イタリア料理でお馴染みのルッコラ。
ピザやカルパッチョなど料理に彩りを与えてくれるハーブ野菜だ。
近年、スーパーでも出回るようになってきたため、サラダや肉料理の添え物として使う方も多いのではないだろうか。
そんなルッコラ。実は犬の健康にとっても有効な栄養素を含んでいる見逃せない食材でもある。
今回は、ルッコラと犬の相性、栄養や与え方などについてご紹介していこう。
犬はルッコラを食べても大丈夫!
ルッコラにはβカロテン、ビタミンE、ビタミンKが多く含まれている緑黄色野菜だ。
また、マグネシウム、リン、鉄といったミネラル成分も豊富に含まれる。なにより、ルッコラが持つ辛味には「アリルイソチオシアネート」と呼ばれる成分が特筆すべき成分である。
これらの成分はいずれも犬にとって害を与える成分ではないので、ルッコラを与えても問題はない。
ただ、ルッコラ自体に独特の辛味や苦みがあるので、与える前に少しだけ知っておきたいポイントがある。
まずは順を追って説明していこう。
ルッコラに含まれる栄養や効能
ルッコラといえば、イタリア料理に使われるのでオシャレな印象だが、実はオシャレだけじゃない嬉しい栄養や効能もある。
それでは、気になる栄養や効能をチェックしていこう。
アリルイソチオシアネート
ルッコラが持つ辛味の元となっている成分。
アリルイソチオシアネートは、大根やわさびと同じ成分で、抗菌や消化促進の作用がある。
また、その強い抗酸化作用からガンを抑制する働きがあるとして期待されている。
βカロテン
βカロテンが豊富に含まれているのも、ルッコラの嬉しいポイントだ。
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。
しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つでもある。
ビタミンE
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジング効果が期待できる栄養素である。
また、強力な抗酸化作用で活性酸素を無害化すると言われており、動脈硬化の予防に期待ができる。
ビタミンK
ビタミンKの役割は、出血した時に血液を固めて止血する働きのほか、骨に存在するタンパク質を活性化し、骨の形成を促す作用がある。
犬は腸内細菌によってビタミンKが合成されると言われているが、それだけで1日の必要量を補えないともいわれている。そのため、普段の食事からも不足しないよう補ってあげたい栄養素だ。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
近年、高血圧や脳卒中の予防などにもつながる重要な栄養素として注目されている。
与える前に知っておきたい2つのポイント
甲状腺に疾患のある犬は念のため注意
甲状腺は、甲状腺ホルモンという代謝を促すのに大切な物質を作り、血液中に流してくれる重要な器官。
ルッコラのようなアブラナ科の野菜には「ゴイトロゲン」という成分が含まれており、甲状腺ホルモンをつくるのに必要な「ヨウ素」の吸収を妨げるといわれている。
健康な犬であれば特に神経質になる必要もないが、もともと甲状腺に疾患のある犬は念のために控えた方がいいだろう。
食物アレルギーがないか様子を見守ろう
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
また、ルッコラはアブラナ科の植物でもある。
同じアブラナ科の仲間として、キャベツ、大根、ブロッコリー、白菜、かぶ、水菜、小松菜、カイワレ大根などがあるので、これらを犬に与えてアレルギーがあった場合にも注意したい。
ルッコラの選び方と与え方
成長しすぎたルッコラは苦みも強くなる
まず、ルッコラの新鮮さを見極めるポイントとしては、葉や茎にハリと勢いがあり、根元から伸びかけの若い葉が付いているものが新鮮さの証。
ルッコラは成長しすぎると、葉も茎も硬くなって苦みも強くなってくるので、愛犬用に苦みをおさえたい場合は、茎が細くて柔らかそうなものを選ぶとよい。
また、栽培方法には、水耕栽培、露地栽培などがあるが、露地栽培のものは辛味や苦みが強めなことも覚えておきたい。
ルッコラ選びは、それほど大きくなく、緑色が濃すぎない、葉に適度な柔らかさを感じる、生き生きとしたものを選ぼう。
ルッコラの与え方
生で与えるのが一番手軽で、栄養も壊さずにいただけるのだが、ルッコラには独特の苦みや辛味がある。
そのため、生で与えて嫌がったり、食べないようなら、無理にルッコラを与えないようにしよう。
また、ルッコラ独特の苦みや辛味は加熱によって消えるため、どちらかと言えば加熱してから与えるのがおすすめ。
熱を通すことによって、柔らかく消化にも優しいというメリットもあるので、愛犬にはサッと火を通してから与えるのがベストだ。
いずれの場合も、消化しやすいよう細かく刻むことも忘れずに行いたい。
さいごに
ルッコラは1年草で発芽率が高く、病気もほとんどないため、プランターで栽培でき家庭菜園にも向いている。
葉を採ることが目的の場合、真夏を除けばいつでも種をまくことができるため、種まきの時期をずらして栽培すれば一年を通してルッコラを楽しむこともできるのだ。
発芽後、2~3週間程のまだ丸みを帯びた若い葉は「ベビーリーフ」の一種としても知られているが、まだ苦味が弱いため、愛犬用に自家栽培するのも面白い。
まだまだ日本では馴染みのない野菜ではあるが、栄養たっぷりのルッコラを愛犬と共に楽しみたい。