犬が虫歯になったら症状は?治療費や見分け方を紹介

犬 虫歯
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皆さんは虫歯を予防するために、毎日歯みがきをしていますよね?

中には食後のたびにみがいている方もいるのではないかと思います。

そんな毎日歯みがきしている飼い主さんに伺いますが、犬も虫歯になる事をご存知ですか?

昔から「動物は歯みがきしなくても虫歯にはならない」と言われていました。

祖先のオオカミは歯をみがいてないが虫歯にならないから犬も大丈夫というのがその理由ですが、現代の犬にはそれがあてはまりません。

生肉を食いちぎってよく噛むオオカミは、食事そのものが歯みがきをしているのと同じなのです。

それに対してドッグフードなどを食べている現代の飼い犬は、食べかすが歯の間に残り、歯の表面に歯垢となって残るために虫歯になりやすくなってしまったのです。

人と暮らすようになり食生活が変わった飼い犬は、歯をみがかないと虫歯になり、歯周病を起こします。

ここでは犬の虫歯とその治療などについて解説します。

 

犬に虫歯があるかないかはどう見分けるの?

虫歯ができれば人と同じで痛みが起こりますので、口を足で掻いたりするほか、頭や顔をなでようとすると嫌がったりします。

またご飯の時によく見ていると片方でだけ噛んでいたりするほか、以下にチェックポイントをご紹介します。

 

口の中の変化について

  • 口臭がひどくなる
  • 歯の表面が黄色、茶色になっている
  • 歯の表面に穴がある、欠けている、折れている
  • 歯ぐきが腫れている
  • 歯ぐきから血が出ている
  • 永久歯なのに歯が抜けてしまった

 

ご飯を食べる際の様子の変化について

  • 食べている時間が長くなった
  • ご飯をあげても喜ばず、食べないことがある
  • 片側の歯だけで嚙んでいる
  • ご飯を食べ散らかすようになった
  • 水を飲む時に周りにこぼすようになった

 

ふだんのしぐさの変化について

  • 足で口の周りを触ったり掻いたりする
  • 顔を触ろうとすると嫌がる
  • 何かと攻撃的になりイライラしているように見える

こうして挙げてみると、人が虫歯になった時とほとんど同じようですよね。

「痛い」と言葉で伝えられないワンちゃんですから、上記のチェックに当てはまることが多かったなら、虫歯や歯周病になっているかもしれません。

 

犬の虫歯を治すにはいくらかかるの?

虫歯を治してもらえる動物病院では、人と同じ治療方法が行われます。

 

虫歯となった部分を削り取って、その後にできるすき間をつめ物で埋める

以下のように人の治療と同じ手順で行われます。

  1. カリエス(虫歯)の発見
  2. 患部を削りとる
  3. 歯根の神経を抜く(抜髄)
  4. 抜いた後につめ物をする(根管充塡)
  5. 歯のコアを作りセットする

そしてこれらができないほど深く進行してしまったら全身麻酔をかけて抜歯します。

ただし、これだけするのに健康保険が使えない犬ではその費用はかなりの高額になってしまうのです。

虫歯の本数、進行度合、通院回数、そして施設の料金設定によってかなりの違いがありますが、30,000円~100,000円はかかるとされています。

ちなみに犬は治療の際に必ず抵抗して獣医さんに噛みつくために、歯を削るだけでも全身麻酔をかけることになり、費用だけでなく身体にも大きな負担がかかるのです。

 

犬が虫歯になったらどこに連れて行けばいいの?

日本では動物の診療を行うことができる資格は「獣医師」のみです。

獣医さんは内科や外科あるいはそれ以外の診療科も全て診ていますが、「歯科獣医師」といったような資格はありません。

そのため獣医さんがいる施設であれば、犬の歯を治療することに法律的には問題はありません。

しかし、大学などで教える獣医学では歯科領域には触れられないため、獣医さんが犬の虫歯や歯周病について専門的に学ぶ機会も場所がほとんど用意されていないのが実情なのです。

最近になって都会では、獣医さん自らが勉強されて、動物用の歯科治療用の機械や設備を整えて「動物歯科」を掲げる病院が登場するようになりましたが、まだまだ一般的なものではありません。

現状では数少ない虫歯治療をしてもらえる獣医さんを探すしかなく、通える地域にそれがなかったら全身麻酔をかけて抜歯するよりほかにないのです。

 

犬の虫歯を放置していたらどうなるの?

治してくれるところがないからと言って、放置しておくと虫歯がどんどん進行してしまいます。

そうなれば歯ぐきにも悪い影響が出ることは避けられず、歯周病を併発するようになります。

そうなると歯がどんどん抜け落ちてしまうだけでなく、あごや顔の骨を溶かしてしまって顔に穴が開いて膿が出るなど悲惨な状態になります。

やがて、口の中の細菌が全身に回るようになり、あちらこちらで炎症を起こすようになり、それが心臓であれば命を落としてしまうことになります。

 

犬の虫歯は予防することが最善の手段

愛犬が虫歯になることがあるとわかり、さらにそれを治すための施設が少なく、費用が高く簡単ではないこともわかりました。

これらのことを踏まえれば、飼い主さんがすることはただ一つで、虫歯にならないように予防することのほかにはありません。

愛犬の歯がなくなってしまうことがないように、ふだんから歯みがきをして予防することが大切です。

 

犬の虫歯を予防するにはどうすればいいの?

