日本では年間で4,000頭以上の保護犬が、殺処分されていることをご存知でしょうか?
これは1日単位にすると、毎日11頭以上が命を落としていることになります。
これまで保護犬は、個人が引っ越しなどで飼えなくなり捨てられるなどのほか、多頭飼育崩壊によるものが中心でしたが、近年では繁殖業者がブリーダー崩壊を起こす事例が増えているのです。
ブリーダー崩壊は、人間がお金儲けのために増やした犬が犠牲となる悲惨なものです。
この記事では、ブリーダー崩壊が発生する過程や現状についてご紹介します。
Contents
ブリーダー崩壊とは?
八王子市の元ブリーダー
多頭飼育現場に行ってみた犬が3頭残されていて
不安なのか
警戒しているのか
吠え続けていた『可愛い子犬います』
『柴犬の子犬販売』と書かれていた幟は
いつの間に
【保護犬 里親募集】に変わっていた場所
その幟が地面に捨て置かれていたこの3頭は、番犬なのだろうか pic.twitter.com/s9UvCrCuLi
— えんぴのう(縁皮嚢=耳袋) (@fukayahokuto) March 31, 2023
ブリーダーがワンちゃんを管理できるキャパシティを超える頭数を抱えてしまい、世話を仕切れなくなって破綻する状況のことを指しています。
一般的に優良ブリーダーは、飼育員1人あたりおおよそ10頭以下の管理数を保っているのに対して、ブリーダー崩壊を起こすパピーミルは30頭以上飼育しているとされています。
これだけのワンちゃんを抱えてしまっては当然目が行き届かず、多くのワンちゃんの命を奪いながら崩壊することになるのです。
ブリーダーの報酬
犬の繁殖期は年に2回あり、1回につき1頭当たり5匹前後を出産するので、2回の繁殖期で10頭が産まれることになります。
全てが健康に育ち「出荷」できれば、卸価格が1匹あたり5万前後と言われているので、ブリーダー1人当たり10頭(5ペア~オス1頭&メス9頭)の親犬として年間約50~450万円ほどの収入です。
しかし、良識あるブリーダーなら母体を保護するために、1年に2回も交配させないとのことなので、収入はその半分程度でしょう。
それをパピーミルでは、ブリーダー1人当たり30頭(15ペアから最大でメス29頭)とするならば、年収がおよそ750~1,450万円にもなるのです。
そして、子犬が産まれれば生まれるほど収入が増えるので、無理をしても親犬を多数飼育することになります。
パピーミルとは?
パピーミルは英語で「puppy mill」と表記され、「puppy」は子犬を「mill」は工場という意味があり、営利目的で繁殖を行いたくさんの子犬を劣悪な環境で飼育する悪質なブリーダーのことです。
パピーミルでは子犬は「製品」で母犬は「製造設備」でしかなく、ただひたすら年に2回の繁殖期のたびに出産させられます。
パピーミルでは成犬は生き物として扱われず、経費を抑えるために狭いケージに多頭が押し込まれ、食事は粗末なものがわずかばかりしか与えられずボロボロとなって多くが命を落とします。
また衛生状態が悪いためにやはり多くの子犬が命を落とすため、さらに子を産ませて増やす「子犬の工場」となって、悪循環の末に崩壊してしまい多数の保護犬を発生させるのです。
犬のブリーダー崩壊と多頭飼育崩壊の違いとは?
