2月~5月に旬を迎える春野菜「明日葉(あしたば)」。
その名の通り、今日、葉を摘んでも明日にはまた伸びてくることからこの名がつけられたという。
青汁の原材料としても有名な明日葉、今やその豊富な栄養価でじわじわと注目を集めている存在だ。
もちろん、明日葉のパワーは犬にとっても有効。中毒になる成分など含まれていないため、犬に与えても大丈夫な春野菜である。
今回はそんな生命力の強い明日葉についてご紹介していこう。
明日葉とはどんな野菜なの?
明日葉はセリ科シシウド属の植物。
日本が原産の明日葉は、房総半島や三浦半島、八丈島や大島など伊豆諸島、紀伊半島など温かい太平洋沿岸で自生している。
主に、その分布地域である八丈島や伊豆諸島などから出荷されるが、最近では東京近郊でも栽培が進められているようだ。
明日葉は「葉」と「茎」を食用とする野菜なのだが、茎が太いものは筋が多く苦みが強いので食用には向かない。茎が細くて柔らかいものは犬にも与えられるが、できれば葉っぱ部分を与えるようにしよう。
また、茎の部分は、緑色の「青茎」と茶褐色の「赤茎」があるが、赤茎のほうがやや苦味があると言われている。
なお、明日葉とよく似ている「ハマウド」と呼ばれる、関東および中部地方の海岸に分布し、一見すると明日葉にそっくりな植物も存在する。
ハマウドは有毒植物ではないが、普通は食用にはされない植物なため、自生しているものを採取するときは注意しよう。
明日葉の栄養と効能
生命力が強く、古くから不老長寿の妙薬ともされていた明日葉。
青汁の原料になるほどの野菜であるが、一体どんな栄養が含まれているのだろう。
カルコン
明日葉の葉や茎を切ったときに出てくる黄色い汁は「カルコン」という成分によるもの。
植物では明日葉にしか含まれないファイトケミカル(ポリフェノール)の一種だ。
カルコンには強い抗酸化作用があり、近年注目を集めている。
葉酸
葉酸といえば、妊娠初期に必要となる栄養素としても知られているが、その理由は細胞の生成に必要な栄養素だからである。葉酸は他にも血液を作る働きも持っており、明日葉には豊富に含まれているのも特徴だ。
犬は腸内細菌によって多少の葉酸が作られるというが、犬の1日の必要量を満たしているかまでは明らかになっていない。
普段口にするものから積極的に摂ることは決して容易ではないため、不足しないよう補ってあげよう。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
近年、高血圧や脳卒中の予防などにもつながる重要な栄養素として注目されている。
βカロテン
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。
しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素なのも嬉しいポイントである。
食物繊維
明日葉は、食物繊維が豊富な野菜である。
食物繊維の働きにより便質の改善や便通を促す働きがあり、お腹の調子を整えることができると言われている。
明日葉の与え方
明日葉の下茹で
明日葉はアクがとても強い野菜なので、与える前に必ず下茹でをしておくのが重要になってくる。
下茹での方法は、鍋にたっぷりのお湯を沸かして、茎の部分は少し長めに、葉の部分はサッと茹でるようにしよう。
また、茎の部分が太い場合は、茹でても筋が残って苦味が多いため使用するのは避けたい。
次に、茹で終わったら、冷水に取り水気を絞っておく。消化に良いよう細かく刻んでから、フードのトッピングや手作り食などに活用しよう。
明日葉の与え方
明日葉は独特な苦みやクセ、香りのある野菜なので、犬が嫌がって食べないこともあるかもしれないが、与えて嫌がる場合は無理に与えないようにしよう。
ただ、クセのある明日葉ではあるが、やり方次第では食べやすくすることも可能。
手作り食を作ってる飼い主さんは、油を使って調理するのも良い。明日葉の苦み成分を油がコーティングして、苦味やクセを抑えることができておすすめだ。
また、タンパク質との相性もいいため、肉や卵、しらす、豆腐といった食材と合わせてやると苦みを和らげることができる。
食物アレルギーがないか様子を見守ろう
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに
明日葉は、スーパーではあまり見かけないマイナーな野菜ではあるが、その栄養価の高さから入手する機会があったら、ぜひ愛犬の食事にも使ってみたい食材だ。
春に出回る旬の野菜との相性も良いので、春野菜を集めた料理を愛犬と楽しんでみるのも一興。
旬の時期に、スーパーなどで明日葉を見かけたら、迷わず手に取って味わっていただきたい。