初めて犬を我が家に迎えた時、ペットショップの店員さんから一通りの注意事項を聞いて『今ウチで食べさせているごはんはこのドッグフードで、成長と合わせてコチラに代えて行って下さいね』
そんな説明を受けたもののインターネットやSNSではペットに野菜をあげている投稿やレシピが溢れていて・・・
ドッグフードと手作りごはんって結局どっちが正解なの?
ごはんを食べることは愛犬にとって、とても大きな楽しみのひとつ。
私たち人間だって理想的な栄養バランスを考えているのですから犬にも栄養が偏らないように野菜を与えたいもの。
でも3食全てをサプリメントだけでまかなうのではなんだか味気ないですよね。
犬だって野菜等のいろいろな物を食べさせてあげることでいつもと違う匂いや食感を楽しんだり味わったりして、食事に対するモチベーションもあがるものです。
【専門家監修】宮腰 里知子
Contents
犬に野菜を食べさせてもOK?
扇風機、風量マックスで冷ます
早く早くと急かす犬
本日のトッピングは
馬肉サッと焼き
ブロッコリー
トマト
発酵野菜
もちろんふたりとも馬肉からガッツク pic.twitter.com/nifzHuiCUk— りくかいのママ (@rikukainomama) December 5, 2020
お肉が大好きなイメージの犬。
ペットショップのおやつコーナーを覗いても鹿や馬のお肉や骨、クッキーなどはたくさん見かけるものの野菜ってそれほど見かけませんよね。
しかし、実際には犬に野菜を食べさせても大丈夫ですし、犬もお肉と同じくらい野菜だって大好きなんですよ。
野菜がペットショップに並んでいないのは、ずばりスーパーで買えるからです。
とは言っても犬にごはんを作ってあげるなんてレベル高すぎると尻込みしてしまうかもしれませんが、犬用に与える時は味付けがいらないのでちょこっと火を通すくらいでOK!
お手軽に挑戦できるのも魅力的ですね。
なんなら人間用のごはんの準備の片手間でできてしまします。
さて、愛犬はどんな野菜に興味を示すでしょうか。
反応が楽しみですね。
犬に野菜を食べさせるメリット
人間は食事の時、どんな風に盛り付けされているかを見て『わぁ、おいしそう!』とか『さすが高級レストランだなぁ』なんて感心して、次に『どんな味がするんだろう』と味わいますよね。
しかし、犬にはごはんの彩りを楽しんだり、ちょっとした味の違いはあまりわかりません。
嗅覚があんなに鋭いのに味覚が鈍感というのはなんだか意外ですよね。
犬にとって好きか嫌いかをジャッジする材料は第一に『匂い』です。
匂いの次に大事なのが『食感』
ほとんどの犬がお肉が大好きなのはなんとも言えないおいしそうな匂いと肉独特の食感も楽しいからだったんですね。
お肉のような歯応えがなくたって野菜や果物のシャキシャキ感だって大好きなんですよ。
これっていつも同じドッグフードを食べていた時には楽しめない感覚ですよね。
日々のごはんと合わせ野菜も積極的に食べさせることでいろいろな匂いや食管を楽しみながら食事の時間がより刺激的でウキウキするだけでなく、5大栄養素や植物繊維、水分も取り込むことができるのです。
そう言われてみると野菜を食べている愛犬の顔がなんだか満足げに見えてきますね。
よくペットと一緒に泊まれる施設の魅力として犬用のメニューを用意してくれているホテルもありますよね。
中には人間のコース料理顔負けに美しく盛り付けられた犬用お料理の数々に誕生日にはケーキまで・・・
確かにインスタ映えはするかもしれませんが、犬にとっては残念ながらほとんど違いがわかりません。
間違った情報を鵜呑みにしないで!
インターネット上には良くも悪くも様々な情報が溢れていて、調べ始めると何が本当で何が嘘なのかよく分からなくなってきてしまいます。
犬の食べ物に関しても同じでこの食べ物がいい、これは悪いと言った両極端な書き込みがたくさん。
よく『犬にどんな野菜を食べさせたらいいのか』『うちの子は〇〇を食べない』なんて疑問を耳にしますが、好みは犬によって違います。
犬種が同じでも、同じ環境で生活していても好みはバラバラなので、共通して『これがいいです』って言える食べ物ってほとんどないのです。
与えた野菜が愛犬に合っているかどうか何を基準にするかと言えば『よく噛んで食べているか』、ごはんやおやつを代えたことによって『体調やうんちのコンディションはどうか』です。
食べ物によっては硬かったり食物繊維が多くて、あまり噛まずに食べてしまうと吐いたりうんちが緩くなることもあります。
与えた食べ物が合わないのか、よく噛んでいないからなのかきちんと見極めましょう。
きゅうりやかぼちゃは実は危険!
