犬の歯は人より多いって本当!?まずは知っておきたい犬の歯の役割【獣医師監修】

犬の歯
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犬の歯

食べ物を小さくし、飲み込むのに適したサイズにするのに欠かせない器官「歯」。

体の中ではもっとも硬く、人の場合ではその治療状況によって遺体特定の重要な手掛かりともなる。

歯は「食べる」のに欠かせないが、実はそれ以外にも「発音を助ける」「顔の形を整える」「味覚を豊かに保つ」など、食べる時以外にも大切な役割をはたしているだ。

 

そんな普段の生活に深く関わっている歯。人間はあごの成長とともに「乳歯」から「永久歯」と生えかわるが、サメのように1週間に1回、種類によっては2~3日の頻度でかわるものもいる。

では、犬の歯はどうなのだろう。気になったので調べてみた。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

歯にも種類があるの?

犬の歯みなさんは「歯」にも種類があるのはご存知だろうか?

まず、乳歯と永久歯は知っている方も多いかと思うが、歯は主に前歯(切歯)・犬歯・前臼歯(ぜんきゅうし)・後臼歯(こうきゅうし)など、大きく分けて4つに分けられる。それぞれのどんな役割があるのかチェックしてみよう。

 

乳歯

ほとんどの哺乳類は二生歯性(にせいしせい)、つまり生涯のうちに「2セット」の歯が生えるようになっているのだ。

その2セットとは、大人の歯である永久歯と、幼い時期の乳歯である。幼い時のあごが小さく、大人の歯が収まりきらないため乳歯が必要なのだ。

また、犬の乳歯が生え変わるのは生後4~6ヶ月の時期。前歯・犬歯・前臼歯の28本の乳歯が抜け、永久歯へと生え変わる。この永久歯が生えそろうのは生後7ヶ月~1歳の頃とされる。

 

前歯(切歯)

動物の場合は切歯と呼ぶことも多い。

私たちでいう「前歯(まえば)」のことで、食べ物を口に入れる前に「食いちぎる」役目をはたす。また、物をかじったり、毛づくろいする時にも使われる。

 

犬歯

犬で良く発達しているため「犬歯(けんし)」と言うが、槍のように尖っているため「尖頭歯(せんとうし)」とも。

全ての歯の中でも、最も長く鋭いのが特徴。獲物を捕らえて切り裂く役割がある。

 

前臼歯

犬歯の隣に並ぶ歯。実は犬の歯はほとんど噛み合わないが、唯一、全臼歯の中でも上下の歯が噛み合う部分がある。(上顎:第4前臼歯と下顎:第1後臼歯)

裂肉歯(れつにくし)とも呼ばれ、肉や骨をハサミのようにせん断する役割を持つ。

犬の歯の中では最も大切な部分とも言われているが、一方で折れやすく、歯垢がたまりやすい部分でもあるという。虫歯にならないよう注意したい!

 

後臼歯

人でいう奥歯。乳歯では存在せず永久歯から生えてくる。

すりこぎ状になっており、細かくした食べ物をさらに細かくすりつぶす役割をはたす。

犬の歯は何本あるの?

犬の歯

犬の歯の役割が分かったところで実際に何本あるのか見てみよう。

参考までに、私たち人間とでも比較してみた。

 乳歯永久歯
28本42本
人間20本32本

 

こうして見てみると、犬の歯は人間よりも圧倒的に多いのが分かる。

永久歯にいたっては人間よりも10本も多い。犬は人と比較して虫歯にはなりにくいと言われているが、その分歯垢が「歯石」になりやすい。つまり犬は私たちよりも歯石がつきやすいのだ。

歯磨きで落とせない歯石になる前に、普段からしっかりデンタルケアしていきたい!

 

さいごに

美味いものをストレスなく「かぶりつく」には欠かせない歯。

最近では手作り食をメインとしている飼い主さんをはじめ、犬用ごはんのレシピも数多く存在する。

せっかく飼い主さんが愛情を込めて作っても、愛犬が思う存分味わえないのはもったいない。

日頃から愛犬の歯をチェックして、是非とも腕を振るった料理を振舞ってほしい。

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