスは肉眼でも確認できるため、調理の際はよく確認してみよう。

人の場合は「よく噛む」ことにより予防できるが、犬の場合はよく噛まず丸飲みしてしまう。なるべく細かく刻んだものか、薄くスライスしてから与えよう!

カツオ

 

さいごに

カツオ

魚の代名詞とも言えるDHAやEPAをはじめ、良質なタンパク質なども豊富に含むカツオ。

日本近海を回遊しているカツオは、今や一年中スーパーで見かける存在だ。季節によって生育する場所が変わり、捕れる時期によっては脂ののりかたも異なる。

アニサキスには注意が必要だが、適切な予防をすれば安心して食せることが分かった。

ぜひ、春と秋の旬のカツオを愛犬とたっぷり楽しんでもらいたい。

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