しゃきしゃきした食感のきゅうりを犬に与えている方も多いと思いますが、意外と知られていないのはきゅうりには毒性があるということ。
これは人間にも共通して当てはまることですが、昔からきゅうりをたくさん食べると疲れやすくなるって言われてたりしますよね。
きゅうりにはククルビタシンという成分が含まれていて元気な時は問題ありませんが、疲れていたり歳をとって体が弱ってきている時に食べるとお腹が痛くなったり、くだったり、最悪の場合は胃腸不全に陥ります。
ククルビタシンはかぼちゃにも含まれています。
老犬であれば与えない方が賢明です。
数あるインターネット上の書き込みにはきゅうりやかぼちゃは犬に食べさせたい野菜として紹介されていることが多いですが、くれぐれも与えすぎには注意しましょう。
犬に野菜を食べさせる時に気を付けたいこと
犬と野菜スティックシェアして過ごす昼休み最高だな pic.twitter.com/hiCRisTyqZ
— 柴犬ゆきみ (@yukimi_shiba) March 2, 2021
野菜は栄養バランスを保つために大切な食べ物になりますが、中には人間にとっては普通に食べている野菜でも犬にとっては病気の原因となってしまうものもあります。
なぜそんなことが起きるのかというと、そもそも人間と犬とでは消化システムが違うからです。
人間にとって良い物が = 犬にとってもいい物 とは限りません。
『野菜だからヘルシー』『野菜だから健康にいい』と思って与えている方もいますが、加熱することで酵素がなくなり毒素だけが残ってしまうことだってあります。
私たち人間は普段食べている物が体にいいかどうか考えたり、疑問に思ったら調べたりすることもできますが、犬はたとえ体に良くなくても目の前に出されればおいしそうに食べてしまいますので飼い主さんがしっかりと管理してあげなくてはなりません。
犬の健康の為に野菜を食べさせているつもりでも、『この野菜は大丈夫ってインターネットに書いてあったから』なんて誤った情報を鵜呑みにして与え続けているとかえって犬を病気にしてしまう可能性があることを充分に理解しましょう。
もしも心配な場合には定期的に健康診断を受けて専門家にきちんと愛犬の健康状態を確認してもらうと安心ですね。
犬には危険な野菜
人間であれば野菜中心の食生活は非常にヘルシーですが、犬にたっぷりの野菜を毎日与え続けお肉とのバランスが取れなくなると病気になりやすくなったり消化不良を起こしてしまうケースもあります。
犬を飼っている方であれば知っている方も多いと思いますが、玉ねぎやニンニク、ニラなどのネギ類は犬にとっては有害な食材ですし、アボカドや筍、ごぼう、ゴーヤなども犬の健康を邪魔する成分が入っている為、犬には与えないようにしましょう。
持病があったり薬を飲んでいる犬に関してはきちんとかかりつけ医に確認することをおすすめします。
また、犬にとって毒性のない野菜がメインでも人間のごはんのように調味料で味付けしてある料理は犬には向きません。
塩分を摂りすぎてしまうので味付けをしていない状態か、どうしても味付けをしないと食が進まない場合はお肉を茹でた汁を野菜に掛けたり、いつも食べ慣れているごはんに混ぜてあげたりしましょう。
野菜のあげすぎに注意!
ドッグフードの中には素材に真摯に向き合い、犬の健康の為にこだわって作られている良心的な物ももちろんありますが、犬の食べ物には人間用と違い食品衛生法が適用されない為、あまり良くない食材が使われている事があるのも事実です。
『総合栄養食』と書かれているものは、ドッグフードと水だけを与えていれば栄養バランスが摂れるように計算して作られていますが、野菜をじょうずに食べさせることでより健康的になります。
野菜は体に良い栄養素が摂取できる反面、食べ方や食べる量によって下痢や消化不良・体調不良になることもあるので、ドッグフードをやめて全てを野菜中心の手作りごはんにするのではなく、食事全体の1/5程度 (20%以内)に抑えるようにしましょう。
愛犬の生活にじょうずに野菜を取り入れよう
昨日のわんこご飯は
ササミと納豆のご飯だよ
野菜は、茹でた小松菜とにんじんのみじん切り
アマニ油とササミと野菜を茹でたスープをかけてでっきあがりです#ジャックラッセルテリア #JackRussellTerrier #犬ごはん pic.twitter.com/J43ISgJLNG— リンとカイ (@rin_and_kai) July 4, 2020
長い歴史の中で人間と一緒に生きてきた犬はいつからか雑食になり、お肉以外にも穀物を始めいろいろな植物や野菜などからも栄養を摂取するようになってきました。
ドッグフードのみで栄養を補おうとせず、お肉や野菜などいろいろな食材をバランスよく食べさせ毎日の食事を楽しむことで心身共に健康が保たれます。
今までドッグフードを食べさせていたのであれば、野菜を食べないからといって無理やり食べさせようとすると余計に苦手意識を持ってしまいます。
急に野菜を増やすのではなく、おやつに与えてみたり、いつもの食事の量を少しだけ減らしてその分野菜と混ぜてみるなど段階を踏んで徐々に野菜に慣れさせるように工夫が必要です。
人間にとっても愛犬にとっても食事は生きていくうえでとても大事な要素なので、正しい知識を身に付けて愛犬といつまでも健康的に過ごしましょう。