みなさんは、クコの実を食べたことがあるだろうか?
中華のデザート、杏仁豆腐の上にちょこんと乗っている赤い干しぶどうのようなもの、あれがクコの実だ。
クコの実は、古来より中国で薬膳料理に取り入られてきたスーパーフルーツのひとつ。杏仁豆腐に添えられているのも、単に彩りを飾るためではなく漢方の発想なのだとか。
その理由の一つとして、中華料理は総じてカロリーが高いことにある。デザートの〆にクコの実を添えることにより、コレステロール値を下げる働きがあると考えられているのだ。
そんなクコの実は、人間ばかりではなく、犬にとっても有益な食材でもあるようだ。今回は、薬膳食材であるクコの実について紹介していこう。
クコの実とは?
クコの実は、東アジア(中国~日本)原産のナス科の落葉低木になる実のこと。
別名、「ウルフベリー」「ゴジベリー」とも呼ばれ、食用や薬用に利用されている。
私たちにとってクコの実といえば「実」の部分だけしか馴染みがないが、中国ではその薬効の多さから根や葉も利用されている。
ちなみに漢方の世界では、
- 実・・・「枸杞子(くこし)」
- 葉・・・「枸杞葉(くこよう)」
- 根・・・「地骨皮(じこっぴ)」
などと呼ばれ余すことなく使われている。
そんなクコの実は現代においても、果実は酒に漬けこんでクコ酒にするほか、生食やドライフルーツでも利用される。
薬膳としてお粥の具や杏仁豆腐のトッピング、柔らかい若葉は食用にされるなど、意外にもクコの実は様々な活用法があるのだ。
クコの実に含まれている栄養
クコの実がスーパーフルーツと呼ばれる理由はその栄養価の高さにある。なんと、あの赤い小さな粒には100種類もの栄養素が含まれているというのだから驚きだ。
ここではクコの実に含まれる代表的な栄養素を一部紹介しよう。
α-リノレン酸
α-リノレン酸は、多価不飽和脂肪酸の一種で多くの植物油で見られる。
栄養学では、摂取することが必須の栄養素である「必須脂肪酸」ともいわれている成分だ。
人を含めた多くの動物は体内でα-リノレン酸を原料としてEPAやDHAを生産することができるが、α-リノレン酸からEPAやDHAに変換される割合は10~15%程。だが、α-リノレン酸自体は体内で生成できないので食べ物から摂取する必要がある。
皮膚のバリア機能、神経細胞の形成、認知機能を高める働きなど、その効果は多岐にわたって期待されている。
多彩なビタミン類
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEは「ビタミンACE(エース)」と呼ばれるほど抗酸化力に優れており、免疫力アップやアンチエイジング、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えてくれるには欠かせない栄養素である。
また、ビタミンB1、B2、B6、といったビタミンB群も豊富に含んでいるのも嬉しいポイントだ。
ビタミンB群は基本的には炭水化物、脂肪、タンパク質の代謝に必要な成分である。つまり、人や犬にとっても生きるためのエネルギーを作るには欠かせない栄養素でもあるのだ。
ミネラルも豊富に含まれる
クコの実には、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛といった、実に様々な種類のミネラルを含んでいる。
基本的にミネラルは、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」の3大栄養素の機能をサポートしてくれる大切な成分。
犬の体調を整えるだけではなく、骨や歯など体の組織を構成する働きもあるので、犬の成長には欠かすことができない成分なのだ。
クコの実を犬に与える前に知っておくこと
このように栄養豊富なクコの実だが、与える際に少しだけ知っておきたいポイントがある。
ナス科の短所
クコの実は、意外なことにナス科の果実である。
一般的にナスやトマト、ピーマンといったナス科に属する野菜には、嘔吐や下痢を引き起こすソラレンという物質が含まれている。この成分はジャガイモの芽や青い部分に含まれていることでも知られているが、ナス科であるクコの実にも含まれている。
クコの実にはソラレンのほか、グリコールアルカロイドといった毒素も含まれているのだが、適量を摂取する分にはほぼ問題はないだろう。
ただし、人の場合では薬を服用していると相互作用を起こす可能性もあるという。特に糖尿病や血圧薬を服用している場合は注意が必要になってくる。犬の場合でも気になるようであれば、かかりつけのドクターに相談の上で与えるようにしよう。
クコの実のカロリーと糖質量
次に気になるカロリーと糖質量についてだが、それほど高い数値ではないようだ。
クコの実はだいたい10粒程度でカロリーは5kcalほど、糖質に至っては約1.1gと言われている。
もちろん、50粒も100粒も与えれば話は別だが、前項でも説明の通り適量であることが望ましい。杏仁豆腐の添えられている1~2粒位がちょうどいい量なのかもしれない。
クコの実の与え方
クコの実は、ドライフルーツとして入手することが多いと思うが、そのまま食べると少し苦みが気になるところではある。
そのまま犬に与えても問題ないが、できればご飯に混ぜて与えるとよいだろう。
さいごに
中国では「薬食両用」として扱われているクコの実。
医療機関では薬品として漢方薬の成分として使われることもあれば、薬局やスーパーなどでは各種加工食品、飲料、サプリメントなど実に様々。家庭では料理を作るときにちょっと加える食材としても活躍しているという。
季節の変わり目や食欲が落ちているとき、愛犬と飼い主さんの体調に合わせた薬膳料理に、是非クコの実を活用しよう。
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