年間を通して価格が安定し家計にも優しい「ツナ缶」。すでに火が通っているので、そのまま使えるという便利な食材だ。
保存期間も長く、手軽に使うことのできるツナ缶だが、魚が原料なだけに犬に与えられるか迷うことはないだろうか。確かに、ツナ缶は「油漬けにされたもの」というイメージがあるが、実はツナ缶の具は身体に良いことがたくさんあるようだ。
今回は、ツナ缶に含まれる魚の種類、栄養、犬に与えられるツナ缶の種類について紹介していきたい。
犬はツナ缶を食べられるの?
結論から先に述べると、ツナ缶に含まれる「塩分」や「油」に注意すれば、犬に与えても問題のない食材である。
ツナ缶の原材料には、ビンナガマグロやキハダマグロが主に利用されるが、最近はマグロの価格が上昇しつつあるため、カツオの身で代用した缶詰も大量に製造されている。
こうした魚の種類を使用されているので、犬に与えても問題ないのだが、やはり気になるのは塩分や油といった調味料だろう。
ちなみに、ツナ缶の種類には、「油漬」「油入り水煮」「水煮」などがあるが、それぞれの特徴としては以下の通り。
- 油漬・・・調味料の約半分以上が油のも。
- 油入り水煮・・・調味料の半分未満が油。「減塩」と表記されているものがこれにあたる。
- 水煮・・・「ノンオイル」と表記されている。油を調味に使用せず、水や野菜スープだけで仕上げている。
こうして見ると、種類によって調味料がどの程度使われているのか、お分かりいただけるだろう。
では、次にどのタイプを選べばいいのか?という点なのだが、油入り水煮(減塩)タイプのものがベスト。油漬は当然、カロリーや塩分も高めなので与えるには適していない。
また、水煮タイプは油を使用していない分、犬に与えるのは適しているだろうが、調味料の代わりに使用する野菜スープには、玉ねぎ、キャベツ、ニンジンなどを煮だして使用している。
キャベツ、ニンジンはいいのだが、玉ねぎが含まれているので避けるべきだろう。
ツナ缶に含まれる栄養
ビンナガマグロ、キハダマグロ、カツオ。
ツナ缶の原材料になっているこれらの魚には、タンパク質やDHA、EPAなどの栄養成分が含まれており、ツナ缶にもその栄養が含まれている。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHAは、脳や網膜などの組織を構成する成分でもあることから、脳の健康を維持して学習能力や記憶能力の向上、目の網膜や視神経での情報伝達の円滑、視覚回復のサポートなどにも期待がもてる。
また、高齢犬の認知症予防にも効果があるといわれている。
EPA(エイコサペンタエン酸)
DHA、EPAは共に「オメガ3系高度不飽和脂肪酸」という栄養素であり、科学的な構造も似ているため同じ効果を示すことがあるという。
EPAの主な働きは、血液中の善玉コレステロールを増やしてくれる作用がある。血管・血液の健康維持には重要な成分であり、血栓を予防してくれる効果があるとされている。
カルシウム
カルシウムは骨や歯を作るのに必要な栄養素。
それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り派の方は不足しないよう意識して摂取したい成分である。
ツナ缶の与え方
ツナ缶は、大きく分けて3つの調理法で作られているのは前項でも説明した通り。
ここでは、油入り水煮(減塩)タイプを使った与え方を紹介しよう。
油をきって軽く茹通し
いかに減塩タイプとはいえども、調味料が含まれていることに変わりはない。
そのため、茶こしなどにツナ缶を入れて汁けをきり、熱湯をかけて油抜きしよう。完全に油を抜くことはできないので、カロリーが気になる場合は少量を使うようにしたい。
また、缶を開けると痛みが早いので、残った分は容器に移し替えて冷蔵庫へ。できるだけ早めに使いきってしまおう。
ツナ缶の油は、チョイ足ししても便利
「油」と聞くと体に悪そうなイメージがあるが、実はツナ缶の油は身体に良いこともある。
それは、ツナ缶の油には植物性の油で必須脂肪酸であるリノール酸が含まれているからだ。リノール酸は皮膚からの水分喪失を防ぐなど、皮膚のバリア機能には欠かせない成分である。
リノール酸は人や犬の体内で生成されないため、食べ物から摂取しなければならない必須脂肪酸であるため、食べ物からしっかり摂っていきたい。
カロリーコントロール中の犬にはおすすめできないが、手作り食を与えている飼い主さんでオイルの代わりにツナ缶の油を少量使うのも良い。少量加えるだけで、風味も増して栄養も摂取できるのでおすすめだ。
ただ、塩分が含まれているので、あくまで少量程度を目安としたい。
食物アレルギーがないか様子を見守ろう
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに
塩分や油にさえ注意すれば、たくさんのメリットがあるツナ缶。
サッと湯通しすれば、フードのトッピングや手作り食にも手軽に風味や栄養を加えることができる。もちろん油や塩分の摂り過ぎはよくないが、その点だけには注意しつつ、愛犬の食事にも取り入れてみよう。
今や多数のブランドからも発売されており、味わいも形状もかなり異なるので、好みのものを探してみるのも面白い。
ぜひ今回の記事を参考に、ツナ缶を使いこなして料理の幅を広げよう。
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