紫色のものと緑色の品種がある「つるむらさき」。
沖縄では「じゅびん(地紅)」とも呼ばれ島野菜の一つとして親しまれている。
味はほうれん草に似ているが、モロヘイヤにやや似た独特のぬめりや粘り気があるのも特徴だ。
栄養面でもカロテンやビタミンC、カルシウムなどが含まれる体に嬉しい野菜なので、愛犬ごはんのレパートリーにも加えてみたいが、与える注意点などあるのだろうか?
夏になると出回る緑黄色野菜つるむらさき。与えてよいのか早速調査してみよう。
つるむらさきは犬が食べても大丈夫?
つるむらさきは、茎が紫色の「赤茎種」と、茎も葉も緑色の「青茎種」がある。
紫色のものは花が美しく観賞用に栽培される場合も多いので、スーパーなどでは青茎種の方がよく出回っているだろう。
名前の通り蔓(つる)性の植物で、蔓の先端の若い葉と茎を食用とする。栄養価も高く、ほうれん草に負けず劣らずの実力の持ち主。βカロテン、ビタミンC、ビタミンK、葉酸、カリウム、マグネシウムなどのビタミンやミネラルを非常に多く含んでいる。
もちろん、これらの栄養素は犬にとって害を与えるものではないので、つるむらさきを犬に与えても問題ない。
ただし、アクが少ないため「生」で食べる人もいるかもしれないが、犬に与える分は茹でてアク抜きしたものを与えるようにしよう。
シュウ酸の摂取はシュウ酸カルシウム尿石症の原因にもなってしまう。ほうれん草と同様、つるむらさきにもシュウ酸は含まれているので、アク抜きしシュウ酸を減らしたものを安心して与えたい。
つるむらさきに含まれる栄養と効能
栄養面ではほうれん草に匹敵すると言われる、つるむらさき。いったいどんな栄養素が含まれているのかチェックしてみよう。
βカロテン
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。
しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素なのも嬉しいポイントだ。
葉酸
葉酸といえば、妊娠初期に必要となる栄養素であるが、その理由は細胞の生成に必要な栄養素だから。
犬は腸内細菌によって多少の葉酸が作られるというが、犬の1日の必要量を満たしているかまでは明らかになっていない。不足しないよう普段の食事からも補っていきたい栄養素だ。
ビタミンC
ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素である。
ビタミンK
ビタミンKの役割は、出血した時に血液を固めて止血する働きのほか、骨に存在するタンパク質を活性化し、骨の形成を促す作用がある。
犬は腸内細菌によってビタミンKが合成されると言われているが、それだけで1日の必要量を補えないともいわれている。そのため、普段の食事からも不足しないよう補ってあげたい栄養素だ。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
近年、高血圧や脳卒中の予防などにもつながる重要な栄養素として注目されている。
マグネシウム
血圧や体温調整、神経伝達には欠かせないミネラルのひとつ。
もちろん、過剰摂取は尿路結石を引き起こす要因にもなってしまうが、気にしすぎて摂取せずにいると欠乏症による神経障害や骨、血圧などに異常をきたす場合もある。
犬の健康維持には必要不可欠なマグネシウム。バランスよく摂取を心がけたい。
つるむらさきを与える際の注意点
つるむらさきは茹でるのが正解
前項でも説明した通り、つるむらさきにはシュウ酸も含まれている。
シュウ酸の摂取はシュウ酸カルシウム尿石症の原因にもなってしまうため、何はなくともできる限り摂取したくはないもの。
そのため、つるむらさきを愛犬に与える際には茹でてから与えるのが正解。
つるむらさきのシュウ酸は水溶性。茹でることによりその量を減らすことができるので、生ではなく、必ず茹でたものを与えるようにしよう。
茹で方にひと工夫
つるむらさきは、ほうれん草などと比べて茎が太いので、茹でる時は「茎」と「葉」に分けて時間差で茹でるのがコツ。
茎を先に茹で始めて、茹で終わる少し前に葉の部分を入れよう。葉の部分は火が通りやすいので、サッと火を通す程度でOK。あまりグズグズしていると葉がぐちゃぐちゃになってしまうので注意したい。
次に、茹で終わったら、冷水に取り水気を絞っておく。消化に良いよう細かく刻んでから、フードのトッピングや手作り食などに活用しよう。
食物アレルギーがないか様子を見守ろう
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに
つるむらさきのヌルヌル・ネバネバ成分には、胃を保護したり、腸内環境を整えたりする働きがあるといわれている。
冷凍保存も可能なので、使い切れそうにない時はあらかじめ茹でてストックしておくと、何かと使い勝手が便利でよい。
栄養豊富なつるむらさき。上手に活用して愛犬の食事にも是非活用してみたい野菜だ。