カボスの特産地といえば大分県。
主産地である大分県臼杵市には、かつて樹齢300年といわれた古木があり、現在も樹齢200年前後の古木が残っている。大分県外にはこのような古木はないため、大分県がカボスの原産地とする説があるほどだ。
古くから果汁が酢の代わりに用いられてきたというだけあって、カボスの果汁は酸味に富むとともに独特の香りがあるのが特徴。刺し身や焼き魚の薬味として、あるいは鍋料理のポン酢や酢の物、果汁や果肉を用いたジュース、和洋菓子、酒類など、様々なシーンで使われている食材だ。
そんなカボス。レモンなどの柑橘類に比べるとワンランク上の存在に感じる。入手する機会があれば、愛犬の食事にも使ってみたいが、酸味が強い分だけあって犬には難しいような感じもするがどうなのだろう。
カボスは犬に与えて問題あるのか?ないのか?早速調査してみよう。
カボスを犬に与えても大丈夫?
結論から先に述べれば、カボスには「ネギ類」や「チョコレート」に含まれているような中毒症状を起こす成分は入っていないため犬に与えても問題はない。
ただ、カボスは香酸柑橘類のひとつ。
柑橘類の中でも酸味が強いため生食には不向きとされるものを「香酸柑橘(こうさんかんきつ)」と呼び、レモン、ユズ、ライム、スダチ、そしてカボスも香酸柑橘類に含まれる。
そのため、少量程度を与えるのであれば大きな問題になるようなことはないだろう。
だが、万が一盗み食いなどでカボスを丸ごと大量に食べてしまった場合は、念のためかかりつけのドクターに診てもらうようにしよう。
カボスに含まれる栄養と効能
カボスには、クエン酸やビタミンCが豊富に含まれており、疲労回復や老化防止などにも期待ができる。
食酢に比べるとまろやかな酸味が特徴的だが、栄養面ではどうなのだろうか。
クエン酸
同じ香酸柑橘のレモンと比較すると約2倍もの量がカボスには含まれている。
クエン酸は、疲労の原因である乳酸の増加を抑制・分解する作用があるため疲労回復に期待ができる物質のひとつ。
他にも、吸収されにくい成分を吸収されやすい形に変えて吸収したり、体内の有害物質を排出しやすい形に変えて排出する「キレート効果」にも注目されている。
カリウム
こちらも、レモンと比較すると豊富に含まれているのが特徴。
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
ビタミンC
犬は体内でビタミンCを合成できるが、だからといって摂取しなくてもいいわけではない。年齢と共にその能力は低下するので長期的に摂取したい栄養素の一つなのだ。
ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素なのである。
カボスのあげ方や注意点
犬にカボスを与えること自体は問題ないのだが、カボス特有の酸味は犬にとっては刺激が強すぎるだろう。
しかし、カボスの酸味成分であるクエン酸には、鉄やカリウム、カルシウムなどのミネラル分の吸収をサポートする役割があるのだ。
一見、酸味が強いため与え方に困ってしまうカボスだが、一工夫することにより得られる効果がアップする。ここでは、犬への上手なあげ方について紹介していこう。
初めて与える時は「少量」から
初めてカボスを与える時は、まずは搾り汁をほんの少量だけ味見させてみよう。
おそらく初めの一口でビックリしてしまい、その後なかなか口にすることはないと思う。
犬の味覚は人間ほど鋭くないので酸味にも鈍感かと思われがちだが、意外にもカボスの刺激は犬にとっても強烈なのだ。
そのため、与えて嫌がる場合は無理に与えないようにしよう。
カボスを与える量は「少量」を心がけ、間違っても、犬の反応見たさに一気に与えることは避けたい。
カボスの皮や種は与えない
皮はジャム作りなどに使われるが、犬にとっては消化に悪いため与えるのは避けよう。
また、種も同様。仮に食べたとしてもウンチとなり排出されるが、基本的に消化に悪い部分は与えないようにしたい。
食中毒の予防に
クエン酸には殺菌効果があり、細菌の増殖を抑えて食べ物の腐敗を防ぐ効果もある。そのため、食材が傷みやすい季節などは、犬の食事にカボスの搾り汁を加えるのもよい。
気温の高い夏の日など、食べ物が傷みやすい季節にプラスすれば食中毒の予防にも一役買ってくれる。
手作り食のサポートに
体の組織や機能を調整しているミネラルは、非常に吸収しにくい栄養素である。
だが、カボスに含まれているクエン酸はキレート剤として働き、ミネラルの吸収を高めてくれる働きがあるのだ。
特に手作り食を与えている方は、カルシウムや鉄分などが不足しがちになってくる。完成した食事にカボスの搾り汁を少々加えると、ミネラル分の吸収をアップさせるのでおすすめだ。
さいごに
日常的に扱う機会は少ないものの、あると料理の仕上がりが格段にアップするカボス。
カボスによって栄養を補おうとする必要はないかもしれないが、せっかく入手したら愛犬の食事にも加えてあげたいところでもある。
少しずつ与えて様子を見るようにし、その豊かな風味を愛犬の食事にもプラスしてあげよう。