【獣医師監修】犬は舞茸を食べても大丈夫?舞茸の優れたパワーとは!?

犬 舞茸
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かつては「幻のきのこ」と呼ばれるほど希少価値があり、見つけると踊りだしたくなるほど嬉しいことから「舞茸」と名が付けられた、という説があるほど、舞茸は松茸と並び最も採取しにくいきのこであった。

 

1990年代に菌床栽培がスタートして以来、今ではグッと身近な存在となった「舞茸」。その香りが良くシャキシャキとした食感は、天ぷらや炊き込みご飯、みそ汁、鍋物など、実に幅広いメニューに使える食材として定着している。

 

そんな、幻のきのこと呼ばれた舞茸。犬は毒キノコ以外であれば基本的には食べれると聞くのだが、実際にはどのような栄養が含まれているのだろうか?せっかく愛犬に与えるのだから気になるところだ。

ということで、今回は舞茸にスポットをあて栄養と効能、与え方のポイントなどを紹介していく。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

舞茸は犬の健康維持にはもってこいの食材

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舞茸で特に注目したいのは「βグルカン」と呼ばれる成分。このβグルカンは、きのこ類や酵母などに多く含まれる多糖類の一種であり、食物繊維の仲間とされる。

 

βグルカンは食物繊維の一種だが、免疫力を高めアレルギーの改善や予防効果、ガンに対する予防効果があると考えられている。βグルカンは1940年代に発見され、現在では椎茸に含まれるβグルカンの一種である「レンチナン」が抗ガン剤としても実用化されているほどだ。

しかも、舞茸に含まれるβグルカンはきのこ類の中でもトップクラスの含有量を含んでいる。

 

舞茸は他にも、循環系、消化器系、神経系などの働きをサポートするナイアシンをはじめ、ビタミンB1、B2、ビオチン(ビタミンB7)などのビタミンB群、カルシウムの吸収を助けるビタミンDといった健康成分なども幅広く含まれている。

実は、舞茸には見た目以上の優れたパワーが秘められていたのだ。

 

舞茸に含まれる犬に役立つ栄養と効能とは?

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MDフラクション

舞茸には、水溶性と不溶性の2種類の食物繊維が含まれており、不溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンから抽出されたのが「MDフラクション」と呼ばれる舞茸特有の成分。Mは舞茸の頭文字を意味する。

MDフラクションは細胞性免疫を活性化させる働きがあるほか、血管や血液系の生活習慣病の予防などの効果に注目されている。

 

ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素と言われており、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する働きがある。別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。

 

ビタミンB2 (リボフラビン)

糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。

別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚や被毛、爪などの細胞を作るためにも必要な成分と言われている。

 

ナイアシン

ビタミンB3とも呼ばれ、基本的には肉や魚に多く含まれている成分。
 
糖質、脂質、タンパク質の代謝に欠かせない。循環系、消化器系、神経系などの働きをサポートしてくれる。

 

ビタミンD

骨や歯の形成に必要なカルシウムやリンの吸収を助け、血中カルシウムの濃度をコントロールする働きがある。

 

まずは知っておきたい!舞茸の賢い与え方

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犬に与える際は「生」はダメ!食中毒の恐れも

舞茸をはじめとしたきのこ類のほとんどは加熱調理が必要である。「スーパーで買ってきたから安心」と思ってしまいがちだが、きのこ類は生で食べると食中毒になってしまう危険性があるのは知っておこう。

 

舞茸には、「シアン」という毒物が微量ながら含まれている。通常は微量であるため摂取後は体内で分解されるが、生食や加熱が不十分の舞茸をたくさん食べると、分解しきれず中毒を起こすと言われている。

 

レシピサイトなどで、生の舞茸を使ったレシピを見かけることもあるが生食は避けるのが無難だろう。愛犬に与える分だけではなく、飼い主さんが食べる分もしっかり加熱するようにしよう。

 

 

舞茸パワーはエキスごと摂るのがおススメ

舞茸に含まれるビオチンなどのビタミンB群は水溶性であるため、加熱調理すると成分が外に逃げやすい。

そのため、舞茸を茹でた後の「茹で汁」をフードなどに少々加えるのがおススメ。

加熱して外に出てしまった舞茸のエキスを加えることにより、無駄なく栄養を摂取することが可能になるのだ。

 

 

舞茸は食物繊維が豊富

きのこ類といえば食物繊維が豊富に含まれているが、舞茸も例外ではない。

舞茸の食物繊維は100gあたり2.7gと豊富に含まれているので、与え過ぎは消化不良を起こす場合もあることは覚えておこう。せっかく愛犬に与えるのだから、消化不良で下痢や嘔吐になっては元も子もない。

舞茸の栄養を効果的に摂取するためにも、与える量を上手にコントロールするのが重要なポイントだ。

 

調理の際は、石突き(おがくずの付いた根本の部分)を取り除くのはもちろん、1本づつバラバラにほぐして短く切るなど、犬が消化しやすい状態で与えるようにしよう。

 

 
 

食物アレルギーがないか様子を見守る

アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。

 

野生のきのこには近寄らせないようにしよう

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一般的にキノコの種類は6万種を超えると言われており、その中で食用になるのは、およそ200種類なのだとか。

みなさんも、公園や道端に自生する『野生のきのこ』を見かけることはないだろうか?

毎年、秋になるときのこによる食中毒のニュースを見るが、野生のきのこは、生育時期、場所などで形態が異なり、毒きのこ食用きのこかを見分けることは大変難しいとされている。

中には、独特の臭いがある「きのこ」もあるので、犬が間違えて食べないよう、野生きのこには近寄らせないよう要注意だ。

 

 

さいごに

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舞茸は1990年代に菌床栽培が普及し、今やスーパーなどで手軽な値段で手に入るようになったが、天然ものは今でも高級きのことしての価値が高い。たまに、道の駅などで原木栽培された舞茸を見かけるが、原木栽培された舞茸は天然ものに近い食感と味なのだという。

道の駅などで株のまま売られているチャンスがあれば、少々値は張るだろうが一度は味わってみたいものだ。

舞茸は、免疫力を高めガン予防効果が期待されているβグルカンをはじめ、様々なビタミンB群を含んでいることが分かった。

想像以上に栄養満点な舞茸。愛犬の健康にも是非活かしたい食材だ!

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