犬が喘息を起こした!原因や症状、対処法を紹介

喘息 犬
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咳が出る疾患がさまざまあるのは犬も人間と同じです。

また、軽くケホッとするだけものから、止まらなくなってゼーゼーと呼吸困難を引き起こすものまでいろいろなパターンがあります。

軽く咳き込んだくらいなら、そのまま様子を見ていても大丈夫なことがほとんどです。

しかし、犬が喘息の発作を起こした時は、何か大変な疾患が隠れていることがあります。

しばらくして治まったからと、安心していてはいけません。

犬が喘息を起こしたら、すぐ獣医さんに診察してもらいましょう。

ここではその原因や症状を解説して、治療やケアなどについて紹介します。

 

犬が喘息みたいな呼吸や咳をする原因とは?

ワンちゃんの咳には、一時的な生理現象や呼吸器系の疾患から起こるものなど、さまざまな誘因があることがわかっています。

 

アレルギーを起こしている

身体の中に入り込んだ異物に免疫が過剰に反応してしまうことで喘息が起こります。

ワンちゃんが喘息を起こす誘因になるもののことをアレルゲンと呼びます。

これには主に以下のものが考えられます。

  • 花粉
  • ダニ
  • フケ
  • 室内のホコリやチリ
  • タバコの煙
  • 香水
  • 化学薬品
  • 塗料
  • 肥料
  • 殺虫剤

ほかにも朝晩の冷たい空気を吸い込んだ際の刺激なども、寒冷アレルギーを起こすことがあります。

アレルギーによって喘息を起こしている場合は、その原因となっているアレルゲンを取り除くことが重要です。

獣医さんにアレルゲンを診断してもらって、ワンちゃんの周囲からそれを取り除くようにしましょう。

 

僧帽弁閉鎖不全症などの心臓疾患がある

ワンちゃんが心臓の疾患がもとで咳をする場合に多いと言われているものは、心臓の弁の障害や心筋と呼ばれる筋肉の障害によるものです。

これらによって血が全身に送られにくくなると、心臓はがんばろうとして自分を大きく成長させます。

大きくなったことで近くにある気管を圧迫してしまうほか、循環が悪くなって肺に水が溜まる肺水腫を併発して咳が出るようになります。

中高齢のワンちゃんに多く起こるとされていて、ワンちゃんでは特に僧帽弁閉鎖不全症が多く、下記の種類に起こりやすいとされています。

  • ポメラニアン
  • メルチーズ
  • チワワ
  • キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

対処は、発作を誘発している心臓疾患の治療が第一となります。

 

何らかの誘因があって肺炎が起こっている

ワンちゃんがこれを起こすことで咳が出るようになります。

起こる誘因には次のようなものがあります。

  • 細菌による感染症:ケンネルコフと呼ばれる疾患は子犬に多いとされています
  • ウィルスによる感染症:犬インフルエンザ、ジステンパーほか
  • 寄生虫による感染症:フィラリアほか
  • 誤嚥:飲食したものが間違って肺に入ってしまうこと
  • 嚥下困難
  • 逆流性食道炎
  • 代謝異常

感染症による誘因を防ぐためには、それを起こしている細菌、ウィルス、寄生虫などを駆除することが重要です。

 

ガーガーという咳の気管虚脱はトイ・プードルなどに多い

ワンちゃんの気管が潰れやすくなってしまっている状態のことを言います。

初期ではガーガーと、喉に何かを詰まらせたような咳や水を飲むとむせるなどの軽い咳です。

進行すると呼吸困難になり、チアノーゼを起こすことがあります。

下記のような身体の小さいワンちゃんに多いとされています。

  • トイ・プードル
  • ポメラニアン
  • バグ―
  • シー・ズー

これがもとで繰り返し空咳が発生してなかなか止まりません。

素因のあるワンチャンでは散歩中にリードを引っ張っただけで首輪が締まって咳が悪化することがあります。

 

犬の喘息発作の症状は?咳が止まらず呼吸が荒い時は要注意

カハっというような乾いた咳をして、ちょっとむせたくらいなら、その後何もなければ問題ないでしょう。

しかし咳が止まらず喘息発作のようになってしまった時や、それを繰り返して下記のようになっていたら診察が必要です。

  • 呼吸が荒い
  • 呼吸が速くなり回数が多くなっている
  • 口を開けたまま呼吸している
  • 舌や歯茎が紫色になっている

特に舌や歯茎が紫色になっている時はチアノーゼと言って、身体が酸欠を起こしているので危険な状態です。

またこれらのほかに次のような症状が現れているケースにも獣医さんに診察してもらいましょう。

  • 発熱
  • 食欲減退
  • 横になっても苦しそうにしている
  • ぐったりして動きが少ない

これらの症状が現れていて、しかも呼吸困難になっているようなら急いで処置をしてもらわなければなりません。

日ごろから夜間や休日でも診察をしてもらえるような、かかりつけの獣医さんを作っておくと安心ですね。

 

犬が喘息でゼーゼーしている際の対処法は?薬は人間と同じ?

