「一富士(いちふじ)、二鷹(にたか)、三茄子(さんなすび)」とも言われ、縁起物としても知られるナス。
ナスの旬は6月~9月、トマトやキュウリと並ぶ夏野菜の代表だ。
しかし、意外と知られていないが、ナスの一番美味しい時期は、暑い夏が終わり朝夕に肌寒さを感じる秋の季節である。
この時期のナスは、昼夜の温度差によって身が引き締まり、種も少なく皮も薄いので食感もよい。そのためナスの美味さがしっかり凝縮されているのだという。
ことわざに「秋茄子は嫁に食わすな」という言葉があるが、これには「秋ナスは美味しいので嫁に食べさせないように」という、お姑さんの言葉であるという説もあるようだ。
食卓でも定番野菜のナス。今回は、ナスに含まれる栄養価と犬の相性について解説していく。
犬はナスを食べても大丈夫??
ナスに含まれる成分で、特に注目したいのは「ナスニン」と呼ばれる成分。
ナスニンはポリフェノールの一種で、特にナスの「皮」に豊富に含まれている。これには強い抗酸化力があり、ガンや動脈硬化の予防効果などに注目されている。
他にも、カリウムが豊富に含まれていることもナスの特徴だ。カリウムには利尿作用があるため、尿の排出を促し、体の余分な熱を逃がす働きがある。そのため、夏バテ解消のために食されることもあるのだ。
とはいえ、腎臓病を患っている犬にとっては有害になる場合があるので、カリウム摂取を制限されている犬は控えた方がよい。
また、ナスを含むナス科の植物には「アルカロイド」という毒性を持つ成分が含まれているが、現在食用とされているものに関しては、品種改良により食べられる部分には健康に害を与えるだけの毒素は含まれてはいないとされている。
長期摂取や大量摂取にさえ注意すれば、あまり神経質にならなくても大丈夫なのである。
ナスに含まれる犬に役立つ栄養と期待される効果
ナスに含まれる水分量は、全体のおよそ94%を占めている。
ビタミンやミネラルが豊富な野菜だとは言い難いが、カルシウムや食物繊維、ビタミンなども微量ながらに含まれている。
では、ナスに含まれている栄養と期待される効果について見ていこう。
ナスニン
ナス特有の紫色の皮に豊富に含まれている成分。強い抗酸化力があるポリフェノールの一種で、発ガン性物質を抑制する働きや動脈硬化の予防効果があるとされ注目されている。
また、ナスニンはアントシアニン系色素のポリフェノールであるため、眼精疲労を回復し、視力を改善する働きがあるとされている。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
カルシウム
骨や歯を作るのに必要な栄養素。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り食がメインの場合は、どうしてもカルシウムが不足しがちになってしまう。
しかも、犬の年齢に応じて必要量も変化するのだから、フードのトッピング、手作り食に活用するなど、与え方によって使い分けてみるのもよい。
便秘を予防する働きはもちろん、コレステロールの吸収を抑制する作用にも期待ができる。
まずはおさえておきたい犬への与え方
ナスニンが豊富に含まれている「皮」を活かす
ナスの栄養面で積極的に取り入れたいナスニン。
眼精疲労の回復や動脈硬化の予防に良しとされるナスニンをしっかり摂るためにも、皮ごと与えるのがベスト。
しかし、ナスの皮は硬いので皮は細かく刻むかミキサーでペースト状にするのが望ましい。胃の負担にもならず消化にも優しいのでおススメだ。
ナスニンを最大限に摂るなら「炒める」のが正解
ナスを切ったまま放置しておくと茶色く変色してしまうことはないだろうか。
これは、ナスに含まれる「アク」の働きによるもの。そのため、切ったらすぐに水にさらす場合が多いかと思う。
ところが、ナスニンは水溶性なので、水に浸けておくと流れ出てしまうのだ。
そのため、ナスニンを最大限に摂るなら油を使っての加熱調理がベスト。油で炒めることにより、アクを含んだ水分が出てくるので水にさらす必要がないうえ手間も省ける。
また、油を使って調理する場合は、動物性の油より、植物油(オリーブオイルやゴマ油など)を少量使って炒めるのがいいだろう。
炒める直前にカットして速攻で調理すれば、アクを気にせずにナスニンを無駄なく摂ることができてオススメだ。
食物アレルギーがないか様子をみよう!
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに
夏野菜の代表選手でもあるナス。今や1年中出回っているため入手しやすい野菜だ。
ナスの栄養を余すことなく得るためにも、ナスニンが多く含まれている皮ごと与えるのが正解。ひと昔前は、アク抜きのため水にさらすことが推奨されていたが、油で炒める場合は必ずしも必要ではない。
愛犬に与える際には、極力皮ごと与えるように心掛けて、ナス特有のナスニンを活かすよう心掛けよう。