料理の主役になることはないが、名脇役としてあらゆるシーンで利用される生姜。
生姜といえば、身体を温めて胃腸の働きをよくする健康食材としてよく知られている食材だ。
冷え性の対策や代謝を高める目的などで食べる方も多いことだろう。
豚肉のしょうが焼きやそばの薬味など、日々の食生活の中でも親しまれている食材なだけに、犬用ごはんにも使えないか疑問を抱くときがある。
生姜は犬にとって毒がある?とも言われているが、実際のところはどうなのだろう。
今回は、そんな生姜の疑問や栄養や効能について調べてみた。
生姜は犬が食べるとダメなの?
「生姜が犬にとって良くない」と言われている理由には、アリルプロピルジスルフィドという中毒成分が含まれているからだという意見があるようだ。
この成分は、タマネギなどの摂取を原因とする、犬や猫、牛などの食中毒でも知られる「タマネギ中毒」でも知られている。
よく犬にはネギ類(タマネギ、ネギ、にんにく、ニラ)を与えてはNGと言われているのは、こういった理由からきているのだ。
確かにネギ類は獣医学的にも中毒を起こすのは確実ではあるが、しかし、生姜はショウガ科ショウガ属に分類される品種であるため、アリルプロピルジスルフィドは含まれていない。
では、なぜ生姜が与えてはいけない食材として話が広まったのだろう??その理由は、どうやら生姜の辛味成分とネギ類の辛味成分が同じ扱いとされていたことが大きいようだ。
ちなみに、生姜の辛味成分と言えば、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンといった成分で、血行の促進や殺菌作用が期待される。また、生姜の香り成分もシオネールといったもので、ネギ類の中毒物質とは違うものなのだ。
つまり、生姜は犬に与えても問題ないのである。
生姜に含まれる栄養と効能
生姜の辛味成分
生姜は3種類の辛味成分を持っている。
その辛味成分は、それぞれジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンと呼ばれるもので、これらの成分が体の新陳代謝を上げてくれたり、体を温めたりする作用を担ってくれる。
ジンゲロール
ジンゲロールは生の生姜に多く含まれる成分。
「生姜を食べると冷えが改善する」というが、ジンゲロールが血行を促進することによるものなのだ。
ほかにも、ジンゲロールは殺菌作用や抗酸化作用なども含まれる。
ショウガオール・ジンゲロン
ショウガオールは、上項で説明したジンゲロールよりも強い血行促進作用を持つのが特徴。
また、ジンゲロンはダイエットにも効果があるとされている成分。
これら2つの成分は、ジンゲロールが乾燥、又は加熱されて分解した際に生成されるので、生姜を与える際には火を通すのが望ましい。
生姜の与え方と注意点
まずは細かく刻むか、すりおろすか
まず、生姜を丸ごと与える方はいないと思うが、犬用に生姜を調理する時は、細かく刻んだものか、すりおろしたものを与えよう。
生姜には食物繊維も含まれているため、消化不良にならないよう手を抜かず行いたい。
また、すりおろした後で長い繊維が残る場合は、さらに包丁で細かくするとよい。
犬に与える時は加熱するのがベスト
もちろん生姜を生で与えても問題はないが、その辛味と香りが特徴的なだけに、犬の食いつきが悪くなってしまうこともある。
また、生で与えるよりも加熱調理した方が消化しやすいというメリットもあるので、犬に生姜を与える時は加熱してから与えるのが正解。
そのうえ、辛味成分であるショウガオールやジンゲロンは加熱により生成される。しかも加熱により辛味を抑えることができるのも利点のひとつ。
調理次第では生姜の効能をしっかりと得られるようになるだろう。
加熱する時のポイント
加熱する時に少しだけ注意したいポイントがある。
実は加熱する時に100℃以上になってしまうと、ショウガオールの効果は消えてしまう。
そのため80℃程度が最も望ましい。すった生姜を「蒸す」のもいいだろう。また、生の生姜がない場合でも、チューブ入りの生姜でも同様の効果があるため、ぜひお試しを。
食物アレルギーがないか様子を見守ろう
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに
薬効が高い食材なので、ショウキョウ(生姜)という呼び名で漢方薬としても使われる生姜。
生姜の歴史は古く、3世紀頃にはすでに中国から伝えられていたほどだ。
血行をよくして体を温めてくれるので、季節の変わり目や寒い季節など、愛犬と一緒にぜひ活用してみよう。