古くは奈良時代、健康促進効果があるとして自然療法に用いられてきた果実、びわ。
「びわ」の語源は楽器の琵琶に似ていることからこの名がついたと考えられている。びわの原産地は中国南部。日本には奈良時代に伝わったとされているが、日本国内にはすでに自生種があったという説もあるようだ。
そんな歴史を持つびわの旬は、日差しが強くなり始める初夏頃。そのため、びわには夏の果実にふさわしい栄養が大いに含まれているのである。
その、みずみずしい甘さと柔らかい口当たりが魅力のびわ。古くから健康にも役立つとされ用いられてきたが、犬が食べても大丈夫なのだろうか。
今回は犬とびわの相性について紹介していこう。
犬にとってびわの実はOK!種はNG!
びわに含まれる成分で、特に注目したい成分は「βカロテン」だ。
βカロテンは体内に入ると必要な量に応じて、ビタミンAに変換されるのだが、実はびわにはこのβカロテンが豊富に含まれている。
ビタミンAは粘膜の働きをサポートし、風邪の予防に効果があると言われている。他にも、免疫力アップに期待されるビタミンCをはじめ、疲労回復に効果が期待されるクエン酸など、風邪の予防に期待できる成分が含まれているので、夏風邪対策には効果的な果実と言えるだろう。
一方、注意しなくてはいけないのが「びわの種」。
びわの種には「アミグダリン」とう青酸を含む有害物質が含まれている。主に、びわや梅のようなバラ科の植物の種子や未熟な果実部分には多く含まれているという。よく、「青梅を生で食べてはいけない」というのも、その未熟さ故が理由なのだ。
農林水産省のホームぺージでも、びわの種で健康を損なう可能性があると注意を呼びかけている。
問題になっているのは「びわの種を原料とした食品」だが、有害物質が見つかり回収されている事案があるという。
愛犬に与える際は「熟した果肉部分=実」を与えるのであればOKだが、「種」は与えないのが無難である。
まずは知っておきたい!犬にとって「びわ」の栄養と効能とは?
βカロテン
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つ。
クエン酸
クエン酸には、疲労の原因である乳酸の増加を抑制、分解する作用があるため疲労回復に期待ができる。他にも、吸収されにくい成分を吸収されやすい形に変えて吸収したり、体内の有害物質を排出しやすい形に変えて排出する「キレート効果」にも注目されている。
ビタミンB2 (リボフラビン)
糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。
別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
おさえておきたい!犬にびわを与えるポイント
愛犬には鮮度落ちする前に与えよう
びわは冷蔵庫に入れて保存しておくと「低温障害」を起こしやすい果物というのはご存知だろうか。
実は、びわは温暖な地域で育つゆえ、冷やしすぎると甘みや香りが損なわれてしまう。せっかくのびわを愛犬と美味しくいただくなら、陽が当たらない、涼しく湿気の少ない場所で常温保存するのがベストだ。
それと、買ったその日に食べるのが1番美味いが、遅くても2~3日以内には食べきるようにしよう。びわは乾燥にも弱ので、水分が蒸発して皮がしなびれてこないよう、新聞紙で包んでおくのもおススメだ。
犬にびわを与える適量とは?
与える量は犬種にもよるが、人間でいう1口分(約10~15g)が1日の適量だと言われている。
犬が拾い食いしないよう注意が必要
びわの栽培は環境さえ整っていれば放っておいても実を付けるようになる。
そのため、ガーデニングやフルーツの栽培として育てている方もいるだろう。しかし、庭先や散歩中の道端に落ちているびわを拾い食いしないように気を付けてほしい。
落ちたびわには当然「種」も含まれているのだから注意が必要だ。
食物アレルギーがないか様子をみよう!
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに
古来より健康に役立つとして民間療法で用いられてきたとも言われている「びわ」。
見た目はコロンとして、しばらく飾っておきたいような可愛らしさだが、その見た目にはない様々な栄養が含まれていることが分かった。
近年では生産農家の高齢化もあり収穫量も減少傾向にある。それでも、生産者は美味しいびわを作るために日々努力を続けているのだから、ありがたく愛犬と味わいたいものだ。