虫歯の予防に一番効果があるのは何と言ってもやはり歯みがきをしてあげることです。

いつから始めたら良いかといえば、できるだけ早く始めるべきで、小さいころから慣れさせるのが一番良いでしょう。

ある程度の年齢になってしまうと、飼い主さんといえども口の周りを触らせることを嫌がります。

遊びのようにしてクチビルをめくったり、歯を触ったりあいながら口周りを触ることを慣れさせると、歯みがきをすんなりと受け入れてくれるようになりますよ。

歯みがきに慣れさせる手順を簡単に紹介します。

  1. 片方の手にごほうびのオヤツを多数持つ
  2. 違う方の手で犬の口を触る
  3. 大人しく触らせてくれたら褒めてあげてオヤツをあげる
  4. 何回か繰り返して慣れてきたら、今度は唇をめくってみる
  5. これも大人しくやらせてくれるようになったら褒めてオヤツをあげる
  6. 飼い主さんの手で直接、歯や歯茎を触ってみる
  7. 触っていても怒ったりしなければ褒めてオヤツをあげる
  8. 今度は歯ブラシを犬の歯に一瞬当ててみる
  9. これも嫌がらなかったら褒めてオヤツをあげる
  10. ここまで何度か繰り返して歯ブラシに抵抗がなくなったら歯磨きを始める
  11. 犬歯から始めて、前歯から徐々に奥へ向かうように磨く
  12. 犬の口を少し開けさせて歯の裏側も磨く

なお、犬歯からみがくのは一番みがきやすいことと、歯垢が付きやすいことがその理由です。

ここまでできれば愛犬の歯のケアはOKですが、なかなかスムーズには行かないことが多いでしょう。

歯みがきをさせてくれるようになるまでは、根気よく続けてくださいね。

  • 途中で嫌がってもあきらめず、一つ前の段階に戻って繰り返し進めて行きましょう
  • 嫌がっても叱らないことも大切で、遊びと思わせるように楽しく声をかけましょう
  • ごほうびのオヤツは少しずつにして「もっと欲しい」と思わせるようにしましょう
  • とにかく嫌がらなくなったら、思い切り大げさに褒めてあげることが大切です。

また、歯みがきをさせるようになったら、口に鼻を近づけて口臭のチェックもしてくださいね。

口臭が酷い時は歯や口周りの疾病だけでなく、内臓に問題あるかもしれません。

かかりつけの獣医さんに診察してもらってください。

 

歯みがきのほかに予防できることがあるの?

直接の予防手段として最強なのは歯みがきですが、そのほかにも飼い主さんが気を付けることで予防につながることがあります。

 

歯みがき用グッズの活用

歯ブラシ以外に歯をきれいにする歯みがきグッズがたくさんあります。

  • 歯みがきシート
  • 歯みがき用指サック

これらはブラシを嫌がるワンちゃんに有効で、特に指サックは歯石をきれいに落としやすいのでおすすめです。

また、ガムやおもちゃなどの補助アイテムもサポートとして使用すると良いですね。

歯みがきガムにはさまざまなタイプがあり、噛み応えのあるもの、凸凹があって汚れがとれやすいもの、消臭成分が含まれているものなどがあります。

さらには、口臭や歯石対策用のサプリメントも発売されていて、ご飯に振りかけてたべさせるものや、水に混ぜて飲ませるものなど、こちらもさまざまなものが出回っています。

 

犬に歯みがきする際に気をつけること

歯みがきペーストを使用するのはかまいませんが、人用のものは使わないでください。

人用の歯みがきペーストには歯に良いとされるキシリトールが含まれていることが多いのですが、これによって犬が中毒を起こすことが知られているのです。

よほど大量に口にしなければ命にかかわることはありませんが、毎日使っているうちに中毒になってしまう恐れがあります。

愛犬の歯みがきには必ず犬用のペーストを使うようにしてください。

 

犬が虫歯になったら症状は?治療費や見分け方を紹介・まとめ

犬が虫歯にかかることがある、そしてきちんとした歯科治療をすることができる動物病院はまだ少ないこともお伝えしました。

そして、もし近所に虫歯治療ができる獣医さんがいて通院できたとしても、そのたびに全身麻酔をかけて治療をしなければならず、費用が高額になることもわかりました。

これらのことから、愛犬が虫歯や歯周病にかからないように予防することが、愛犬だけでなく飼い主さんにとっても一番良いことがおわかり頂けたことと思います。

愛犬を歯みがきに慣れさせるには飼い主さんの根気と時間が必要ですが、なかなか上手く行かなかったとしてもあきらめないで頑張ってください。

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