世界三大美人の一人、楊貴妃が好んで食べたといわれるフルーツ「ライチ」。
見た目は赤や緑がかったゴツゴツした皮に覆われているが、中にはみずみずしく柔らかい白色の果肉が詰まっている。そのプリっとした食感と、強い甘みがなんとも美味しい。
もちろん、ライチは犬が食べても大丈夫な果物の一つなのだが、与える前に少しだけ知っておきたいポイントがある。
ライチを知らない人は少ないと思うが、よく食べるという人もまた少ないのではないだろうか。そんな知っているようで意外と知らないライチの栄養、生や冷凍品の与え方などについてご紹介していこう。
ライチの栄養と効能
楊貴妃が愛してやまなかった伝説の美果、ライチ。一体どんな栄養が秘められているのだろう。
葉酸
葉酸といえば、妊娠初期に必要となる栄養素としても知られているが、その理由は細胞の生成に必要な栄養素だから。葉酸は他にも血液を作る働きも持っており、ライチ100gあたり100μgと豊富に含まれているのも特徴だ。
犬は腸内細菌によって多少の葉酸が作られるというが、犬の1日の必要量を満たしているかまでは明らかになっていない。
普段口にするものから積極的に摂ることは決して容易ではないため、不足しないよう補っていきたい。
ビタミンC
ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素のひとつ。
年齢と共にその能力は低下するので、長期的に摂取したい栄養素である。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
近年、高血圧や脳卒中の予防などにもつながる重要な栄養素として注目されている。
マグネシウム
血圧や体温調整、神経伝達には欠かせないミネラルのひとつ。
もちろん、過剰摂取は尿路結石を引き起こす要因にもなってしまうが、気にしすぎて摂取せずにいると欠乏症による神経障害や骨、血圧などに異常をきたす場合もある。
犬の健康維持には必要不可欠なマグネシウム。バランスよく摂取を心がけたい。
与える前に知っておきたい2つのポイント
食べ過ぎは「ライチ病」になる!?
「ライチ病」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないだろうか。
簡単にいえば、ライチ病とは低血糖症状のこと。特に、未熟なライチには「ヒポグリシン」という毒素が含まれており、これが低血糖を引き起こすのだという。
とはいえ、ライチ病の予防は実に簡単で、適量を食べればよいというだけ。
まずは熟したライチを食べること。次に一度に食べ過ぎない、空腹時には食べないようにすることが大事である。
どんな食べ物にしても、ひとつのものを一度に大量に摂りすぎることは体にはよくない。そのため、犬にライチを与える時も、一度に1粒程度をお裾分けするのがよいということだ。
初めて与える時は少量から
普段から食べなれていないものを与える際は、まず少量からスタートするのが鉄板。
与えてみて、下痢や嘔吐、いつもと変わった様子がないかどうか見守ってあげるようにしよう。
ライチの与え方
日本では初夏を中心に、主に、中国や台湾から生で輸入したものがスーパーなどで入手できるほか、鹿児島、宮崎、沖縄などで栽培された国産ものも、5月下旬~7月下旬に出回る。
それ以外の時期でも、冷凍物も最近では出回っているため、1年を通してライチを味わうことができる。
ここでは、生ライチや冷凍物の上手な与え方と注意点について説明していこう。
生での与え方と注意点
まず、「ライチは枝から採ると一日で色が変わり、二日で香りが変わり、三日で味が変わり、四日で色も香りも消えてなくなる」と言われるほど、ライチは傷みやすい果実だ。
そのため、生のライチを入手次第、即座に食べて欲しい。もし余ったら冷凍保存も可能なので、皮つきのままポリ袋へ入れ、空気を抜いて密封し冷凍庫へ。こうすることで、1年ほど保存が効くのでぜひお試しを。
また、与え方としては、皮をむいて果肉部分を与えるのだが、果実の中心には大きめの「種」がひとつ入っているため、丸ごと食べさせないように気を付けて与えよう。
冷凍ライチの上手な解凍方法と与え方
冷凍物を解凍するときによく使用するのが「電子レンジ」だが、冷凍ライチを電子レンジで解凍するのは、水分が大量に出てしまうのでNG。
もっとも確実なのは自然解凍なのだが、常温で冷凍ライチを自然解凍すると、水分がたくさん出て美味しさが半減してしまうので、「冷蔵庫」で半解凍状態にするのがコツ。
半解凍後、流水で解凍すると解凍時に出る水分量も減らすことができるのでおすすめだ。
もちろん、最初から流水で解凍してもOK。ライチから出る水分量を減らすことができるので、食べる時間を逆算して解凍方法を選ぼう。
ただし、解凍直後の冷えた状態で与えるのはお腹を壊す恐れがあるので注意したい。急激にお腹を冷やさないためにも、解凍直後にすぐ与えるのは避けよう。
さいごに
普段、なかなか口にする機会は少ないものの、冷凍物をはじめ、最近ではネット通販でも簡単に入手できるようになったライチ。
楊貴妃が好んで食べただけあって、健康に関する栄養素が豊富に含まれていることが分かった。
独特な高貴な香りとプルンとした弾力と甘さに、きっと愛犬も喜んでくれるはずだ。