【専門家監修】犬に甘栗を食べても大丈夫?食べていいの?期待される効果や調理方法は?

Pocket

犬にとって毒となってしまう食べ物はたくさんあります。

生のまま与えてしまうと、吐き戻してしまったり、時には命に関わることも。

しかしその中でも、「与えると身体に良い」食べ物も存在します。

そのうちのひとつが「甘栗」。甘栗が犬にとってどのような効果が期待できるのか?

また、与える場合の正しい調理方法など、詳しく解説していきます!

【専門家監修】応武 梓

専門家 監修
【動物関係の保有資格】アニマルヘルステクニシャン、ペットグルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナー

犬に与えるときの甘栗の調理方法は?

甘栗は生のまま与えても、成分的には実は問題はありません。

しかし当然のごとく、生の甘栗はとっても硬いので、犬の牙でさえも噛み砕くことは難しく、歯や口内に負担がかかり消化もしにくい為お勧めできません。

おすすめなのは「茹でる」こと

柔らかく、スプーンなどで簡単に潰せるようなくらいがベスト。

またスーパーなどで売っている加工された甘栗は、成分がシンプルなものならば与えても大丈夫ですよ。

後半で解説しますが、味が付いていたりお菓子に加工されているものはNGです。

栗は、丸くてつるつるしているので丸呑みしないようにだけ注意が必要です。

丸呑みしてしまうと、消化が遅くなるため腸閉塞になりやすくなります。

その前に窒息などが原因で亡くなるケースも少なくともあります。

柔らかくしたあとは、裏ごししてあげるなど、細やかな配慮は忘れないでおきましょうね。

「鬼皮」と「渋皮」

「鬼皮」と「渋皮」についてですが、鬼皮はとっても硬く、尖っていることがほとんど。

飲み込んでしまうと、消化器官も傷つけてしまうので、必ず取り除いてくださいね。

当然ですが、拾ったときに付いている、栗のイガも絶対に取り除くようにしましょう。

ちなみに渋皮は脂質の吸収を抑え、糖質を分解してくれる成分が含まれています。

ただし、脂肪を分解する役割がある膵リパーゼの働きを妨げる可能性もあるとも言われています。

「何が起こるかわからない」成分でもあるので、しっかりと取り除いてあげたほうが安全だと思います。

やってはいけない!犬に与えるときの甘栗の調理方法。

茹でたり過熱したりした甘栗・真空パックされた無加工の甘栗、不要な皮を全て取り除いた甘栗は与えても影響がないということをご紹介しましたが

逆に「これは絶対ダメ!」

という与え方もあります。

甘栗が犬にとって良い効果があるとはいえ。

与える方法を間違えてはいけません。

詳しくこちらもご紹介していきます!

炊き込みご飯など

味を調節するための調味料や食材などを使わずに炊いた栗ごはんであれば、犬に与えても大丈夫。

市販の栗ごはんの即席セットや、お弁当として売られている炊き込みご飯などは、人間のために作られたものなので犬にとっての安全性はゼロに近いです。

基本的には人間が食べやすくするために、味を調えて作られています。

その中には、塩やみりんなども含まれており、犬にとっては危険がいっぱい。

ちなみに栗ご飯を与えたいのであれば、味の付いてない白米に柔らかくした甘栗を混ぜるなど、味付けはしていないものを与えましょう。

ケーキ・デザート

栗のスイーツといえば「モンブラン」。

こちらは脂肪や砂糖が多いため、犬の健康に有害といえます。

また、ケーキなどの種類によっては、洋酒やチョコレートなども含んでいることも。

犬にとって悪影響のある食材を使っていることもあるので、人間用のケーキなどは与えないようにしましょうね。

犬用のおやつには無害なことが多く、人間が食べれられるほどのクオリティが高い物が今の時代は多いですよね。

歯に詰まったり、食べた後の歯磨きはしっかりとしてあげましょう。

虫歯予防になったり、歯石や歯肉炎予防をすることができます。

まるごと栗を使った料理

和菓子で言うと、「栗ようかん」や「栗饅頭」など。

お菓子に使われている主原料が、「小豆・寒天・栗」はしっかりと加熱してあれば犬に与えても問題はありません。

しかしようかんやあんこに限らず、お菓子には砂糖が多く含まれており、少量でも肥満の原因になったりします。

虫歯の原因にもなるので与えないようにしておきましょう。

また、栗といえば「マロングラッゼ」

こちらは砂糖漬けなので、上記と同じく肥満や虫歯の原因になります。

また、こちらも洋酒を使っていることも多いので与えることはやめておきましょう。

甘栗に含まれる犬にとっての有害・無害成分などは何?

