犬がてんかんの発作を起こした!対応はどうすればいいの?

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さっきまで普通に元気だったワンコが口から泡をふいて倒れ、名前を呼んでも反応がなかったらどうしますか?

そして、ビックリしてオロオロしているうちに、何事もなかったようにケロッとして普通に戻るのがこの疾病です。

突然の異変に初めて接した際は、ただ驚くばかりで何もできないと思いますが、犬がてんかん発作を起こしたら落ち着いて対応する必要があります。

そして、てんかんの発作を起こしている愛犬にしてあげて欲しい対応が、獣医さんなどからいくつか挙げられています。

ここではその対応の説明と症状や治し方などを紹介します。

 

犬のてんかん発作後は治ったように歩き回るってホント?

脳にはおかしい所が見られないのに、回路がショートしたかのように過度の興奮が発生して、さまざまな病状を引き起こすものです。

ワンチャンにこれが起きるのは100頭に1頭とされていて、決して少ない疾病ではありません。

これらは突然起こってしばらくすると治まりますが、そのまま放置するとそのうちにまた同じことが繰り返されます。

治すための薬の投与を開始するかどうかは、月に1回以上の頻度になった時というのが大方の基準です。

頻度の増減はさまざまですが、慢性の脳の疾病なので少しずつ進行していくとされていて、そのため、ワンコをいつも注意深く観察することが大切です。

その成り立ちによって大きく2つに分類されています。

 

特発性(原発性)

ワンコに多いとされ、なぜ発生するか誘因が不明のものがこのように呼ばれています。

また、遺伝要素で起こしやすいとされているのはこちらのワンちゃんたちです。

  • ゴールデン・レトリーバー
  • ラブラドール・レトリーバー
  • ダックスフンド
  • ビーグル
  • シェパード
  • ボーダー・コリー
  • ボクサー
  • プードル
  • ハスキー

 

二次性(症候性)

ケガや疾病で脳が損傷して障害が残って発症することがあります。

  • 交通事故などの外傷
  • 脳炎
  • 脳腫瘍
  • 水頭症
  • 肝臓病
  • 腎臓病
  • 低血糖
  • 薬物による脳障害
  • 出産の際の低酸素症

てんかんの特徴として、発作が治まると元通りに過していることが多いとされています。

ケロッとしているならそのままでも良いのですが、治ったわけではありません。

できれば早めに診察を受けておきましょう。

 

犬のてんかんの症状とは?前兆ってあるの?

脳のショートしている箇所により病状が違ってきます。

信号を発している脳の場所が関係する所に現れるので、ワンコをしっかり観察して記録をしておくと診断の役に立ちます。

それらは大きく3つにわけることができます。

 

前兆とされるもの

ワンコが何となく違和感を覚えてこのような仕草を見せます。

  • 何となくボーッとしている
  • 目の焦点がおかしい
  • 時々気を失う
  • 吐き気を思わせるような仕草やお腹を気にする仕草を見せる
  • 落ち着かず不安げにしている

ただ、ちょっとした仕草の変化であるため飼い主さんが気づかないことが多いのです。

 

部分発作

脳の一部がショートしている場合は、部分的に起こり、意識があるのに体が動かないことがあるとされています。

  • 体の一部がけいれんしたりするほか、しびれたような仕草を見せる
  • 瞳孔が開いている
  • 大量のよだれを垂らして、泡をふく
  • 名前を呼んでも反応しない

これらは脳の表面に近い部分がショートしているとされ、初期段階に見られることから、これらを見逃さずに獣医さんに伝えることが大切です。

 

全般発作

脳の全体がショートしてしまっていて、全身に症状が起こります。

  • 気を失い、突然バタリと倒れる
  • 吐いたりするほか、オシッコやウンチを漏らす

けいれんは2~3分ほどで終わることが多いのですが、その後にすぐ正常に戻ってもしばらくボーッとしていることがあります。

これは発作を起こしている間に脳の神経細胞がエネルギーを使い果たすためと考えられています。

また、これらには下記のパターンがあります。

  • 強直けいれん:体をのけ反らせるように突っ張る
  • 間代けいれん:四肢を激しく震わす

そして、これらの出方によって全般発作は3つに分類されています。

  • 強直発作:強直けいれんだけが見られる
  • 間代発作:間代けいれんだけが見られる
  • 強直間代発作:2つが同時に、あるいは交互にみられる

この中で強直間代発作はてんかんの代表的な症状とされています。

そして、これらが起こる機序には3通りあります。

  • 全般てんかん:脳の奥に興奮部位があり、そこから周囲に興奮が拡がる
  • 症候性全般てんかん:脳内のあちらこちらが興奮していて、それが拡がる
  • 部分発作の二次性全般化:脳表面の1カ所の興奮が、中心を通して拡がる

これらの機序によって病状が現れることになります。

 

犬のてんかんの群発発作と重積発作とは?死亡や後遺症が残ることも

ただの全般発作であれば2~3分ほどで落ち着き、命を落とすことはないとされています。

しかし、次の2つの発作では命を落とすことがあるとされているので、発症したなら直ぐに獣医さんの診察を受けてください。

  • 群発発作:24時間に2回を上回る発作が起こる
  • 重積発作:1度の発作が30分以上の長さで、てんかんが続く

なお、5分以上続くと脳にダメージが生じて後遺症が残るとの指摘があります。

もし5分以上続いてしまったら、獣医さんに診察してもらいましょう。

 

犬がてんかんを起こした際の対応とは?

