食べ物に清涼感を与えてくれるハーブ「ミント」。
ミントは繁殖力が強いため、家庭菜園で育てている方も多いのではないだろうか。
しかし、その生命力には凄まじいものがあり、安易な気持ちで庭に植えると、他の植物が全滅するほどの繁殖力を持っている。
そんな強力なミントであるが、料理に使われるだけではなく、精油を抽出し天然の香料として食品や生活用品、薬品など実に幅広く利用されているほどだ。
もちろん、犬にとってもミントは与えても大丈夫なハーブのひとつ。今回は、身近なようで意外に知らないミントのパワーをご紹介しよう。
ミントと言っても種類は豊富
ミントと一口で言っても、その種類は実に豊富。
非常に繁殖力が強く交雑しやすいため、品種として認定されているだけで100種類以上。変種も含めれば数千もの種類があるといわれている。
スーパーで生鮮食品として売られているのはほぼ「スペアミント」と「ペパーミント」だが、その特徴を簡単にご紹介しよう。
スペアミント
古くからハーブとして用いられているハッカ属の植物。
その優しい香りの主成分は、メントールではなくカルボンやリモネンといった成分によるもの。
ほのかに甘く柔らかい香りは、ハーブティーやお菓子、サラダなどにピッタリだ。
ペパーミント
一方、ペパーミントの主成分はメントール。
スーッとした清涼感や刺激が強いのが特徴だ。メントールといえば、リップクリームでもお馴染みのほか、のど飴、湿布薬などにも幅広く使われている。
ミントにはどんな成分が含まれている?
メントール
ミントの特徴であるスーッとした清涼感はメントールによるもの。
気分転換や眠気覚ましに効果があるので、ガムやキャンディなどにも使用される成分だ。
また、強い抗菌効果もあるため、人だけではなく犬にとっても「口臭対策」に良いとされている。
フラボノイド
ミントには、ポリフェノールの1種であるフラボノイドが含まれている。
フラボノイドには強い抗酸化作用があり、細胞の老化防止やガン予防などに効果が期待されている。
ミントポリフェノール
ミントポリフェノールは花粉症の予防に効果があるとされている。
花粉症は人の場合だと鼻炎が主な症状だが、犬は皮膚症状が多く見られるという。ミントの中でも、ペパーミントに多く含まれている。
上記の他にも、ビタミンAやビタミンCといったビタミン類のほか、鉄やカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル類もミントには豊富に含まれている。
ミントはフレッシュな香りだけではなく、こうした様々なパワーも秘められているのだ。
ミントの選び方と与え方
ミントの選び方
同じミントでも、季節によって香りが変化するのはご存知だろうか。
ミントの開花時期は6~9月。花が咲く前に、その年最初に刈り取る葉を「初摘みミント(ファーストカット)」といい、雑味が少なくフレッシュな香りが特徴。
逆に、花が咲くとエネルギーがそこに注力し香りが弱まるという。
その時期にしかないミントの香り。スーパーなどでフレッシュハーブとして選ぶなら、葉物野菜と同様、葉がみずみずしく全体にハリがあるもを選ぼう。
ミントの与え方
葉っぱをそのまま与える飼い主さんはいないと思うが、消化にいいよう細かくちぎる・刻むは鉄板。
もちろん、生でも、加熱調理のどちらでもOK。愛犬の食事内容や体調に応じて上手に使い分けよう。
ただし、ミントの独特な香りを好まない犬もいるので、初めて与える際はまず少量からスタートして様子をみたい。嫌がる場合は無理には与えないにしよう。
ハーブティーという与え方
ハーブティーというと、なんとなくセレブが飲んでいるようなイメージがあるが、古くからハーブは様々な効用を持つとされ、ハーブティーはその効果を簡単に得ることができる手段として用いられてきた。
ミントが苦手という犬の場合でも、ハーブティーなら大丈夫という犬もいるので、薄めに入れたハーブティーを与えてみるのも良い。
ミントに含まれるパワーを、ハーブティーという形で摂取するのも一つの方法だ。
エッセンシャルオイルの注意点
ミントといえば、その清々しい香りでエッセンシャルオイルとしても使用されている。イライラやストレスを落ち着け、リラックスを与えてくれる香りに癒される方も多いだろう。
しかし、ASPCA(米国動物愛護協会)では、ミントのエッセンシャルオイルに毒性があると指摘している。大量摂取を伴う場合は、嘔吐および下痢などが起こるという。
参考:ASPCA 「ミント(mint) エッセンシャルオイル毒性」
犬の場合、オイルの香りで気分が落ち着く、車酔いを軽くする、といった効果があるといわれているが、エッセンシャルオイルを用いて落ち着かせたり、酔い止めなどに使う場合は少し慎重に扱いたい。
また、犬がイタズラして舐めないように保管場所にも注意しよう。
エッセンシャルオイルとアロマオイルの違い
エッセンシャルオイル、アロマオイルといっても、その違いは?と聞かれて明確に説明できる方は少ないのではないだろうか。
簡単に説明すると、エッセンシャルオイルとは、自然植物の花や葉、木部、果皮、樹皮、根、種子などの部分に存在する天然の液体のこと。
その植物の香り成分が凝縮されている天然純度100%を「エッセンシャルオイル(精油)」と呼ぶ。
一方、エッセンシャルオイルに何かしら加えたり、人工的に香り付けされたもの、100%科学香料のものが「アロマオイル」「フレイグランスオイル」「ポプリオイル」に分けられる。
これらは通常、合成香料やアルコールなども入っているので、犬にとって強すぎる香りではないものを使用したい。
さいごに
今回ご紹介したスペアミントやペパーミント以外にも、フルーツ系の香りがするミントも多種多様。
青りんごのような香りが人気のアップルミントをはじめ、パイナップルミント、グレープフルーツミント、バナナミント、オレンジミント、ストロベリーミントなど、たくさんのフレーバーが存在している。
定番のスペアミントやペパーミントを活用する以外にも、飼い主さんと愛犬に合ったお気に入りのフレーバー探しをするのも面白そうだ。
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