貝類の中でも人気が高いホタテ。
旨味成分がぎっしり濃縮された身は、寿司はもちろん、バターソテーや貝柱の珍味、バーベキューで殻ごと豪快に焼くなど、どんな料理でも主役になれる優等生。
養殖も盛んなので、漁獲量、品質、価格ともに安定している食材だ。
和洋を問わずあらゆる料理との相性がいいので、愛犬の食事にも加えてみたいと思う方も多いことだろう。
もちろん犬にホタテを与えても大丈夫なのだが、ホタテといっても与えていい部位、ダメな部位があるのはご存知だろうか?
今回は、犬にホタテを与える前に知っておくべきポイントをいくつか紹介していこう。
犬に与えていい部位、ダメな部位
まず、ホタテの部位から説明をはじめよう。
下の画像を見ても分かる通り、ホタテをパーツごとに分けると、①ウロ(中腸腺)、②貝柱、③ヒモ(ミミ)、④エラ、⑤生殖巣(卵・メス)の5つの部位があるのだが、この中でも①ウロ(中腸腺)、④エラの部分は食べることはできないので必ず取り除くようにしよう。
※画像出典:活ホタテの食べ方、捌き(さばき)方 最北の海鮮市場 Saihok.jp
与えていい部位:②貝柱、③ヒモ(ミミ)
ホタテといえば、貝柱、ヒモ(ミミ)が、みなさんも知っている部位ではないだろうか。
主に寿司ネタ、刺し身、ソテー、珍味などでもお馴染みの部位である。
この貝柱、ヒモ(ミミ)であれば毒性はないので、犬も安心して食べることができる。ただし、犬に与える時は生ではなく、しっかりと加熱してから与えよう。
与えてはダメな部位:①ウロ(中腸腺)、④エラ、⑤生殖巣
ホタテの内臓、ウロ(中腸腺)と呼ばれる部位は、重金属のカドミウムの成分なども入っており、中毒を引き起こしてしまう可能性があるので食べないようにしよう。
近年ではホタテ漁で必ず毒素の検査をしているとはいえ、念のために与えないようにしたい。飼い主さんも可能なら取り除いてから食べよう。
他にエラ、生殖巣もNG。人の場合、生殖巣を加熱して食べることもあるが、生食ではお腹を壊してしまう部位でもある。加熱したとしても犬は避けた方が無難だろう。
購入前に鮮度を確認しよう
与えていい部位とダメな部位が分かったところで、次は鮮度の良いホタテの選び方をマスターしよう。
殻付きの場合
殻が付いている場合は、殻が欠けていたり、いびつになっているものは避けよう。
また、少し口を開いている場合は、指で殻を触ってみるのも良い。触って素早く殻を閉じようとすれば新鮮な証だ。
逆に殻が大きく開いてしまっているものは鮮度が落ちてきているので避けよう。また、閉じたきりで反応がないものは死んでいる可能性が高い。
殻がついていない「むき身」の場合
殻がついていない場合は、前項でも紹介した①ウロ(中腸腺)を見て判断するようになる。
新鮮なうちは緑色をしているのだが、鮮度が落ちるにしたがって黒く変色する。スーパーなどで、むき身のパック詰めされたものを購入する際は、ウロが黒ずんでいないものを選ぶようにしよう。
ホタテの栄養と効能
食べる部位、選び方が分かったところで、ホタテに含まれる栄養素をチェックしてみよう。
亜鉛
犬に亜鉛?と思ってしまうが、実は愛犬の健康を保つためには頼りになる存在だ。
亜鉛は、細胞の再生やストレスの軽減、免疫力の向上に効果があるといわれている。
亜鉛の不足は、フケ、鼻や肉球のカサカサの原因にもなってしまう。犬は人よりも多くの亜鉛が必要だとされているため不足しないよう摂取したい。
タウリン
栄養ドリンクに含まれている成分でお馴染みのタウリン。
ホタテの代表的な栄養素であるこの成分は、非常に強い抗酸化作用を持っている。また、心臓機能を正常に保つためにも必要な成分であるほか、視力を回復させたりする効果もあるようだ。
犬は肝臓でタウリンを合成できるが、その合成量にも限度があるといわれている。不足しないよう食べ物からも補ってあげたい。
ビタミンB12
ビタミンB12は補酵素として、タンパク質、炭水化物、脂質などの代謝を助ける働きがある。
また、造血ビタミンの一つであるビタミンB12は、赤血球の生産には欠かせない栄養素でもあるため、老化防止、貧血防止、タンパク質合成などに効果を発揮する成分ともいわれている。
葉酸
葉酸といえば、妊娠初期に必要となる栄養素としても知られているが、その理由は細胞の生成に必要な栄養素だからである。葉酸は他にも血液を作る働きも持っており、ホタテには豊富に含まれているのも特徴だ。
犬は腸内細菌によって多少の葉酸が作られるというが、犬の1日の必要量を満たしているかまでは明らかになっていない。
普段口にするものから積極的に摂ることは決して容易ではないため、不足しないよう補ってあげよう。
ホタテの与え方や注意点
ホタテの与え方
新鮮なホタテを入手したら、悪くならないうちに早速調理しよう。
愛犬に与えてもいい部位は、貝柱とヒモ(ミミ)の2パーツのみ。
まずは、この部分を取り出して沸騰したお湯で茹でよう。茹で上がったら、食べやすい大きさにしていくのだが、ヒモ(ミミ)部分は人でも食いちぎれないほどの弾力がある部分。喉に引っかからない長さで与えるようにしよう。
また、バーベキューなどで殻付きを調理して与える場合は、まず塩分を確認しよう。海水を多く含んでいる場合は、焼きホタテの塩分はかなり高いので、そのまま与えるのは避けたい。
少し面倒でも、水またはぬるま湯で「塩抜き」したものを与えよう。
はじめて与える時は少量から
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに
世界の海には300種類が存在するという「ホタテ」。
日本では、主に北海道や東北地方、三陸海岸などで漁が盛んに行われている。
ホタテの旬は5月~7月と、11月~1月の年2回。ホタテは手頃な値段で入手でき、且つ栄養がある食べ物だ。
素材そのままでも旨味がでるので、食欲のない時に茹で汁をフードにかけて嗜好性をあげるのにも一役買ってくれるだろう。
ぜひ今回の情報を参考に、ホタテを上手に活用してみて欲しい。