【獣医師監修】犬はひじきを食べても大丈夫?ひじき=鉄分はもう古い!?その栄養と効能

ひじき
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ひじき

おふくろの味の定番料理として、どこか懐かしさを感じる「ひじき」。その歴史は古く、はるか縄文時代から食されていたという。

ひじきは主に「芽ひじき」や「長ひじき」があるが、採取される部分で呼び名が違う。

ひじきの原藻の、枝葉部分を採取しやものが「芽ひじき」。細かいので「米ひじき」とも呼ばれ、食感が柔らかいのが特徴だ。

 

一方の長ひじきは、原藻の茎の部分を採取してものであり、別名「茎ひじき」ともいう。歯ごたえが特徴で煮物に適している。

 

そんなひじきは海の恵みをたっぷりと含み「ひじきをもっと食べて健康で長生きして下さい」という願いも込められ、9月15日(旧:敬老の日)は「ひじきの日」と制定されるほどだ。

 

今回はひじきにスポットをあて、犬との相性、栄養や効能について紹介していく。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

海の恵み「ひじき」は犬にとっても栄養たっぷり!

ひじき

ひじきには実に様々な栄養が豊富に含まれている。

まず、骨や歯の形成には欠かせないカルシウムだが、驚くことに牛乳の約12倍の含有量を誇る。また、腸内環境を整える食物繊維はごぼうの7倍、血液循環を正常に保つ働きのあるマグネシウムにいたってはアーモンドの2倍も含まれているのだから驚きだ!

 

他にも、鉄分、カリウム、ビタミンB2、さらに、目や皮膚の健康を保つビタミンA(レチノール当量)も含まれているため、目の健康や免疫力向上への意識を持つ飼い主さんには非常に嬉しい食品である。

 

これらの成分は犬にとっても必要な栄養素であるため、ひじきを犬に与えても問題ない。

 

ただし、カルシウムやマグネシウム、食物繊維は圧倒的な含有量を誇るため、摂りすぎは逆に犬の健康を損なう場合もあるようだ。

ひじきは栄養価が高いだけに「多めに食べさせてあげよう!」と思ってしいがち。だが、ここは心をひとつ鬼にして、与える量はほどほどにしておこう。

 

「ひじきといえば鉄分!」はもう古い!?

ひじき

もともとのひじきには、鉄分がそんなに多いわけではない。

ひと昔前は、「鉄分の王様」と言われ、鉄分の含有量が飛びぬけて多かったが、最近ではそれほど多くはない。では、なぜ昔はそんなに多かったのか?

 

それは、ひじきを加工する釜に「鉄釜」を利用していたから。最近では「ステンレス」の釜で加工されることが多いため、鉄分の量が減っているのだ。

鉄釜で長時間加工されたひじきの鉄分は、100gあたり58.2mgだが、ステンレス釜で加工されたひじきは、100gあたり6.2mgと、およそ9分の1まで減る。

 

もし、鉄分の摂取という観点でひじきを食べたい時は、鉄製の器具で調理するのもよしとされている。それほど凄い量を摂取できるわけではないが、気になる方は試してみてほしい。

 

ひじきに含まれる犬に役立つ栄養と効能

ひじき
 
カルシウム
 

骨や歯を作るのに必要な栄養素。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り食がメインの場合は、どうしてもカルシウムが不足しがちになってしまう。

しかも、犬の年齢に応じて必要量も変化するのだから、手作り派の方は意識して摂取したい成分

 

カリウム

ひじきにはカリウムも含まれており、100gあたり4400mgと超豊富。

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

 

食物繊維
 

ひじきに含まれる食物繊維量は100gあたり43gと、食物繊維を多く含むイメージのあるごぼうのなんと7倍!

便秘を予防する働きはもちろん、コレステロールの吸収を抑制する作用にも期待ができる。

しかし、超豊富なゆえ、与え過ぎは消化不良で下痢や嘔吐の原因にもなるので量には注意したい。

 

ビタミンB2 (リボフラビン)

糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。

別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要と言われている。

 

鉄分

鉄分は貧血予防や改善に効果的と言われている。鉄分は赤血球の中の「ヘモグロビン」を作るのに欠かせない材料である他にも、赤血球が酸素を運ぶ手助けをしてくれる大切な役割がある。
 
 
 
マグネシウム
 
血圧や体温調整、神経伝達には欠かせないミネラルのひとつ。
 
ひじきには、100gあたり620mgと豊富に含んでいるのが特徴である。
 
もちろん、過剰摂取は尿路結石を引き起こす要因にもなってしまうが、気にしすぎて摂取せずにいると欠乏症による神経障害や骨、血圧などに異常をきたす場合もある。
 
犬の健康維持には必要不可欠なマグネシウム。バランスよく摂取を心がけよう。
 
 

 

 

まずはおさえておきたい。ひじきの与え方

ひじき

鉄分を効率よく摂取するなら、肉か野菜を一緒に

鉄は主に、肉や魚に多く含まれている「ヘム鉄」と、ひじきのような海藻類や野菜に含まれる「非ヘム鉄」に分けられるのだが、非ヘム鉄のほうが消化吸収されにくい。

そのため、鉄分の吸収を促すタンパク質と一緒に与えるがベスト。肉などのタンパク質と一緒に食べることにより効率よく摂取できるのだ。

また、ビタミンCにも鉄分の吸収を促す働きがあるので、ピーマンやパセリなどビタミンCを多く含む野菜と一緒に与えるのもよい。

 

ひじきの戻し方

ひじきには「無ヒ素」と呼ばれる毒物が微量にも含まれている。

乾燥ひじきは、水に浸けて戻したものを調理するのが一般的だが、できれば30分以上は浸しておきたいところ。

その理由は、ひじきに含まれるヒ素は水に溶出しやすいからだ。

しかも、水戻し時間により溶け出すヒ素量も変化するといわれている。東京都の福祉保健局の調べによると、30分浸したひじきは34~36%ヒ素が溶け出し、60分後には68%もの量が溶け出すのだという。

愛犬に安心して与えるためにも、ぜひ試してみてほしい。

 

そもそも海藻類は消化に悪い

愛犬用には別にして、茹でる、炒めるなど、調理したものを与えると思うのだが、そもそもひじきは消化されにくい食材。人の場合はよく噛んで食べることはできるが、犬はよく噛まないで食べるので、そのままウンチと一緒に排便される場合が多い。

少しでも栄養が吸収されやすいよう、細かくしてから与えるようにしよう。

さいごに

ひじき

ひじきの旬は3~5月の春。

今や中国や韓国などで養殖された輸入品が主流になっているが、天然もののひじきは干潮時に天日や潮風にさらされ、厳しい環境のもと成長するため、コシがあって旨味も強いという。

また、地域によってもひじきの風味や加工方法も異なるので、いろいろな産地のひじきを味わってみるのも面白い。

ひじきには飛びぬけたミネラルや食物繊維が含まれていることが分かった。

水で戻してしまえば簡単に調理できて栄養豊富なひじき。摂りすぎには注意して、愛犬の食事にも活用しようではないか。

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