犬が無呼吸になった時の対処法とは?発作や治療を紹介

犬 無呼吸
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犬って、けっこう大きなイビキをかきますよね。

昔飼っていたマルチーズが、歳を取るに連れてイビキがだんだん酷くなりました。

最初は家族と笑いながら見ていたのですが、そのうち時々ピタっと止まって、聞こえなくなることがあるのに気がつきました。

おかしいと思って、静かになった時に顔を近づけてみたら、息をしていない!

驚いているうちに、ちょっと経ったらまたイビキをかき始めました。

そう、これは人でいうところの無呼吸症候群で、それに犬もかかることがあると知りました。

ここでは犬の無呼吸症候群について解説して、治し方などを考察します。

 

睡眠時無呼吸症候群とは?

人の場合なら太り気味の中年に多いイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか?

上向きに寝ているとイビキがうるさい人は要注意で、肥満で喉の周りの脂肪や、舌根という舌の付け根が重力よって下がって気道を塞いでしまって起こります。

イビキが止まったと思ったら10秒から20秒、長い時には30秒も止まっていることがあって、一緒に寝ていて驚かされることがあります。

その後またイビキをかいては止まるが繰り返され、酷い場合には一晩に100回も止まることがある疾患です。

そのために眠りが浅くなって睡眠不足が慢性化して、昼間にぼんやりするなどするようになってしまうのです。

また、人ほど多くはありませんが、肥満しているワンちゃんはイビキかくことが多いほか、シニアのワンちゃんも喉や首回りの筋肉が衰えてイビキをかきます。

さらに、鼻ペチャの短頭種のワンちゃんたちも、イビキをかきやすくかかりやすいとされています。

これらのワンちゃんたちで、この疾患が起こって毎晩呼吸が止まることが続くと、常に血中の酸素が不足してしまい悪い影響が出る恐れがあります。

 

イビキをかきやすい短頭種とは?

代表的なワンちゃんたちがこちらです。

  • フレンチ・ブルドッグ
  • パグ
  • シー・ズー
  • チワワ
  • ヨークシャー・テリア
  • マルチーズ
  • ポメラニアン
  • ペキニーズ
  • ボストン・テリア
  • キング・チャールズ・スパニエル
  • チベタン・スパニエル
  • チャウ・チャウ
  • ブリュッセル・グリフォン
  • ちん(狆)
  • ボクサー

スカルと呼ばれる頭蓋骨の長さよりも、マズルと呼ばれる鼻の長さが短いワンちゃんたちで、愛嬌のある顔立ちで人気がありますよね。

その顔立ちのために鼻の穴が狭く、喉の奥の軟口蓋が長いという特徴があり、イビキをかきやすく起きている時の呼吸音も大きいのです。

この顔の構造上の問題によって起こる疾患は短頭種気道症候群と呼ばれています。

 

そのほかに犬がイビキをかく原因

肥満や犬種によるもののほかにこれらの原因が考えられます。

 

アレルギー性の炎症

ワンちゃんも花粉症などのアレルギー性鼻炎や、アレルギー喘息などを発症します。

このアレルギー反応によって喉の周りや気道の粘膜で炎症が起こって狭くなってイビキが起こることがあります。

  • いつもイビキをかいている
  • 咳やクシャミをすることが多い
  • いつも鼻水を垂らしている
  • 皮膚を痒がっていることが多い
  • しょっちゅう軟便が出ている

これらは何らかのアレルギーが起きていることが考えられますので、一度診察を受けましょう。

 

口腔内や鼻腔内の腫瘍

口の中や鼻の中に腫瘍ができると、それが気道を圧迫するようになってイビキをかくことがあります。

いつも鼻水を垂らしているほか、出血が見られる、あるいはワンちゃんの顔が腫れるなどが見られたら、すぐに獣医さんに診察してもらってください。

 

睡眠時無呼吸症候群を治す方法は?

残念ながらこれといった治療方法や治療薬はありません。

人の場合は、寝る際に顔にホース・マスクを装着して、機械によって空気を送り込み気道に圧力をかけて開かせた状態にします。

あるいはマウスピースで気道を確保するように口に入れたまま寝るなどの治療方法がありますが、これらはワンちゃんには難しいとされています。

 

寝る姿勢を変えてあげる

ワンちゃんがイビキをかいている時の姿勢を変えてあげましょう。

仰向けになっていたりして、自分から苦しくなる姿勢を取ってしまっていることがあります。

人同じで横向きに寝かせてあげると、引力で下がって気道を潰していた脂肪組織などが横に流れ、気道が開くようになります。

イビキに注意して、書き始めたらすぐに横向きにして、少し背中を丸めるような姿勢に替えてあげてくださいね。

 

