トロピカルフルーツの代表として知られるパパイア。
最近はマンゴーブームからか、何かにつけてマンゴー味のものを多く見かけるが、じつはパパイアも負けてはいない。
酸味の少ない軽めの甘さと滑らかな食感、その独特の香りは私たちを南国の世界へと誘ってくれるのだ。
とはいえ、犬はパパイアを食べられるのだろうか。せっかく美味しいパパイアをいただくのだから、愛犬にもお裾分けしたいところだ。
ここではそんなパパイアの栄養や効能、与え方などについて紹介していく。
犬はパパイアを食べても大丈夫?
パパイアにはビタミンCが豊富に含まれている。
ビタミンCと言えば、レモンを思い浮かべる人が多いと思うが、パパイアにはレモンとほぼ同量の100g中50mgものビタミンCが含まれているのが特徴。
ビタミンCには抗酸化作用があり、免疫力の向上や老化を防ぐ働きがあるのだ。
また、パパイアにはタンパク質を分解する働きのある「パパイン」という酵素が含まれている。
この成分は特に、完熟前の緑色のパパイアに多く含まれており、肉や魚の消化を助けるとともに脂肪や糖質も分解する働きがあると言われている。
パパイアは他にも、βカロテン、カリウム、リコピン、葉酸、マグネシウムなども含まれている。これらの成分は犬にとって害のあるものではないので、犬がパパイアを食べても問題はないのだ。
意外にもパパイアには、こうした犬の健康維持に欠かせない成分がたっぷりと詰まっている。愛犬のおやつにも是非取り入れてみたい果物である。
パパイアの栄養と効能
ビタミンC
犬は体内でビタミンCを合成できるが、だからといって摂取しなくてもいいわけではない。年齢と共にその能力は低下するので長期的に摂取したい栄養素の一つ。
ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素なのだ。
βカロテン
βカロテンが豊富に含まれているのも、パパイアの魅力のひとつだ。
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。
しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つでもある。
マグネシウム
血圧や体温調整、神経伝達には欠かせないミネラルのひとつ。
もちろん、過剰摂取は尿路結石を引き起こす要因にもなってしまうが、気にしすぎて摂取せずにいると欠乏症による神経障害や骨、血圧などに異常をきたす場合もある。
犬の健康維持には必要不可欠なマグネシウム。バランスよく摂取を心がけたい。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
パパイン
たんぱく質を分解する酵素で、特に未熟な青いパパイアに多く含まれている。
熟したパパイアにはパパインはほとんど含まれないのが特徴だ。
また、タンパク質に限らず、脂肪や糖質も分解することが確認されており、ダイエット効果にも期待されている。
与え方のポイントを押さえておこう!
パパイアのカロリー
パパイアに含まれるカロリーは、100gあたり38kcalと果物の中ではやや低い。
これは、同じ南国フルーツであるマンゴー(100gあたり64kcal)と比較して少ないかもしれないが、人間よりも体重が低い犬にとってみればパパイアはカロリーは高いほうだ。
そのため、犬に与える量は1~2切れ程度におさえておきたい。
パパイアの与え方
パパイアを半分にカットすると、粒々の黒い種が中央の部分にたくさんあるが、種は取り除いて周りの果肉部分のみを与えよう。
また、甘さが強く独特のクセがあるので、レモン汁やヨーグルトなどの酸味を加える方も多いかと思う。
レモン汁を使う場合は、レモン特有の酸味が犬にとって刺激が強すぎる場合があるため、まずは味見させて様子をみたい。
おそらく初めの一口でビックリしてしまい、その後なかなか口にすることはないと思う。その場合は無理にレモンを加えないであげよう。
また、ヨーグルトを使用する場合は、基本「無糖タイプ」のものをチョイスしよう。体重が気になる犬には低脂肪・無脂肪のものを選んであげるのもよい。
パパイアを与える際の注意点
パパイアには体を冷やす作用がある
パパイアのように南国で採れるフルーツは体を冷やす効果が高く、与え過ぎは冷え性になる可能性が高い。
暑い夏場にはピッタリな果物だが、寒さを感じる季節では体を冷やさないように気をつけよう。
手作り食がメインの方は、鶏肉や鶏レバーなど、体を温める食材を一緒に与えるのもオススメ。冷やす力を軽減できるので、是非試してみてほしい。
青パパイアは食べられるの?
黄色く熟したパパイアはフルーツとして食べられるが、沖縄や東南アジアでは、熟する前の青いパパイアを果物としてではなく野菜として食べる。
青パパイアはタンパク質を分解する酵素を豊富に含むので、肉を煮込む時に一緒に入れると肉が柔らかくなる。そのため、犬の食事にも取り入れたい方が多いと思うが、生ではなく加熱したものを与えよう。
また、青パパイアを切ると、白い乳液上の果汁が出てくるのだが、この乳液の正体は「パパイン」と呼ばれるタンパク質分解酵素。体につくとかぶれる場合があるので注意が必要だ。
口腔アレルギー症候群に注意
特定の食べ物の影響で、口の中、口の周り、喉の奥が腫れたり痒くなったりする状態を「口腔アレルギー症候群」と呼ぶのだが、パパイアに含まれるパパイン(タンパク質分解酵素)も、症状が大きくなると発疹、吐き気、重症化するとショックを引き起こす可能性もあるとされている。
前項の続きになるのだが、対応として、酵素の多くは熱を加えることで分解・変性し抗原性が低下するので、スープや温めてから食べるとよいとされる。
愛犬に初めてパパイアを与える時は少量から与えて様子を見よう。痒がったり、いつもと変わった様子がないか見守ってあげるのも大切だ。
パパイアの選び方と食べごろのサイン
せっかく愛犬に与えるのだから、美味しいパパイアを目利きしよう。
パパイアを選ぶ時は、まずは皮をチェックするのだが、ツヤがありずっしりとした重みがあるものがよい。
表面に黒や緑色の点がついていることもあるが、数か所くらいであれば問題はない。ただし、表面の乾燥や、シワが寄っているなどの変化が見られるものは古くなっているので避けるべし。
また、パパイアの果皮が固く、青みがまだ残っているのは未熟な状態。常温で保存して追熟を待とう。完全に黄色くなって香りが強くなってきたら食べごろのサインだ。その頃には十分に柔らかくなり甘みも出て美味しいのだ。
さいごに
パパイアの酵素は他にも、角質を取り除き、肌の細胞を活性化させる効果が期待できるとされている。
しかし、かぶれやムズ痒いといったアレルギーの原因があることも知っておかなくてはいけない。
パパイアは犬にとってもうれしい栄養をたくさん持ち合わせた果実。しかし、アレルギー症状を引き起こす可能性もあるので、愛犬に与えた後はアレルギー症状がでないか必ず見守ってあげよう。