主に広葉樹の切り株や枯れ木に生えるとされる「しめじ」。
今や天然ものにはなかなかお目にかかることはできないが、旬は9月下旬から11月初旬。まさに秋の味覚と言える。
一方、スーパーなどで売られているほとんどのしめじは人工栽培されたもので、特別な旬はなく1年を通して手に入れることができる。
しめじとして出回っているほとんどが「ぶなしめじ」と呼ばれているもの。ポリポリとした食感とクセのない味わいが特徴。近年では「ブナピー」とも呼ばれる、ぶなしめじを白く品種改良した「ホワイト種」なども良く見かけるようになった。
きのこ類といえば、手頃な値段と低カロリーな食材ということもあって、食卓へ頻繁に登場する機会も多い。
今回は、手軽に調理できる「ぶなしめじ」にスポットをあて、栄養と効能、犬に与える適量について紹介していこう。
犬は基本的にきのこ類を食べれる
結論から言えば、毒キノコ以外であれば、基本的に犬にきのこ類を与えても問題はないとされている。
ぶなしめじも同様で、スーパーや八百屋で手に入るものであれば問題はない。
ぶなしめじを選ぶ時は、全体的に弾力があり、笠と軸がしっかりとしてハリのあるものがよい。柔らかくて、しなびれているものは鮮度が落ちている証拠。愛犬に与えるのだから鮮度のよいぶなしめじを選ぼう。
一方、ぶなしめじの栄養面を見てみると、ビタミンB2、B6、ナイアシン(ビタミンB3)、ビオチン(ビタミンB7)など、多くのビタミンB群を含有している。こうした成分によって犬の免疫力や代謝の底上げにも期待ができる。
他にも、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや食物繊維も含まれている。一見、きのこ類は「そんなに栄養なさそう」と誤解されがちだが、意外にも様々な栄養素を含んでいるのだ。
ぶなしめじに含まれる犬に役立つ栄養と効能
ビタミンB2 (リボフラビン)
糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。
別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要。
ビタミンB6
「ピリドキシン」とも呼ばれる水溶性ビタミンの一つ。
ビタミンB6はタンパク質をアミノ酸に作り変える働きがあり、効率よく体内へ取り込むには欠かすことのできないビタミンと言われている。
また、ビタミンB6を活性化するには、ビタミンB2の摂取も必要になってくる。ぶなしめじのようにビタミンB2も持ち合わせた食材は、まさに効率のいい食材と言えるだろう。
ナイアシン
ビタミンD
骨や歯の形成に必要なカルシウムやリンの吸収を助け、血中カルシウムの濃度をコントロールする働きがある。
犬にしめじを与える際の注意点とは?
犬に与える際は「加熱」が基本!
スーパーや八百屋で買ってきたきのこでも、調理の仕方によっては食中毒になってしまう可能性があるのはご存知だろうか。シイタケで言えば、生食後に体に湿疹がでる「しいたけ皮膚炎」や、えのき茸に含まれる「フラムトキシン」など、主に生食が原因によるものが多い。
ぶなしめじはそもそも菌類の一種。その85%は水分で出来ているため、傷みも早く、しめじ自体の菌が自己発生してしまう可能性もある。
スーパーで売られているぶなしめじも、生産者から消費者の手元に届くまでには数日は過ぎてしまう。あえてリスクの高い「生食」に挑むのは避け、安全な加熱調理をしたうえで犬に与えるようにしよう。
ぶなしめじは食物繊維が豊富
きのこ類といえば食物繊維が豊富に含まれているが、ぶなしめじも例外ではない。
ぶなしめじの食物繊維は100gあたり3.7gとシイタケやえのき茸に次ぐ含有量であるため、与え過ぎは消化不良を起こす場合もあることは覚えておきたい。
せっかく愛犬に与えるのだから、消化不良で下痢や嘔吐になっては元も子もない。しめじの栄養を効果的に摂取するためにも、消化しやすいよう調理したものを与えよう。
また、石突き(おがくずの付いた根本の部分)を取り除くのはもちろん、1本づつバラバラにほぐして短く切るなど手を抜かずに行いたい。
食物アレルギーがないか様子をみよう!
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
番外:野生の「きのこ」には近寄らせない
一般的にキノコの種類は6万種を超えると言われており、その中で食用になるのは、およそ200種類なのだとか。
みなさんも、公園や道端に自生する『野生のきのこ』を見かけることはないだろうか?
毎年、秋になるときのこによる食中毒のニュースを見るが、野生のきのこは、生育時期、場所などで形態が異なり、毒きのこか食用きのこかを見分けることは大変難しいとされている。
中には、独特の臭いがある「きのこ」もあるので、犬が間違えて食べないよう、野生きのこには近寄らせないよう要注意だ。
さいごに
「菌活」という言葉もあるように、体によい「菌」にはヨーグルトや納豆といった発酵食品のほか、菌類そのものであるきのこも含まれている。体によい菌を摂ることにより腸内環境を整え、代謝や免疫力を高める「菌活」を、愛犬と一緒にはじめてみるのも面白い。
ぶなしめじは、1年を通して安定した価格で手に入れることができ、且つ、農薬汚染の心配もない。
特売などで大量買いしても、きのこ類は生のまま冷凍保存できるので、シイタケやえのき茸などを一緒にした「ミックスきのこ」を作っておいても便利だ。
見た目にはない、ぶなしめじのパワー。愛犬の食事にも是非活用してみよう。