いんげん豆の原産地は、中央アメリカ(中米)及び、南アメリカ(南米)大陸。
17世紀の中頃に、中国から隠元(いんげん)禅師によって伝えられたことから、その名をとって「隠元豆」と呼ばれるようになったと言われている。
さやいんげんは、品種改良や栽培方法の工夫により1年を通して流通しており、スーパーでも気軽に手に入る食材の一つ。さやいんげんと言えば、マメ科の中でも皮ごと食べれる野菜であるのが特徴だ。
ちなみに、「さやいんげん」と「いんげん豆」の違いは、若いさやを食べる場合は「さやいんげん」と呼ばれ、一方の「いんげん豆」は、豆が成熟してから収穫、乾燥させた乾物のことを指す。
今回は、さやいんげんと犬の相性について紹介していこう。
正しく与えれば、犬にとっても栄養豊富
さやいんげんでまず注目したいのが、「必須アミノ酸」と呼ばれる、体内での合成ができないアミノ酸が全て含まれていることにある。
生きていくうえで必要不可欠な栄養素でもある必須アミノ酸。その種類や数は動物によって異なり、我々人間では9種類、犬は10種類と言われている。
人の必須アミノ酸9種類といえば下記に示した種類。これらの必須アミノ酸の全てがさやいんげんに含まれているのだから驚きだ。
フェニルアラニン | イソロイシン | トリプトファン |
ロイシン | スレオニン(トレオニン) | リジン(リシン) |
バリン | ヒスチジン | メチオニン |
しかも、さやいんげんには犬にとって10番目の必須アミノ酸である「アルギニン」も含まれているのだから、さやいんげんはまさに優秀な野菜といっても過言ではない。
他にも、βカロテン、カリウム、カルシウム、ビタミンB群、食物繊維なども含まれている。
しかし、さやいんげんには「レクチン」も含まれており、摂りすぎれば犬はもちろん、人間にとっても健康に害を及ぼす可能性がある。
主に、「いんげん豆」のような完熟した乾燥豆のものに多量に含まれており、特に生で食すのは中毒を引き起こすと言われている。
一方の「さやいんげん」にもレクチンは含まれているので、生では与えず、沸騰したお湯でレクチンを無毒化してから与えるようにしよう。
犬はさやいんげんを食べられるが、正しい与え方も同時に知っておくことが大切だ。
与え方のポイントを押さえよう!
スジを取り沸騰したお湯でよく茹でる!
犬にさやいんげんを与える際は、沸騰したお湯でよく茹でてあげるのがおススメだ。前項で説明したレクチンを無毒化する以外にも、食材自体が柔らかくなり、且つ消化吸収がされやすくなる。
それと、さやいんげんのスジ。
みなさんも、食べた時に噛み切れず口の中に残ったり、歯の間に入ったりしたことはないだろうか。
与える際は消化に良いよう、硬いヘタやスジは取り除き、細かく刻んでから与えよう。
昔は、さやいんげんのスジ取りなどを手伝ったが、今では「スジなし」が一般的になっているようだ。
とはいえ、中には「スジあり」もあるので、さやいんげんの両端を折ってみてスジがあるか、まずは確認だ!
与えすぎは消化不良の原因になる
食物アレルギーがないか様子をみよう!
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さやいんげんの栄養と効能
βカロテン
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つ。
ビタミンB1
ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
カルシウム
骨や歯を作るのに必要なカルシウム。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り食がメインの場合は、どうしてもカルシウムが不足しがちになってしまう。
しかも、犬の年齢に応じて必要量も変化するのだから、ドックフードにはトッピングで少量、手作り食がメインであれば、さやいんげんを上手に活用するなど、上手に使い分けてみるのもおススメだ!
さいごに
さやいんげんの旬は、6月~9月である。旬の時期を迎えると、スーパーでお買い得になったり、家庭菜園をしてる知人から大量にいただくことも多いかと思う。
さやいんげんは常温でも保存可能だが、乾燥しやすい食材なので、数日使わない場合は冷蔵庫の野菜室へ入れておこう。
また、さやいんげんは冷凍保存にも適しているので、多めに手に入った場合はまとめて茹でて冷凍しておくと、調理する時に下ごしらえの手間が省けて便利だ。
さやいんげんは犬にとっても嬉しい栄養素が多く、難しい調理テクニックが必要のない食材でもある。