インド料理やスペイン料理で多く使われている「ひよこ豆」。
発祥は中東地域で「エジプト豆」とも呼ばれている。また、スペイン語では「ガルバンゾ」ともいい、スペインの家庭では肉や野菜と煮込んだコシードという料理がよく作られている。
そんなひよこ豆だが、低アレルゲン食材でも知られており、食物アレルギー対策として犬用フードにもよく使用されている食材だ。
もちろん愛犬にひよこ豆を与えてもOKなのだが、あのひよこのような愛らしい姿には一体どんな栄養が含まれているのだろうか?早速調査してみよう。
そもそも「ひよこ豆」ってどんな食材?
見たことはもちろん、食べたこともない、という方のために簡単に説明すると、ひよこ豆はマメ科の一年草。
大豆と比較すると、大きさも大豆とほぼ変わらないが、大豆よりも臭いがなく、やや柔らかめの食感が特徴だ。
名前も「ひよこ豆」と呼ばれるくらいだから、日本に古くからある馴染みの深い食材かと思いきや、実はそうでもない。基本的には日本の気候には栽培が適していないため、今でも海外からの輸入品に頼っているのが現状だ。
日本では主に、レトルトや缶詰など水煮済みのものと、乾燥豆の状態のものとが販売されている。
ひよこ豆の栄養と効能
ひよこ豆は植物性たんぱく質を多く含むのが特徴だ。
犬の食性からすると、植物性たんぱく質よりも動物性たんぱく質の方が消化吸収しやすいと考えられるが、ひよこ豆は植物性たんぱく質を含む食材の中でも比較的消化しやすい食材。
そのため、消化機能が低下する病気の犬や高齢犬にもおすすめの食材なのだ。
ビタミンB1
ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。
別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。不足しないよう摂取したい。
ビタミンB6
ビタミンB6は、たんぱく質や脂肪、糖の代謝を促進してくれる働きがある。
たんぱく質をたくさん摂取しなければならない犬にとってみれば、ビタミンB6の摂取量には気を使っていきたいところだ。
また、ビタミンB6は必須アミノ酸の合成にも使われ、貧血や皮膚炎の予防にも貢献してくれる。
鉄分
鉄分は貧血予防や改善に効果的な成分。
鉄分は赤血球の中の「ヘモグロビン」を作るのに欠かせない材料であるほかにも、赤血球が酸素を運ぶ手助けをしてくれる大切な役割がある。
亜鉛
犬に亜鉛?と思ってしまうが、実は愛犬の健康を保つためには頼りになる存在。
亜鉛は、細胞の再生やストレスの軽減、免疫力の向上に効果があるといわれている。
亜鉛の不足は、フケ、鼻や肉球のカサカサの原因にもなってしまう。犬は人よりも多くの亜鉛が必要だとされているため、不足しないよう摂取したい。
食物繊維
どの豆にも共通して言えることだが、豆類は食物繊維を多く含む。
ひよこ豆も例外ではなく、その量は食物繊維のイメージが高いごぼうの約2倍というのだから驚きだ。
食物繊維は便質の改善や便通を促す働きに期待ができる。
与える前に知っておきたい2つのポイント
ひよこ豆は生では「毒」!?
一般的にマメ科植物(ひよこ豆、大豆、いんげん豆、小豆など)は、レクチンという糖結合性のたんぱく質を持っている。
平成18年に、テレビ番組で「ダイエット効果がある」と、加熱不十分の白いんげん豆を食べた視聴者が、下痢や嘔吐などの症状を起こしたことがあった。
これは、生の豆には毒があるから。当時、分かっているだけで158名に及ぶ健康被害が報告されている。
レクチンは主に、「いんげん豆」のような完熟した乾燥豆のものに多量に含まれており、特に生で食すのは中毒を引き起こすと言われている。
当然、ひよこ豆にもレクチンは含まれているので、生では与えず、沸騰したお湯でレクチンを無毒化してから与えるようにしよう。
安心して食べさせるためにも、茹でてホクホクになったひよこ豆を与えたい。
与え過ぎないように気をつけよう
前項でも説明した通り、ひよこ豆の食物繊維量は多くその量はごぼうの約2倍。
適量であれば便通を良くして軟便や便秘を改善してくれる食物繊維だが、ほかの食材と同じ感覚で扱ってしまうと、知らずの内に食物繊維を摂りすぎてしまうので気をつけたい。
一般的には便秘に良いとされる食物繊維。しかし、摂り過ぎは逆に便が硬くなり、ウンチが出にくくなってしまうので、与え過ぎには気をつけたい。
また、消化に良いいよう、すり潰すしてから与えるなど手を抜かず行いたい。
さいごに
乾燥のひよこ豆は長期保存が可能な食材だ。
とはいえ、乾燥のひよこ豆は一晩水で戻してから使用するため、ちょっと手間がかかってしまうのが難点。
しかし、水煮缶のものよりも、自宅で煮た方がふっくらホクホクとして、ひよこ豆独特の甘味が味わえるのも捨てがたい。ひよこ豆は冷凍保存も可能なので、多めに下茹でして冷凍保存しておくのもいいだろう。
愛犬の食事に何かプラスしたいときに、サッと使える冷凍ものがあると重宝する。
栄養満点なひよこ豆。愛犬の食事にもぜひ活用してみてはいかがだろうか。