2年前の今日、某県の100匹以上の多頭飼育崩壊よりレスキューした柴犬系雑種の『よもぎ』♀
預かりっ子として我が家に来て、初めて人と暮らすということで、まぁ〜なかなか難しい日々💦
今も試行錯誤だけど、いつか素敵なご家族と巡り合うことができるといいな✨と、頑張ろね! pic.twitter.com/DDemzFeIAo— 豆と麦 (@Mame_to_Mugi) December 20, 2023
ブリーダー崩壊はお金儲けのためにワンちゃんを増やし過ぎた事による、動物を商品として扱かったことによるものです。
しかし多頭飼育崩壊の多くはペットとして愛情を持って飼育していたものが、不妊手術をせずに放置したことで増えすぎてしまい、飼い主が経済的も苦しい状態となって飼育放棄したものです。
飼育されていたワンちゃんを苦しませることになる点ではどちらも同じですが、飼い主には少しでもワンちゃんたちへの愛情があったという点で、違いがあると言えます。
ボランティアや多頭飼育者などによる二次崩壊
善意で保護犬のレスキュー活動を実施しているボランティア団体や、多頭飼育している一般人の飼い主さんには周囲から保護が必要なワンちゃんが持ち込まれることが多々あります。
それが繰り返されることで、気が付くと適正な飼育頭数を超える状況が続き、何かのきっかけによって崩壊することが二次崩壊です。
悲惨なブリーダー崩壊の現場とは?
動物取扱業者の酷い動物への扱いに対して、通報しても行政が全然動いてくれない…
そんな思いをしたことはありませんか松本の悪質ブリーダーも何年も実態を知りながら心ある獣医師が告発するまで摘発しない
寝屋川の動物取扱業者も酷い惨状の中
立入りしても問題なしとするおかしくないですか⁉️ pic.twitter.com/jDFDwE6sVT
— どうぶつみらい福祉協会 (@doubutsumirai) October 6, 2023
ブリーダー崩壊現場を伝える記事やブログが多数インターネット上にありますが、崩壊した理由はどうあれ、共通しているのは犠牲になったワンちゃんやネコちゃんたちの状況です。
ご飯をもらえずやせ細ってガリガリな子、皮膚病などで毛が抜けて皮膚がただれている子、そしてケージの中で糞尿にまみれ硬く冷たくなっている子など見るに耐えない悲惨な姿をさらしています。
保護に向かった保護シェルターの職員などが、運よく生き残ったワンちゃんたちを連れて帰り、ご飯を食べさせ獣医師が治療を施しますが、多くの子が虹の橋を渡ってしまうとのことです。
ブリーダー崩壊から救われた犬の里親募集
昨日は我が家のイッヌの7歳の誕生日だった。先代のColinはシンガポールのパピーミルから救出された子で、年齢は推定で誕生日も保護日だったけど、チー太朗はブリーダー崩壊で正確な日付が残ってた。 pic.twitter.com/skM1e2WK8z
— あかぐま@南北関東の狭間💙💛 (@Akaguma_sg) July 6, 2023
ブリーダー崩壊から救われたワンちゃんたちは、動物愛護団体などNPO法人によるシェルターなどで治療を受けて体力を取り戻しながら里親が現れるのを待つことになります。
これらの団体のホームページでは里親を無料で募集していて、里親希望者とのマッチング相談を実施して、相性などをしっかり確認してから譲ってもらえます。
また「ジモティー」などでは地元のブリーダー崩壊によって保護されたワンちゃんの里親募集情報がたくさん掲載されています。
里親となることを希望するのであれば、これらを利用することをおすすめします。
犬のブリーダー崩壊とパピーミルとは?里親募集についてご紹介・まとめ
うちの黒犬をお迎えした団体さんです。
ブリーダー崩壊レスキューでの生後1ヶ月未満の子犬たちがいるようで、10/29(日)緊急の譲渡会が開催されるようです。 pic.twitter.com/LJv0XDYvsw— こうり (@kouri222) October 27, 2023
お金儲け目当てで、本来は必要な「第一種動物取扱業登録」などを実施せず、経営状況が悪化したからと犬や猫を放置して命を奪う、悪質なブリーダーによるブリーダー崩壊が増えているとされています。
そして、ブリーダー崩壊から救われた犬や猫たちは、優しく可愛がってくれる里親が現れるのを待っているのですが、里親が全然足りていないのが現状です。
犬や猫と一緒の生活を考えている人は一度、里親を斡旋している施設や保護犬・保護猫カフェなどを訪れてみてはいかがでしょうか。