【専門家監修】犬に穀物は必要なの?デメリットとアレルギーについても!

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愛犬に「ごはん」を食べさせる際に「穀物はあげてもいいかな?」と悩む機会はありませんか?

人間にとっては、とてもメリットがある「穀物」ですが、犬にとっては調理方法などでかなり効果が変わってきます。

一般的に販売しているドッグフードは、穀物など(小麦やトウモロコシなど)を使用していることが殆どですが、「穀物不使用(グレインフリー)」のような ”穀類を含まないドッグフード” は、犬にとってどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

【専門家監修】若林あき子

専門家 監修
【動物関係の保有資格】
●JKC愛犬動物飼育管理士●愛玩動物救命士●JCSA動物看護士●犬のしつけインストラクター●犬の栄養管理士●ペット介護インストラクター●ドッグトレーニングアドバイザー…等

 

犬の食生活に「穀物」は必要なの?

ワンちゃんに穀物は必要な栄養素なのか?という疑問が生まれると思いますが、結果から言うと「食べさせたいなら”消化をしやすくしてからあげる”」が正解。

その理由としては、穀類に含まれる栄養素は主に炭水化物であり、ほぼその中でも“デンプン”が高確率で配合されています。

犬が穀物を消化しにくい原因は「デンプン」だった。

デンプンは、何も調理をしない状態だと、犬だけではなくたくさんの動物にとって消化性が悪い栄養素といわれているモノ。

犬が野生動物だったころは、「穀類を食べていた」というデータは見つかってないので、「犬にとって穀物は有害だ」という考え方も多いようです。

しかし、どうして当時の野犬たちが穀類を食べていなかったのか。

それは、「穀類に含まれている炭水化物を生の状態では自分たちの体では消化できない」と本能で体が知っていたから。

私たち人間が、お米を炊いて柔らかくしてものを食べるのと同じように、よく加熱をして消化しやすくすれば、ワンちゃんにも穀物を食べさせることができます。

一般的にドッグフードで使われている穀類については、「炭水化物の消化性をきちんと計算され、しっかりと加熱しているもの」だからワンちゃんに食べさせても特に影響はありません。

犬の穀物の過剰な摂取は「アレルギー」のもと

ワンちゃんはたくさん体内に入れた炭水化物の消化を不得意としています。

多くの穀物を一度にたくさん体内に入れると消化ができません。

野犬時代に食べてこなかったために、そのような体質に進化をしてきたのだと思いますが、犬は長い歴史の中で人間と生活を共にしてきており、その共存の中で肉だけではなく野菜などを消化できる体になってきたのではないでしょうか。

先祖たちの体質も関係している

雑食化してきた犬の体のつくりはまだまだ“肉食動物”だった過去の面影がありますよね。

歯の中には牙が残っていたり、人よりも胃酸が濃かったり、腸の長さが短かったりするなどの身体的特徴もあり、犬の先祖はほぼ100%「オオカミだった」という事実も有名な話。

なので、もとから犬は穀物を主に食べていたわけではないので、遺伝子レベルで身体に合わないという現象が「アレルギー反応」。

また、穀物の種類の中でも「小麦」は一番高確率でアレルギーを引き起こしやすいといわれています。

小麦は非常にグルテンの含有量が多いため、ワンちゃんにとっては消化をしにくい食べ物です。

ワンちゃんには、グルテンを消化できる酵素がないので、体が拒否をしてアレルギーを起こしやすくなります。

犬用の「グレインフリー」もおすすめ

グレインの意味を知っていますか?

グレインとは「穀物」を意味します。

いまの時代、この「グレイン」を含まない「グレインフリー」というドッグフードが販売されています。

白米や玄米などの穀物を含まないので、アレルギーが出ることもなく、安心して食べさせることができますよ。

グレインフリーのドッグフードは、アレルゲンである穀類を使わない分、ミート類が多く含まれており高タンパクなフードであることが特徴的です。

消化の良い動物性タンパク質が主体となるため、便秘や下痢などの腸内トラブルや肥満予防にも効果的です。

また、アレルギー対策だけではなく、毛ツヤなども良くなったという声も多くあります。

犬にとって「グレインフリー」はどんなデメリットがあるの?

