なにかと使い勝手に便利な魚肉ソーセージ。
飼い主さんが美味しそうに食べていたら当然、愛犬も欲しがってくるだろう。
しかし、普段から何気なく食べてはいるものの、その原料をたずねられると、魚のすり身は思いついても、それ以外の材料まで答えることのできる人は少ないのではないだろうか。
最近では、特定保健用食品の指定を受けている魚肉ソーセージも登場し、健康食品としても注目を集めているが、一体どんな材料で作られているのか気になるところだ。
犬にとって魚肉ソーセージはどうなのか、早速検証していこう。
魚肉ソーセージは何でできている?
魚肉ソーセージの原材料となっている魚の主流はスケトウダラだ。
他にも、赤身魚に多く含まれていると言われているDHAやEPAなどの成分が注目され、マグロやイワシ、アジ、サバなども多く使われるようになってきている。
製法としては、スケトウダラなどの冷凍すり身50~60%に、豚脂、調味料(食塩や砂糖)、香辛料を混ぜる。練り合わせたものをケーシングに入れ、高圧高温殺菌を行って出来上がる。
また、形を成形するために必要な結着材料は、デンプンやゼラチン、植物性たんぱく質などが使われることが多い。
ほかにも必要に応じて、酸化防止剤や保存料、着色料などを加えることもあるようだ。
魚肉ソーセージの栄養価は?
魚肉ソーセージとひとことで言っても、さまざまな種類の魚が使用されているが、栄養価はどうなのだろう?
もちろんメーカーによっては若干変わってくるが、代表的な魚肉ソーセージでの栄養価は以下の通り。
■100gあたりの代表的な魚肉ソーセージの栄養価
- エネルギー・・・125kcal
- たんぱく質・・・7.0g
- 脂質・・・6.2g
- 炭水化物・・・10.2g
- ナトリウム・・・560mg
- カルシウム・・・440mg
こうして見ると、高たんぱくで、骨や歯の形成の役立つカルシウムを多く含んでいるのは嬉しいポイントだ。
しかし、犬にとってはカロリーが高めなのが少々気になるところである。ちなみに、バナナやリンゴ、桃などの果物のカロリーと比較してみると次の通りになる。
※いずれも100gあたりの数値
- バナナ・・・86kcal
- りんご・・・57kcal
- 桃・・・40kcal
- 【参考】魚肉ソーセージ・・・125kcal
意外にも果物類と同g数を比較した場合、魚肉ソーセージはカロリーが高いことが分かる。愛犬の食事でカロリーコントロールしている場合は不向きな食品だと言える。
気になる塩分量や添加物は?
魚肉ソーセージの塩分量
魚肉ソーセージなどの練りものに必ずといっていいほど使用される塩。
もちろん、犬の体にとって塩分は必要不可欠なものではあるが、必要以上に摂った塩分は腎臓でのろ過機能に負担をかけてしまうため、注意したいと考えている人も多いだろう。
一般的に犬の場合、健康を保つために必要な塩分量は、体重1㎏に対し1日0.24gが目安と言われている。
これを体重5㎏の犬で換算すると1日に1.2gが必要な塩分量となるが、魚肉ソーセージは1本あたり、およそ1g~1.5gほどの塩分が含まれている。
愛犬にもお裾分けしたいと思っても、塩分量に注意することが必要だと言えるだろう。
気になる添加物は?
魚肉ソーセージのような加工食品となると、気になってくるのが使用されている添加物だ。
魚肉ソーセージに使われる添加物として有名なのが、ソーセージのタネに結着力を出すのに使用されるリン酸ナトリウム。この成分は安全性の高い添加物ではあるが過剰摂取には気をつけたい。
また、魚肉の色を際立たせるのに使われる「赤色〇号」と呼ばれる合成着色料。こちらの着色料には発ガン性が指摘されている。
とはいえ、最近では健康重視の商品が増えており、トマトやクチナシの自然色素を用いて着色している魚肉ソーセージも多くなってきている。
原材料はメーカーや商品によって異なる
魚肉ソーセージの類似品として「魚肉ハム」と呼ばれるものも存在する。
製法的に大きな違いはないのだが、魚肉ソーセージが主に魚肉のすり身を用いるのに対し、魚肉ハムは魚肉の肉片を塩漬けにしたものを原料としている商品もある。
また、ものによっては原材料に「たまねぎ」を使用している商品もあるのは覚えておこう。
含まれている量は微量かもしれないが、与える前にパッケージや各製造元のホームぺージなどで確認したい。
結論
魚肉ソーセージは高たんぱくでカルシウムを手軽に得られる食べ物ではあるが、犬にとっては少々カロリーや塩分が高め。
魚肉ソーセージの中には、犬にとっても役立つ栄養は含まれているが、与えれば肥満や塩分過多のリスクは高くなってしまうだろう。
飼い主さんが食べていれば愛犬だって欲しがるだろうが、ここは心をひとつ鬼にして、お裾分けするのは控えた方が無難だ。