【獣医師監修】犬はブロッコリーを食べても大丈夫?賢い与え方

ブロッコリー
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ブロッコリー

ブロッコリーと言えば、カリフラワーとよく似た形状をしているが、実は先祖を辿っていくと、キャベツの野生種であるケールにたどり着く。

ケールを先祖に持つ植物は、カリフラワーやキャベツ、コールラビなどがあるが、キャベツのように植物の葉が重なり合って球のようにならず、花蕾(からい:花のつぼみ)が肥大したのがブロッコリーであるのだ。

 

そんなブロッコリー、実は1980年代頃から急速に人気が高まり、野菜として食卓に上がってからの歴史はまだ短い。人気のきっかけとなったのは、昭和57年(1982年)に『四訂日本食品標準成分表』が改訂され、その栄養価が評価されたことにある。

その豊富な栄養と食べやすさもあいまって、人気野菜に躍り出たブロッコリーではあるが、犬も安心して食べれるのだろうか。

今回は、そんなブロッコリーと犬の相性について紹介していこう。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

ブロッコリーは犬にとっても栄養満点!

ブロッコリーの栄養

まず驚くことに、ブロッコリーはビタミンの宝庫である。

ビタミンB群、ビタミンC、βカロテン、葉酸、パントテン酸など、野菜の中でも特に多くの栄養素をバランスよく含んでいるのが特徴なのである。

もちろん、これらの栄養素は犬にとっても必要であるため、犬にブロッコリーを与えても問題はない。

また、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラル類もバランスよく含まれているため、手作り食をメインにしている方には、まさにうってつけの食材といえるだろう。普段の食事にブロッコリーを添えるだけで、大幅に栄養バランスを改善することができる。

 

ドックフードをメインとして与えている方でも、トッピングやおやつなどにも上手に活用すれば、犬の健康維持・増進に大いに期待できる食材なのだ!

 

ブロッコリーに含まれる栄養と期待される効果

ブロッコリー

スルフォラファン

聞きなれない成分だが、ガンの抑制効果、動脈硬化予防、貧血などの改善が期待できる注目の成分である。主に、ブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトや、ブロッコリーを品種改良したスティックセニョールなどがスルフォラファンを多く含む。

 

βカロテン

βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防老化予防に効果的と言われている。しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つ。

 

ビタミンC
 
犬は体内でビタミンCを合成できるが、だからといって摂取しなくてもいいわけではない。年齢と共にその能力は低下するので長期的に摂取したい栄養素の一つ。
 
ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素なのである。
 
 
 

ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。

 

ビタミンB2 (リボフラビン)

糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。

別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要。

 

ナイアシン

ビタミンB3とも呼ばれ、基本的には肉や魚に多く含まれている成分。
 
糖質、脂質、タンパク質の代謝に欠かせない。循環系、消化器系、神経系などの働きをサポートしてくれる。
 
 
 
カルシウム

骨や歯を作るのに必要な栄養素。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り食がメインの場合は、どうしてもカルシウムが不足しがちになってしまう。

しかも、犬の年齢に応じて必要量も変化するのだから、手作り派の方は意識して摂取したい成分

 

カリウム

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

 

 

まずは与え方の基本をマスターしよう!

栄養を効果的に摂るなら「生」

ブロッコリー 生ブロッコリーはサッと茹でてから食べるのが一般的ではあるが、実は生で食べても甘みがあって美味い。

日本では茹でるのが当たり前だが、海外では生のまま食卓に添えられるほどだ。生食の場合はビタミンを効率よく摂取することができ、熱に弱いスルフォラファンも活かすことができる。

とはいえ、野菜の生食は犬にとっては消化が苦手である。そのため、硬い茎の部分は避けブロッコリーの花蕾部分を細かく刻んで与えるのがベターである。

 

消化に優しくするなら「茹でる」

ブロッコリー 茹でる調理する際に意識したいのは、加熱するとスルフォラファンが生成されにくくなる点である。他にも水溶性のビタミンCなども熱には弱く加熱すると外へ逃げてしまう。

ブロッコリーは茹でる場合が多いと思うが、2分程度を目安に加熱しよう。

また、低温で蒸すのもおススメ。ゆっくり加熱することにより甘みがより引き出されるので、是非お試しを。

 

犬に与える前に知っておきたい2つのポイント

ブロッコリー

甲状腺に疾患のある犬は念のため注意

甲状腺は、甲状腺ホルモンという代謝を促すのに大切な物質を作って血液中に流してくれる重要な器官。

ブロッコリーのようなアブラナ科の野菜には「ゴイトロゲン」という成分が含まれており、甲状腺ホルモンをつくるのに必要な「ヨウ素」の吸収を妨げると言われている。

健康な犬であれば特に神経質になる必要もないが、もともと甲状腺に疾患のある犬は念のために注意する必要があるだろう。

 

食物アレルギーがないか様子を見守ろう

アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。

 

さいごに

ブロッコリー

ブロッコリーはつぼみの集まりを食べる「花野菜」の一種。

それゆえ、栄養がギュっと詰まった野菜と言えるだろう。今や年中手に入る野菜ではあるが、旬は11月~3月頃となる。やはり、旬のブロッコリーは美味い!

調理も難しいテクを必要とはしない食材のため、サッと調理できる便利さも兼ね備えている。

 

愛犬の健康効果も望めるブロッコリー。与え方をしっかりマスターして是非活用したいものだ。

 

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