健康的で安全なグレインフリーのドッグフード。

メリットだけではなく、デメリットもあります。

それは「グレインフリーのフードは値段が高い」ということ。

体に良いものを食べさせてあげたいという気持ちがあるのは大事なことですが、経済的に無理をすることはよくありません。

余裕のある場合に、ワンちゃんの健康管理のため、今食べさせているフードに消化や健康の不安を感じている方は試してみても良いかもしれないですね。

今から、できるだけの予防をしてあげることも、飼い主として大事な心構えです。

そして、逆に「グレインフリーは必ずしも良い食事というわけでない」ということも念頭に入れて置いてくださいね。

良いものでも、やはり過剰摂取はよくありません。

穀物を食べると犬にはどのようなアレルギー症状が起こるの?

人間であれば自分の体調などの判断で、アレルギーの状態を把握できますがワンちゃんは自分の体の不調を私たちに知らせてはくれません。

当然ですが、アレルギーが出てしまっているかどうかは、私たち人間がワンちゃんの様子を見て確認することが大事。

穀物を食べるとどのようなアレルギーが発症するのか。

詳しく見てみましょう。

体のかゆみ

耳や目の周り、ごく稀に口の周りにもかゆみを伴う場合があります。

特に、普段から体を掻くようなワンちゃんは特に要注意。

箇所としては”指先や脚の付け根・胸・背中”などを痒がることが多く、掻きすぎてしまうことで新たな皮膚炎になってしまったり、部分的に毛が無くなってしまうこともあります。

かゆみという症状は「アトピー性皮膚炎」でも見られますが、実は”背中”に症状が出ることはほぼナシ。

なので、何か食べ物をあげたあとに、食べ物によるアレルギーが発症している場合は、背中を痒がっている仕草を見せる場合があるので要注意。

また、食べ物によるアレルギーはアトピーと一緒に発症してしまっている事もあり、飼い主さんの判断しにくい場合が多々あります。

他の病気も一緒に発症している可能性もあるため病院へ向かうことをおススメします。

病院ではアレルギーの原因となる食材を治療食で判断し、血液検査でワンちゃんの対象となるアレルゲンを調べることもできますよ。

下痢、重症なときは嘔吐

人間と似ていて、ストレスや疲れなどによって発症することもあるため気づきにくいですが、食物アレルギーによっても体調が悪いときに多い症状のひとつ。

皮膚のかゆみと一緒に発症することもありますが、下痢や軟便・嘔吐といった症状だけの場合もあり。

下痢やいつもと比べてウンチが柔らかいなど異変を感じたらすぐに病院へ連れて行きましょう。

穀物を使用して犬用の手作りごはんを作りたい!

色々と、穀物のデメリットもご紹介してきましたが、調理方法をしっかりとしていればワンちゃんでも食べやすく消化しやすくなりますよ。

オートミールを取り入れてみる

ワンちゃんに食べさせる穀物としておススメなのが「オートミール」

オートミールは、オーツ麦とも呼ばれている穀物を全粒のまま擦り潰したもので、犬にも必要な「ビタミン・ミネラル」の他にも、便秘の予防にもなる食物繊維も豊富。

ただし、乾燥したままのオートミールをそのまま食べさせてしまうと、とても食べにくいため柔らかく煮てあげることがポイント。

また、食物繊維が豊富なため逆に与えすぎには要注意が必要です。

もち麦もおススメ

モチモチとした食感が人間にも大人気のもち麦。

もち麦には、白米の26倍もの食物繊維が含まれており、高タンパク質ということから総合的に見ると、栄養素が豊富なのでとても注目されている食材です。

ワンちゃんのごはんに使用するときは、白米と混ぜて炊いたものを柔らかく更に煮てあげたり、スープで柔らかく煮込んであげると消化しやすくなるのでおススメ。

考えすぎないこと

「手作り犬ごはん」と聞くと、「しっかりしないと」「ちゃんと作れるかな・・・」と考えすぎてしまいますよね。

でも、ワンちゃんのごはんは簡単に言えば「味付けなしのごった煮」を作るだけです。

食材選びは旬のものをなるべく使用すること。

また、出来れば無農薬の野菜を使用することが好ましいですし、上手に穀物の特徴を活かしながら使用すれば用意する食材の分量も少なくて済みます。

ごはん作りに慣れてくれば、飼い主さんのご飯と同時に作れるので是非ワンちゃんの手作りごはんに挑戦してみてください。

まとめ

食べられない食材はたくさんありますが犬に穀物は調理の仕方によって、かなり体に良い健康食材だということが分かりましたね。

「手作りごはん」と聞くと栄養素や問題点などを勉強することはたくさんありますが、慣れてくるとアレンジもできるメリットも。

また、回数を重ねて手馴れてくると人間のご飯と一緒にごはんを作ることもできるのでオススメです。

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