夕暮れ時にどこからともなく「石焼き芋~」の歌が聞こえてくる季節。
さつまいもの原産地は、メキシコ南部を中心とする中米から南米北部と言われている。17世紀初頭、中国から琉球地方に伝わり、その後薩摩に伝わったとされている。
薩摩とは今でいう鹿児島県。当時は、江戸時代の度重なる飢饉の対応策として、薩摩から持ち込んだのが江戸での栽培の始まりと言われている。
みなさんもご存知のように、名前の由来は薩摩に伝来した芋なので「さつまいも」と付いた。
現在、日本で栽培されている品種は40種類ほどあると言われており、スイーツ用、焼酎用など、用途に合わせて品種改良が進んでいる。
焼いたり、ふかしたり、天ぷらにしたりなど、様々な料理を楽しめることができる「さつまいも」。
今回は、さつまいもと犬の相性について紹介していこう。
犬にさつまいもを与えても大丈夫です!
さつまいもの主成分はでんぷんだが、ビタミンやミネラルも豊富に含まれている。
ビタミンCをはじめ、ビタミンB1、食物繊維がたっぷりと含まれているので、免疫力の強化や便通の改善などの嬉しい効果が期待できる。
他にも、ビタミンEやカリウム、カルシウム、マグネシウム、銅などのミネラルも比較的多く含まれているのが特徴だ。
なかでも、さつまいもで特に注目したいのがヤラピンと呼ばれる栄養素。
サツマイモを輪切りにすると、切り口から白い液体が出てくることはないだろうか。実はこの白い液体こそがヤラピンなのだ。
このヤラピンはさつまいも特有の成分で、胃の粘膜の保護や、腸の蠕動運動を促進させ、便をやわらかくする効果があるとされている。
一方、犬にとって害を与える成分は含まれてはいないので、さつまいもは犬に与えても問題ない食材と言えるだろう。
とはいえ、さつまいもの甘みや風味は犬の嗜好にあっているので、ついつい喜んで食べる犬も多いようだ。そのため、与える量を上手にコントロールする必要があるだろう。
犬にとって、さつまいもの栄養と効能とは?
ビタミンB1
ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。
別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。
食物繊維
便秘を予防する働きはもちろん、コレステロールの吸収を抑制する作用にも期待ができる。
ヤラピン
前項でも紹介したさつまいも特有の成分で、昔から緩下剤としての作用があると知られていた。
ヤラピンは、胃の粘膜の保護や、腸の蠕動運動を促進させ、便をやわらかくする作用はもちろん、熱に強い性質を持つため、焼き芋、ふかし芋などの加熱調理をしても変質しないのが嬉しいところだ。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
カルシウム
骨や歯を作るのに必要な栄養素。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り食がメインの場合は、どうしてもカルシウムが不足しがちになってしまう。
しかも、犬の年齢に応じて必要量も変化するのだから、ドックフードにはトッピングで少量、手作り食がメインであれば、さつまいもを上手に活用するなど、上手に使い分けてみるのもおススメだ!
与える前に知っておきたい4つのポイント
犬に与える際は「煮る」「蒸す」「焼く」が基本!
さつまいもと一口に言っても、「ホクホク系」「しっとり系」「ねっとり系」など、品種はもちろん味や食感など様々あるが、なんといっても「甘み」が重要にはなってくる。
生で食べると、ほのかな甘みを感じるが、やはりじっくり加熱したさつまいもには到底及ばない。では、なぜ甘くなるのか?
その秘密は、さつまいもに含まれるβアミラーゼという酵素にある。さつまいもの主成分であるデンプンが、このβアミラーゼという酵素により糖化されることで、甘く感じるようになるのだ。
犬に与える際は、余計な味付けなどは不要。天然の甘味をそのまま味わってもらうのがベストだ。
さつまいもの「生食」は消化に悪い
食べても有毒な成分は含まれてはいないため、生で犬が食べたとしても問題はない。
しかし、食物繊維を多く含む食材なので、消化を得意としない犬にとっては「生食」は避けたほうが無難と言えるだろう。せっかく愛犬に与えるのだから、消化不良で下痢や嘔吐になっては元も子もない。
それと、与える際は喉に詰まらせないように小さく割ってから与えるようにしよう。
栄養バランスが崩れないように注意!
さつまいもは、消化吸収の速度がゆっくりで腹持ちが良い食材なので、喜んで食べるからといって与え過ぎないように注意しよう。
さつまいもはエネルギー源としては非常に優秀な食材ではあるが、それだけでは補いきれない面もある。
タンパク質が中心である犬の栄養バランスを崩さない程度に、さつまいもを上手に取り入れていくのが大切だ。
食物アレルギーがないか様子をみよう!
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに