【獣医師監修】犬は「えのき茸」を食べても大丈夫?えのき茸の秘めたるパワー!

犬 えのき茸 えのき
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犬 えのき茸 えのき

「えのき茸」といえば、スーパーに行けば必ず手に入る身近な食材。1年を通して価格も安定し、最もポピュラーなきのこの一種である。

鍋物の名脇役としてはもちろん、火の通りも早いので時短料理には便利な食材だ。

一見すると、ひょろっとした見た目から頼りなく感じられるかも知れないが、実は豊富なビタミンを含んでいる。

今回は、えのき茸の秘められたパワーと犬の相性について紹介しよう。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

犬はえのき茸を食べても問題ないの?

犬 えのき茸 えのき結論から言えば、毒キノコ以外であれば、基本的にきのこ類を与えても問題はないとされている。

とはいえ、犬はなどの消化吸収は得意ではあるが、食物繊維を多く含んだきのこの消化を得意とはしない。

人間にとっては柔らかいかもしれないが、みなさんもご存知の通り、犬はよく噛まずに丸飲みしてしまう性質がある。

えのき茸の形状はひょろっとして細長い。与える際は、喉に引っかからないよう短く刻んだものを与えるようにしよう。

 

一方の栄養面では、えのき茸特有の「EA6」と呼ばれる成分に注目したい。EA6はガンの予防作用などに効果があるとされている。

他にも、ビタミンB1、B2、D、ナイアシンなど、犬の体の調子を整えるのに欠かせない栄養素も含まれている。

えのき茸は見た目の割に…というと失礼かもしれないが、意外にも豊富な栄養を含んでいるのだ!

犬の健康に役立つ栄養と効能

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えのき茸と言えば、白くすらっとした軸に小さい笠のイメージがあるが、実は野生のえのき茸とは見た目が全く違う。

えのき栽培が始まった頃は、茶色やクリーム色が主流だったが、その中でも白い株から出る「えのき」だけを選別して出荷したところ、評判が良かったため今のような白いえのき茸になるよう品種改良されてきた。

あのすらっとした細い形状は、機械化による大量生産に合わせて、紙やプラスチックを筒状に巻き、わざと長くなるように育てているのだ。

しかし、その外見とは裏腹に栄養がしっかり含まれている。

 

えのき茸特有の成分「EA6」

EA6とは、糖70%、タンパク質30%から構成される糖タンパク物質で、ガンの予防に効果があるとされている。

統計では、長野県内のえのき茸栽培農家を対象にガン死亡率を調査したところ、えのき茸を頻繁に食べる家庭ほどガンの発症リスクが低いと報告されている。

 

ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素と言われ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。

 

ビタミンB2 (リボフラビン)

糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。

別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要。

 

ナイアシン

ビタミンB3とも呼ばれ、基本的には肉や魚に多く含まれている成分。
 
糖質、脂質、タンパク質の代謝に欠かせない。循環系、消化器系、神経系などの働きをサポートしてくれる。
 
 
 

ビタミンD

骨や歯の形成に必要なカルシウムやリンの吸収を助け、血中カルシウムの濃度をコントロールする働きがある。

犬に与える際の注意点とは?

犬に与える際は「加熱」が基本!

犬 えのき茸 えのきえのき茸には、フラムトキシン(Flamtoxin)という毒素が含まれており、生で食べると、強心作用や溶結作用を起こすと言われている。

とはいえ、フラムトキシンについては分かっていない部分も多い。毒を分解するのに要する時間は不明とされている。

一方で「スーパーで売っているえのき茸にはフラムトキシンは含まれていない」という情報もあるようだ。

 

いずれにせよ確証がないうちは、しっかりと加熱したものを犬には与えたほうが安全だ!

 

えのき茸は食物繊維が豊富

犬 えのき茸 えのきえのき茸は食物繊維を多く含む食材なので、食べ過ぎは消化不良を起こす場合があることは知っておこう。

せっかく愛犬に与えるのだから、消化不良で下痢や嘔吐になっては元も子もない。

 

また、えのき茸の栄養を効果的に摂取するためにも、消化しやすいよう加熱して与えるのはもちろん、石突き(おがくずの付いた根本の部分)は切り落とし、手でバラバラにほぐして短く切るなど、手を抜かずに行いたい。
 

 

食物アレルギーがないか様子をみよう!

犬 えのき茸 えのきアレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。

初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。

 

番外:野生の「きのこ」には近寄らせない

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一般的にキノコの種類は6万種を超えると言われており、その中で食用になるのは、およそ200種類なのだとか。

みなさんも、公園や道端に『野生のきのこ』を見かけることはないだろうか?

毎年、秋になるときのこによる食中毒のニュースを見るが、野生のきのこは、生育時期、場所などで形態が異なり、毒きのこ食用きのこかを見分けることは大変難しいとされている。

中には、独特の臭いがある「きのこ」もあるので、犬が間違えて食べないよう、野生きのこには近寄らせないよう注意が必要だ。

 

さいごに

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えのき茸は、そのシャキシャキとした食感が楽しめて誰でも食べやすく、用途の幅広さと便利さから、日本国内のきのこ生産量No.1を誇っている。

最近では、ミキサーで粉砕したペースト状のえのき茸を煮込んで凍らせた『えのき氷』がダイエットに効果があると、マスコミに取り上げられるほど人気を博している。

えのき茸は、1年を通して安定した価格で手に入れることができ、且つ、農薬汚染の心配もない。そして、見た目にはない驚きの効能があることが分かった。

愛犬の食事にも上手に活用して、えのき茸の秘めたるパワーを、ぜひ賢く役立てよう。

 

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