ワンコが突然てんかんの発作を起こしたら家族全員が驚いてしまいますよね。

苦しそうで、何かしてあげなければとパニックになることでしょう。

しかし、この際のワンコは苦しさや辛さを感じていないとされています。

ただ治まるのを見守ってあげるしかありません。

ただ、見守るにしても気をつけておかなければならないことがあります。

  • 身体を抑えつけたりしないこと
  • 身体をゆすったりしないこと
  • 口の中に物や指を入れないこと
  • ワンコの周囲を広く取り、家具などをワンコの身体から離すようにすること
  • ものが上から落下しないことを確認しておくこと

これらのことに気をつけた上で、ワンコの様子をよく観察しておきましょう。

  1. 起こる前の行動
  2. 始まった時、どこからだったか
  3. そこからどのようにほかに移っていったか
  4. いつ気を失ったか
  5. 始まりから終わりまでの時間
  6. 終わった後の様子
  7. 正常に戻るまでの時間
  8. 起こす前にいつもと違う動きがあったか
  9. いつもと違う動きがあったとして、どのくらい前に起こっていたか

たくさんの項目がありますが、これらは獣医さんが診断する上で重要です。

獣医さんの診察の手助けとなりますので、しっかりメモを取っておくか、スマホなどで動画に撮っておいても良いでしょう。

 

犬のてんかんの治療法とは?薬が効かないってホント?

抗てんかん薬は効かないと言われることが多いのですが、ある程度までは発作を抑えることができます。

ただ、薬は完治が目的ではなく、発症を3カ月に1回未満まで抑えることができれば良いとされています。

ワンコに効果が認められている主なものはこれらです。

  • ゾニサミド:日本で開発されたもので、てんかんには第1選択です
  • 臭化カリウム:開発は古いのですが、安いのでゾニサミドとの併用で使われています
  • レベチラセタム:効果が高く副作用が少ないですが、効果で1日3回飲ませなければなりません
  • イメピトイン:日本では未承認のため輸入で入手できますが、高価です
  • フェノバルビタール:古くから使われていて効果があり、安価なことがメリットです

 

犬のてんかんの自然療法としての療法食とは?

脳に良い作用があり効果があるとされる成分がいろいろあり、それらを含むフードが開発されて療法食として販売されています。

 

抗酸化物質

脳神経系の酸化を防いで障害を軽減します。

  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • セレニウム
  • ポリフェノール

 

ミトコンドリア捕因子

脳細胞内のミトコンドリアがダメージを受けているため、それを正常化させます。

  • α-リポ酸
  • L-カルニチン

 

オメガ3脂肪酸

亜麻仁油や魚油などに含まれていて脳以外の臓器にも好影響があり、ワンちゃんでは不足がちです。

これらの成分を含むフードを、薬を投与してもなかなか頻度が減らないようなケースでサポートとして与えると良いでしょう。

 

犬のてんかんに良い手作りおやつのレシピ

亜麻仁油やすりおろしニンジンで抗酸化作用などがある手づくりオヤツはいかがでしょうか?

タンパク質を馬肉や大豆、卵などから摂取できて、フードへのトッピングとしても使えます。

 

材料(それぞれ適量で)

  • 馬肉
  • ゆで卵
  • 大豆(水煮)
  • すりおろしニンジン
  • 亜麻仁油

 

作り方

  1. 馬肉を焼いて冷ましたら、食べやすいように小さく小切りにする
  2. 水煮大豆やゆで卵も食べやすい大きさに小切りして馬肉と混ぜる
  3. 仕上げに亜麻仁油をかけまわして完成

馬肉の替わりに鶏ササミや、サバやアジなどの青魚を使っても良いでしょう。

 

犬がてんかんの発作を起こした!対応はどうすればいいの?まとめ

愛犬がてんかんになって発作が起こった時は、冷静に対応することが大切です。

あわててしまってさらに症状を悪化させてしまったり、あるいは嚙まれたりすることのないようにしましょう。

そして、犬のてんかんはいつ発作が起きるかわかりませんので、対応を常に意識しておくとともに、日々の観察をしっかり怠らないようにしましょう。

また、薬剤による治療は一生続ける事になるものです。

食事療法などのサポートで投与量を減らすことができるかもしれません。

てんかんに有効な成分が含まれているフードや手作りご飯をたべさせてあげてくださいね。

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