北海道犬は、天然記念物に指定されている日本犬６種のうちのひとつである。
もともとは「アイヌ犬」と呼ばれていたが、天然記念物指定とともに北海道犬(ほっかいどういぬ)と改称された。
縄文時代にアイヌ民族と共に北海道に移住して以来、土着犬として人為的な手を加えられることなく、昔からの姿を留めている犬種だ。
アイヌの人々には「セヌ」「セタ」（アイヌ語で「犬」の意）と呼ばれ、時には狩猟犬として、時には番犬として、そして時には家庭犬として飼育されてきた。
そんな北海道犬だが、実はテレビＣＭなどでも頻繁に登場しているお馴染みの犬種なのだ。
ということで今回は、北海道犬がどんな犬なのか紹介していこう。
北海道犬の性格と特徴
北海道犬は雄(オス)で体高約５０ｃｍ・体重約２０ｋｇ。雌(メス)で体高約４５ｃｍ・体重約１５ｋｇと、中型犬に位置する。
毛色は赤・白が多く、他にも黒褐、虎、胡麻、灰、狼灰があり、日本犬の中でも一番毛色が多い犬種である。
毛質は長く固い表毛と短く柔らかい綿毛のダブルコートで年二回換毛期がある。
えらの張った顔だちと、舌斑(ぜっぱん)と呼ばれる「犬の舌にある黒いアザ模様」があるのも特徴だ。
性格は飼い主には従順で甘えん坊な一面があるが、じつは家族以外には警戒心が強い個体が多い。
元がクマなどの獣猟犬のためか、自分より大きい動物にも吠えかかる勇敢な性格でもあるようだ。
北海道犬が人気な理由
北海道犬のことを知らなくても、ソフトバンクの「お父さん犬」と言えば、誰でも白い犬を思い浮かべるだろう。
そのお父さん犬(名前：カイくん)こそが北海道犬だ。２００７年にソフトバンクのCMに起用されるようになってから、北海道犬が日本中に認知度は上がったと言っていいだろう。
ちなみにカイくんは、北海道の「海」にちなんで名づけられた。
北海道犬の飼い方
北海道犬の性格上、しつけや飼い主のリーダーシップはとても重要になるため、あまり初心者向けとは言えない犬種である。
しっかり愛犬をセーブできなければ問題行動（噛む、コマンド無視、脱走など）を起こすこともあるし、そうなった時は力の強い犬種のためケガ等のリスクも出てくる。
寒さに強い犬種のため外飼いも可能だが、その際には脱走できないよう繋留紐（けいりゅうひも：犬をつなぎとめるもの）や柵や壁の日頃の点検は必須となる。
しつけで苦戦すること。その対処法
北海道犬は飼い主には忠実だが、他人には警戒心が強い犬が多いため、子犬の頃からの社会化が大切だ。
具体的には二回目のワクチンが終わったら、積極的に外に出て家族以外の人や犬と触れ合う経験をさせるようにしよう。
人に撫でてもらったり、時には抱っこされたりすることで家族以外の人間も怖くない事を知ることができる。
最初は怖がるようであれば、無理に撫でてもらわなくてもＯＫ。飼い主が家族以外の人と楽しげに話をする姿を見るだけでも、時間はかかるものの少しずつ恐怖心は溶けていくのだ。
また、他人に触られることができることは「動物病院での診察の時」にも必要になってくる。北海道犬の社会化は特に重要なしつけと言えるだろう。
飼う時にあると便利なアイテム
北海道犬は運動量の多くパワーのある犬種だ。一度首輪などから抜けてしまうと、「おいで」などのコマンドがしっかり入っていたとしてもなかなか捕まえられない。
そのため、散歩のときには首輪よりもハーネスを使用する方がいいだろう。ペットショップなどで購入できるが、ハーネスでも抜けられる形状のものがあるので初めて購入する際には店員に相談した方がよい。
北海道犬のかかりやすい病気
北海道犬は基本的に病気には強い犬種であるが、暑さには弱い犬種で熱中症にかかりやすい。
そのため、夏場の暑い日は特に注意が必要だ。呼吸が荒い、ぐったりしている、食欲がない、水も飲まないなどの症状が見られたらすぐに動物病院へ連れて行こう。
予防策としては、
- 暑い時間帯の散歩は避ける。
- 外飼いの場合は日陰で風通しの良い所を作る。
- 水を十分飲ませる。
など、どれも基本的なことだが、北海道犬の場合はこれらをしていたとしても、こまめに様子を見てあげるようにしよう。変化に早く気付くことが大切だ。
価格の相場
ソフトバンクのお父さん犬・カイくんが「白毛」だったため、現在は白毛の人気が高い。
また、虎毛(トラゲ)や胡麻、狼灰毛はとても少なく希少な毛色だ。
価格は雄(オス)・雌(メス)で大差はなく相場価格は約１０万円ほど。飼育頭数が少ないという理由からペットショップなどではあまり見かけることは少ないため、信頼できるブリーダーから譲ってもらうのが一番だろう。
さいごに
北海道犬の寿命は15年前後だと言われている。
粗食にも耐えられる性質があるため、ひと昔前の日本人にも似ているような気がしてならない。
一見、家族以外には警戒心を見せるため「気性が荒い犬種なのかな？」と思われがちだが、子犬の時のしつけや社会化次第ではフレンドリーで誰からも可愛がられる存在となる。
まさに「お父さん」役として出演し、一躍有名となったカイくんそのものだ！
家族にだけ見せる甘えん坊性格の北海道犬。その一面に心を奪われる人も多いのではないだろうか。
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