正月の雑煮や丼もの、茶碗蒸しなどの彩りには欠かせない「三つ葉」。
三つ葉の原産は日本。爽やかな香りとシャキっとした歯ごたえで、日本料理を引き立ててくれる香味野菜(ハーブ)の一種だ。
料理の彩り以外にもサラダやお浸し、和え物など、食べ方も実にさまざま。
使う機会も多いため、料理の際に愛犬の食事にも加えたい方も多いのではないだろうか。
もちろん、犬に三つ葉を与えてもOKなのだが、三つ葉にはどんな栄養が含まれているのだろう。せっかく愛犬に与えるのだから、栄養や効能、与え方などを知っておきたいところだ。
今回は、そんな三つ葉についてご紹介していこう。
三つ葉は低カロリー食材
三つ葉のカロリーは、種類によるが100gあたり13kcal~20kcalほど。
100gと聞いてもピンとこないが、三つ葉1束あたりで40g程度。だいたい、2束半が100gと考えていただくと分かりやすいだろう。
ちなみに、1束あたりのカロリーは5kcalほどなので、カロリーを気にすることなく安心して与えられる食材だ。
三つ葉に含まれる栄養や効能
三つ葉はセリ科の植物で、多年草。
日本全国の山の中にたくさん自生しているため、山菜採りに行ったついでに採ってくる人も多いのではないだろうか。
サッと水洗いして、汁物やかき揚げにして食べても美味い三つ葉。あのヒョロっとした体には、一体どのような栄養が含まれているのだろう。
香り成分
三つ葉といえば、ハーブらしく爽やかな香りが特徴。その香りの主成分は、クリプトテーネンやミツバエンといった成分によるもの。
これらの成分には食欲を増進し、消化を促す効果がある。また、神経を安定させ、イライラを解消する癒し成分もあるため、ストレスを感じやすい時にはおすすめの栄養素といえるだろう。
βカロテン
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。
しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つでもある。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
鉄分
鉄分が不足すると貧血になることは多くの人が知っているだろう。
鉄分は貧血予防や改善に効果的な成分。鉄分は赤血球の中の「ヘモグロビン」を作るのに欠かせない材料であるほかにも、赤血球が酸素を運ぶ手助けをしてくれる大切な役割がある。
与える前に知っておきたい2つのポイント
苦味を嫌がる場合は無理に与えない
三つ葉には、育て方や出荷方法の違いで、いくつか種類がある。
種類によっては風味が強いものもあるので、犬が香りや苦みを嫌がって食べない場合は、無理に三つ葉を与えないようにしよう。
ちなみに、それぞれの種類や特徴は以下の通り。
- 糸三つ葉・・・水耕栽培のため、1年中出回る。根元まで日光に当てて栽培されるので、栄養価が高い。まだ細くて小さいうちに出荷されるのが特徴だ。
- 根三つ葉・・・根株に土をかぶせて茎を白くしているため、下の部分が白い。糸三つ葉に比べると、風味が強いのが特徴。
- 切り三つ葉・・・茎がやや太いのが特徴。発芽したら、光を遮断して育てられる。アクが少なく、主に関東を中心に出回る。
- 自生している三つ葉・・・山などに自生している三つ葉は、糸三つ葉などに比べ雰囲気が全く違う。葉も大きく、茎もしっかりしており、風味がより強いのも特徴。
セリ科の野菜でアレルギー持ちの犬は注意
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
また、三つ葉はセリ科の植物。同じ仲間には、パセリや人参があるので、セリ科の野菜でアレルギーをお持ちの犬は注意しよう。
三つ葉の与え方と保存方法について
三つ葉は「生」でも「加熱」でもOK!
三つ葉は、生で与えても、加熱して与えても問題はないが、どちらかと言えば「生」の方が栄養がたくさん摂れる。
しかし、加熱ならではのメリットもあるので見逃せない。
三つ葉に含まれるβカロテンは脂溶性で油との相性が非常に良い。そのため、油を使って調理することにより体内での吸収率がアップするのだ。
油を使って調理する場合は、動物性の油より、植物油(オリーブオイルやゴマ油など)を少量使って炒めよう。手作り食をメインで与えている方は、他の食材を炒めるついでに三つ葉も少々まぜて炒めると、βカロテンも上手に摂取できるのでおすすめだ。
細かく刻んだものを与えよう
犬は肉などの消化吸収は得意ではあるが、野菜などの消化吸収は難しいとされている。
そのため、犬に三つ葉を与える時は、消化に良いよう細かく刻んでからフードに加えるようにしよう。
また、食物繊維も含まれているので、三つ葉の与え過ぎにも気をつけたい。
適量であれば便通を良くして軟便や便秘を改善してくれる食物繊維。だが、消化を得意としない犬にとってみれば、食物繊維の摂り過ぎは消化不良の原因にもなってしまうので注意しよう。
三つ葉を長持ちさせる保存テク
三つ葉を保存する上で、もっとも気をつけたいのは乾燥。
一度に使い切れなくて残った分を、そのまま冷蔵庫で保存してしまうとヨレヨレになって傷むのも早いだろう。
そのため、使い切れずに残った分は、湿らせたキッチンペーパーを根元に巻き、ポリ袋に入れ、冷蔵室や野菜室へ。
その際、三つ葉を横に寝かせておかないのがコツ。横にして保存すると、垂直方向に伸びようとする働きで劣化が早まってしまうからだ。
そのため、三つ葉は立たせて保存するのが正解。新鮮さを長持ちさせて、愛犬にフレッシュな三つ葉を与えよう。
さいごに
彩りとして使われることが多い三つ葉だが、栄養豊富でアクも少なく、生でも、加熱しても美味しくいただくことができる。
三つ葉には若干の種類があるが、愛犬のために、香りや風味をおさえたい方は糸三つ葉。逆に、強い香りでも気にならない方は根三つ葉を選ぶなど、目的別に選んでみるのもいいだろう。
ここで紹介した情報を参考にして、ぜひ愛犬と一緒に三つ葉を活用してみてほしい。