それぞれ疾患によって使われる薬剤は異なりますが、症状の軽減を目的とした対症療法です。

主にこれらの薬剤が処方されます。

 

気管支拡張薬

以下の薬剤は気管を拡げて呼吸を楽にさせます。

  • テオフィリン
  • アミノフィリン
  • イソプレテノール

これらは気管の筋肉が収縮するのを抑えるので、ワンちゃんが楽に呼吸をできるようになります。

下記の疾患がもとでおこる喘息に使われることが多い薬剤です。

  • 気管支狭窄
  • 気管虚脱

 

鎮咳薬

咳を起こす中枢に作用して咳を抑えます。

  • コデイン:麻薬ですが、錠剤は麻薬指定されていない
  • デキストロメルフェン
  • ノスカピン

これらは気管支拡張薬と併用で使われることが多く、ネブライザーと呼ばれる吸入器を用いて投与されます。

なお、最近では薬剤を噴霧した小さな密閉空間の中にワンちゃんを入れて、これらの薬剤を吸わせる設備をもった施設もあるようです。

 

抗生物質

細菌を減らす、あるいは増殖を防ぐことで感染を抑えます。

鼻から肺に至るまでワンちゃんの呼吸器は細菌やウィルス感染の危険にさらされています。

その中でも肺は感染が起こると命を落とすこともある疾患です。

細菌感染を起こしていたらただちに抗生物質による治療を受けさせてください。

ワンちゃんに使われる抗生物質には主に下記の種類があります。

  • ペニシリン系
  • セフェム系
  • アミノグリコシド系
  • マクロライド系
  • テトラサイクリン系

これらを処方する際には細菌の種類を調べて、最も効果のある薬剤が選ばれます。

なお、ウィルスに対して効果のある抗生物質は少なく、これに対しては化学合成で作られた抗菌薬などが使われます。

 

抗炎症薬

呼吸器で起こっている炎症を抑えます。

ストロイド系のものと非ステロイド系のものがありますが、呼吸器の疾患ではステロイド系の薬剤が使われます。

主な副腎皮質ステロイドにはプレドニゾロンやデキサメタゾンなどがあり、下記の疾患をはじめ炎症を伴う呼吸器の疾患全般に処方されています。

  • 気管支狭窄
  • 気管虚脱
  • アレルギー性喘息
  • 急性気管支炎
  • 慢性気管支炎

 

利尿薬

血液中の水分を腎臓からオシッコにして排泄させる薬剤で、血圧を下げる効果もあります。

肺に水が溜まって喘息が起こっている場合に使われますが、心不全など心臓の疾患にも使われることがあります。

以下のようにたくさんの種類があり、疾患や病状によって使い分けられています。

 

サイアザイド系利尿薬の主なもの

  • クロールサイアザイド
  • メフルシド
  • メロラゾン

 

ループ利尿薬の主なもの

  • エタクリン酸
  • フロセミド

 

カリウム保持性利尿薬の主なもの

  • 抗アルドステロン
  • トリアムテレン
  • アミロライド

 

浸透圧利尿薬の主なもの

  • マンニトール

 

呼吸促進薬・呼吸抑制薬

 

中枢神経に作用して呼吸を促進するもの

  • ドキソプラム
  • ジモルホラミン

 

抑制するもの

  • モルヒネ

なお、モルヒネは呼吸を抑制する作用があって過呼吸を抑える際に有効です。

しかしながら麻薬であるため、取り扱う資格を持つ獣医さんでないと処方してもらうことができません。

これらの薬剤の中には市販されていてネット通販などで購入できるものもあります。

しかし、副作用が強いものもあるため、素人判断で投与することは危険です。

必ず獣医さんの診察を受けた上で処方してもらうようにして、用法用量や投与期間などの指示を守るようにしてくださいね。

 

犬の喘息で診察を受ける際の注意点

獣医さんに伝えることとして、以下のことをできるだけ正確に伝えてください。

  • いつから咳が出ているか
  • どのような咳をしているか:咳の出る頻度や音など
  • 発作がどのくらいの時間続いているか
  • 発作がどのくらいの間隔で再発するか
  • 発作が起こった際の状況
  • 咳以外の症状があるか

これらについてできるだけ詳しくメモを取り、伝えると診断に役立ちます。

咳や喘息の発作の様子を音声入りの動画で撮影しておくと、さらに正確な情報を伝えることができるのでおすすめします。

そして、病院に連れて行くまでの間に次のことを対策してみると良いでしょう。

  • 抱っこしてみる
  • 寝ている場所を変えてみる

これによって咳が治まる場合は少し様子を見ても良いかもしれません。

そして、抱っこする際には腕をワンちゃんの胴体の下に差し入れて、できるだけ体勢を変えずに持ち上げると良いでしょう。

その際に胸を抑えないようにすることも大切です。

 

犬が喘息を起こした!原因や症状、対処法を紹介・まとめ

愛犬の咳が止まらなくなった時、大切なのは飼い主さんがあわてないことです。

犬は飼い主さんの言動に敏感に反応するので、慌てる様子を見て不安になって症状が悪化することがあるのです。

犬が喘息で苦しそうにしていても落ち着いて対応してください。

そして、犬に喘息を起こしている原因がわかりしだい、対処してあげるようにしてください。

心臓病などの疾患がもとではない喘息であれば、飼い主さんが少し気をつけてあげるだけで、発作が出なくなるようになりますよ。

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