肥満を治す

肥満が原因と思われるケースでは、ダイエットで体重を落とすようにしましょう。

ワンちゃんも人と同じで、肥満するのは食生活や生活習慣に問題があるのです。

与え過ぎ、食べ過ぎによる過剰なカロリー摂取や運動不足などになっていないか、今一度しっかり見直して改善してください。

具体的には以下のことをきっちり守ると良いでしょう。

  • ダイエット用のドッグフードに切り替える
  • ゆでた野菜やササミなど低カロリー食材でカサ増ししする
  • 食事の1回分の量を減らし、1日の総量を変えずに空腹の時間を少なくする。
  • 散歩の回数や距離を増やす
  • ドッグランに定期的に連れていき、自由に走らせて遊ばせる

ドッグフードを切り替える際に、いきなり替えると食べなくなってしまうことがあります。

今までのフードにダイエットフードを少しずつ混ぜて割合を増やしていき、日にちをかけて全てダイエットフードに替えるようにすると良いでしょう。

散歩については飼い主さんの都合もあるとは思いますが、かわいいワンちゃんのためですから、多忙の隙を見つけて付き合ってあげてくださいね。

そして、気をつけなければならないのは、これらのことを急激に替えないようにすることです。

突然ご飯が替わって、生活習慣が変わるとストレスが溜まり、さまざまな問題行動を起こすようになるかもしれません。

少しずつ変えていきながら、できるだけワンちゃんと楽しく遊ぶ時間を増やしてあげると上手く進めることができるでしょう。

 

手術で気道を開く

腫瘍が気道を塞いでいる場合はそれを切除することが最も確実な治療方法となりますが、口の中や鼻の中の腫瘍は施術できないケースが多いのです。

その場合には放射線療法が施されることになります。

また、短頭種のワンちゃんに発症する短頭種気道症候群は以下の構造上の問題があります。

  • 外鼻孔狭窄
  • 軟口蓋過長
  • 喉頭虚脱
  • 気管低形成

これらの構造はどれも鼻の穴や気道を塞いでしまうため、手術で開く治療があります。

  • 外鼻孔拡大術
  • 軟口蓋切除術
  • 喉頭小嚢切除
  • 披裂軟骨側方化術

これらを施術してもダメな場合は気管切開をすることになります。

 

家の中での喫煙を止める

飼い主さん(あるいは家族)が喫煙をしている場合、家の中で喫煙することでタバコの副流煙が発生します。

これによってワンちゃんが受動喫煙することになり、鼻腔粘膜が刺激されて鼻水を垂らすようになります。

そして粘膜が腫れて鼻づまりを起こしイビキをかくようになるのです。

愛煙家の飼い主さんもご家族も、家の中では吸わないようにしてあげてください。

 

イビキのスコアってどんなもの?

海外ではワンちゃんのイビキを5段階で示したスコアがあって、イビキの程度を分けています。

  • スコア0:これといった症状は出ていない
  • スコア1:軽いイビキがたまに聞こえて、時々深呼吸をするようなしぐさが見られる
  • スコア2:イビキをかくことが多く、息が荒く深呼吸の頻度が増え、運動後や暑さに弱くなる
  • スコア3:常にイビキをかき、大きく深呼吸をするようになり、昼間の運動を拒むようになる
  • スコア4:チアノーゼを起こすほどの呼吸困難となり、やがて呼吸そのものが停止する

このスコアで2以上の症状が見られるようであれば、直ぐに獣医さんの診察を受けさせましょう。

ちなみにチアノーゼとは肺から酸素を吸収することができなくなり、歯ぐきや舌が紫に変色してしまう状態のことです。

 

イビキをかく老犬の睡眠薬内服は危険!

ワンちゃんが歳を取って認知症にかかって夜鳴きをするようになると、睡眠薬で寝かしつけるケースがあります。

飼主さんの安眠のために必要な処置ですが、処方された睡眠薬には筋肉を弛緩させる作用があるものが多く、緩んだ喉の周囲の筋肉によって気道が塞がれることがあります。

この状況で睡眠時無呼吸が起こると、止まった呼吸が戻らずそのまま命を落とす恐れがあるのです。

睡眠薬を内服していて、寝ている間の呼吸が不規則になるようなら獣医さんそのことを伝えて指示を受けましょう。

特に短頭種のシニア犬の場合にはかかりつけの獣医さんと相談しながら睡眠薬を使うかどうかを考えるようにしてください。

 

犬が無呼吸になった時の対処法とは?発作や治療薬を紹介・まとめ

犬の睡眠時無呼吸症候群ではこれといった治療方法や治療薬がないのが現状です。

飼主さんによる肥満の防止や、イビキをかいている時に横向きにしてあげるなど楽な姿勢に替えてあげることぐらいしかないのです。

ただし、短頭種の愛犬であれば顔の構造上の問題を手術で解消することは可能です。

しかし、手術には全身麻酔のリスクなどがともないますので、獣医さんに状況をしっかり伝えてよく相談して決断するようにしてください。

また、老犬の場合には、体の機能の衰えや、持病や認知症などとの兼ね合いがあります。

こちらの場合も獣医さんと相談して、愛犬の無呼吸の治療に最良の処置をよく考えるようにしましょう。

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