古来、ギリシャ、ローマ時代には薬用効果があるとして使われていたというセロリ。
その効果から、魔除けや葬儀にも使われていたという。日本へは、文禄・慶長の役(1592年~1598年)に伝わったという説があるが、当時は香りが強すぎて定着しなかったのだとか。
日本で広く食べられるようになったのは戦後。香りが比較的弱いアメリカの品種が一般的となった。
セロリといえば、強く個性的な香りが印象的な野菜で、人により好き嫌いがハッキリと別れる食材だ。その、独特の香りが強いゆえに「犬が嫌がってしまうのでは?」と思ってしまうが、意外にもセロリが好きな犬は多いのだという。
犬はセロリを食べれると聞くが、実際にどのような栄養が含まれているのだろうか。せっかく愛犬に与えるだから気になるところである。
今回はセロリにスポットをあて、栄養と効能、与え方のポイントなどを紹介していく。
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セロリは免疫力UPやガン予防の効果に期待できる
セロリといっても、主な種類に「コーネル系セロリ」「スプラウトセロリ」「芹菜(キンツァイ)」などがあるが、一般的にスーパーなどで見かけるセロリはコーネル系。セロリ自体にほどよい厚みがあり、薄い黄緑色が特徴。
セロリには、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEといったビタミン類が豊富に含まれており、免疫力を高め、ガンを予防する効果があると言われている。そのうえ、血行促進ケアにも一役買ってくれるので冷え症の改善も見込めるのだ。
また、セロリの代名詞とも言える独特な香りの正体は、アイピン、セネリンと呼ばれる成分。ストレスを緩め、イライラや不安を解消する効果があるといわれており、犬にとっても鎮静効果が期待されている。
セロリに含まれる犬に役立つ栄養と期待される効果
βカロテン
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つ。
ビタミンB1
ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。
ビタミンB2 (リボフラビン)
糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。
別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要と言われている。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
カルシウム
骨や歯を作るのに必要な栄養素。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り食がメインの場合は、どうしてもカルシウムが不足しがちになってしまう。
しかも、犬の年齢に応じて必要量も変化するのだから、ドックフードにはトッピングで少量、手作り食がメインであればセロリを上手に活用するなど、与え方で使い分けてもよい。
便秘を予防する働きはもちろん、コレステロールの吸収を抑制する作用にも期待ができる。
セロリは低カロリー食材。でも与え過ぎは注意
セロリには「葉」と「茎」があるが、犬にはどちらを与えても問題はない。
栄養面でみれば「葉」のほうが、ビタミン類や食物繊維を多く含む。なんとβカロテンにいたっては、茎の部分のおよそ2倍の量が「葉」に含まれているというのだから驚きだ!
一方、低カロリー食材でも知られているセロリだが、セロリは犬にとっては消化のいい食材ではない。
犬は肉の消化は得意ではあるが、野菜の消化を得意とはしないので、セロリをたくさん食べすぎると便が緩くなることがある。
しかも、セロリの約95%は水分でできているため、与え過ぎないよう注意が必要だ。
エネルギー | 水分 | カリウム | 食物繊維 | |
セロリ/生 | 15kcal | 94.7g | 410mg | 1.5g |
(※「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より引用:可食部100gあたりの成分量)
また、セロリにはカリウムも豊富に含まれているので、腎臓病を患っている犬にとっては有害になる場合があるという。
高齢犬や何かしらの病気を抱えている犬には、獣医師に相談したうえで安心して与えるようにしよう。
セロリを上手に与えるテクニック
セロリは縦に繊維が走っており、茎の表面は特に筋が多い。
犬はセロリの筋を消化できないので、あらかじめ取ってから使うようにしよう。
また、セロリの筋は茹でても消化が良くならないので、茹でる場合でも筋取りは手を抜かずに行いたい。
犬に与える場合は、細かく刻んでフードに加えるのも良し、3~5㎝程度の短冊切りにしてシャキシャキ食感を与えるのも良いだろう。
それと、セロリは鮮度が落ちやすい野菜だということも知っておこう。鮮度が落ちれば風味は落ちてしまい、歯ごたえも悪くなり筋がたつようになってしまう。
もし、購入したセロリがしんなりしてしまったら、茎の部分を冷水につけておくと張りが復活するので覚えておこう。
時間に余裕があれば、あらかじめ葉と茎に分けて別々に保存すると持ちが良いとされている。一度に使い切るのが難しい場合は、是非試してみてほしいテクニックだ。
さいごに
その独特な香りが特徴的ともいえるセロリ。
セロリに含まれる豊富な栄養は、犬の健康にとっても効果が期待できるのが分かった。愛犬には生で与える以外にも、炒め物や手作りスープなど、様々なバリエーションにも活用できそうだ。
しかし、消化不良も含め、与え過ぎないよう量をコントロールしてあげる必要もある。与えるポイントをマスターし、愛犬の健康にセロリを活かしてみてはいかがだろうか。