栗には、「炭水化物やビタミンB1・ビタミンC・鉄・食物繊維」などが多く含まれています。

このように栄養価が高く、調理方法が正しければ、犬が食べても大丈夫な食材です。

完全に取り除いたほうが安心ですが、渋皮にも抗酸化作用のあるタンニンが含まれています。

ビタミンB1

ビタミンB1は、糖質からエネルギーを作り、皮膚を健康に保つ働きがあり、皮膚病などの予防にも効果的。

ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用や皮膚を健康に保つ働きがあり、一般的に加熱すると減少し破壊されます。

タンニン

タンニンは栗の渋皮に含まれている成分で、ポリフェノールの一種。

ポリフェノールは、犬の臓器に負担がかかる成分として有名です。

心臓にも大きく負担がかかり、過剰摂取した場合は、不整脈などが症状として現れます。

抗酸化作用によってコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化のリスクを下げる効果が期待でき、シニア犬にもお勧めですよ。

また、栗の栄養は意外に水分量が多く、58%が水分、食物繊維は100gあたり4.2gとかなりの栄養素単価が高め。

食欲不振や。真冬の水分補給にもオススメです。

量を食べ過ぎなければ便秘解消にも繋がることが期待できます。

また、100gあたりカロリーは164kcalあり、タンパク質は2.8gあるので、栄養補給にもすることができますよ。

カリウムも多く含まれているため、利尿作用も期待できます。

何より、栗は炭水化物が豊富に含まれている食べ物なので、カロリーも高いものになります。

なので大量にあげてしまうと、肥満の原因に。

栗を犬がたくさん食べることで、お腹がいっぱいになり、普段の食事が入らず栄養が偏ってしまうこともあります。

犬に甘栗を食べさせるときの注意点!

甘栗は柔らかくして、味付けはしないという条件で与えることが必須なのですがまずは、与える前に愛犬の体調と相談しましょう。

栗には食物繊維も豊富に含まれています。

食物繊維はお通じの流れを良くする働きがありますが、犬が下痢をしていたり、消化能力が弱っている場合は悪化してしまう場合があるのであげないようにしましょう。

犬に甘栗を与えるとアレルギーになる?

あまり多くはありませんが、犬が栗に対してアレルギーを持っている子もいます。

最初は少量を食べさせることから初めていきましょうね。

目の充血する、体を痒がるなどといった症状が見られた場合、アレルギーを発症している可能性がかなり高いので、病院に早めに連れて行きましょう。

これ以外にも、下痢をしてしまったり、おなかを痛がっている場合は、そもそも胃が弱っていたりする場合もあります。

栗を食べたあとに、いつもとちがう仕草などを見せる・元気がない。

などの症状が見られた場合は、すぐに病院へ直行しましょう!

甘栗は犬にとって「健康食材」だった!

甘栗には犬にとって、健康を支える食材でもあることをご存知でしたか?

東洋医学での研究結果では、甘栗には補腎と呼ばれる作用が存在します。

これは、老化によって始まる病状や体の変化を補う働きがあることを意味し、実は体を温めることも期待できるもの。

特に体力が少なくなってしまうシニア犬におすすめですよ。

ただし、東洋医学では効能があると分かっている反面。

西洋医学的では、甘栗はカリウムが多く含まれており、腎臓病や心臓病の犬は注意が必要とのこと。

愛犬の病歴や体質などをしっかりと理解した上で、1日の与えても良い基準を決めておきましょう。

不安なら、病院であらかじめ相談しても良いかもしれませんね。

また、もともと体の弱い子や、かなりのシニア犬ならば、最初から与えないほうがいいかもしれません。

人間と違って動物には予期せぬ出来事が起こりやすいので、念には念を入れておきましょう。

まとめ

わんちゃんにとって、甘栗は与える量と調理方法さえ間違えたことをしなければ、全くの無害になる食べ物です。

ですがごく稀に、栗アレルギーを持っている子や、人間のように柔らかくしても「栗がもともと嫌いな子」もいます。

まずは最初から大量にあげることはせず、小さくして与えてから体にも異常がなければ、常食しても良いかもしれませんね。

また、栗は意外にもカロリーが高い食べ物なので、5粒食べると体の小さい子だと「おなかいっぱい」になってしまう子もいます。

通常のドッグフードが食べれなくなってしまう場合もあるので、食事管理には十分注意してあげましょう。

かといって与えすぎることはよくなことなので、愛犬の体調・体の大きさや犬種・年齢などを考慮して計算した上で与えましょうね。

>>こちらの記事もチェック チンゲン菜って犬にあげても大丈夫?