【獣医師監修】犬はアスパラガスを食べても大丈夫?栄養たっぷりで美味しい!

アスパラガス
Pocket

アスパラガス

1回植えると10年は収穫できる野菜、アスパラガス。

サラダや炒め物、スープなど、どんな料理にも合う便利な野菜だ。

その細めの外見から、アスパラガスにはあまり栄養がないように思う人もいることだろう。しかし、実は他の食べ物ではあまり摂ることのできない栄養素を含んだ優良食材でもあるのだ。

とはいえ、犬に与えても同様の効果が期待できるのか知っておきたいところ。

今回は疲労回復やスタミナ増強の効果が高いアスパラガスにスポットをあて、栄養や効能、与え方のポイントなどを紹介していく。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

犬にアスパラガスを与えても大丈夫?

アスパラガス

結論から先に言えば、アスパラガスを犬に与えても問題はないが、生ではなく茹でてから与えるようにしたい。

その一番の理由は、犬は野菜の消化をあまり得意としていないからだ。

犬は肉食よりの雑食動物なため野菜の消化はあまり得意とはしない。消化器官も人とは異なるのだから、消化にいいよう柔らかくなるまで茹でるか、細かく切り刻んだものを与えるようにしよう。

 

一方、アスパラガスの旬は春。春野菜といえば独特の苦み成分の元でもある植物性アルカロイドという成分も含まれている。

これ自体は、腎臓の濾過機能を向上させ、老廃物を体の外に出してくれる解毒作用の働きや、新陳代謝を促進する働きがあるのだが、食べ過ぎてしまうと下痢などお腹を壊す原因になってしまうので注意したい。

 

また、アスパラガスはユリ科に属するため「硫化アリル」が含まれており危険だという情報もあるが、厳密にいえばユリ科ではなく、キジカクシ科に属している。

ひと昔前はユリ科に含まれていたが、1998年に公表された被子植物の分類体系(APG植物分類体系)では、キジカクシ科に属すとされている。つまり、多くのユリ科植物に含まれる危険物質「硫化アリル」はアスパラガスには含まれていないということだ。

 

アスパラガスに含まれる栄養と効能

アスパラガス

アスパラガスの約90%は水分でできており、炭水化物、たんぱく質、脂質などの3大栄養素もあまり含まれていない。

しかし、ビタミンやミネラル分は豊富で、他の食べ物には無いような栄養素が含まれているのだ。

しかも、アスパラガス100gあたりのエネルギーは22kcal、1本あたりで換算すると約5kcalと低カロリーな食材である。

 

アスパラギン酸

アスパラギン酸はアミノ酸の一種。体内のタンパク質の合成をサポートする働きや、代謝を活発にし疲労回復を助ける効果が期待できる。

 

ルチン

血管を強化して毛細血管を丈夫にし、高血圧や動脈硬化を予防する働きが期待できる。

また、有害な活性酸素を除去する抗酸化作用や利尿作用もある。

 

葉酸

ビタミンB群の一つで、血管を丈夫にし、貧血予防、動脈硬化予防に効果があるとされる。

また、葉酸は水溶性(水で溶けやすい性質)で、熱にも弱い。そのため「茹で汁」まで与えるレシピが有効だ。

 

βカロテン

βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防老化予防に効果的と言われている。

しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つでもある。

 

カリウム

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

 

上記の他にもビタミンC、E、B群などが含まれている。アスパラガスはとても栄養価が高い野菜だと言えるだろう。

 

 

アスパラガスの上手な与え方

アスパラガスを食べて、固かったり、皮の繊維が噛み切れなかったりした経験はないだろうか。

愛犬に美味しく食べさせるには、茹で時間と準備にちょっとしたコツがいる。ここでは、その方法について紹介しよう。

 

アスパラガスの下ごしらえ

アスパラガスまず、水洗いをした後、固い部分を取り除いていくのだが、アスパラガスの根元から1cm程度切り落とそう。

次に、アスパラガスの茎の部分をよく見ると褐色の三角形があると思う。

これを「ハカマ」というのだが、この部分は苦みがあるので、包丁やピーラーで削ぎ取ろう。ハカマは取らなくても食べられるが、根元に近くなるにつれて固くなるため犬に与えるなら取り除くのが望ましい。

また、皮むきもそうだが、根元に近い部分ほど固くて食べにくいため、あらかじめ取り除いたものを与えよう。

 

茹で時間

アスパラガス下ごしらえが済んだらアスパラガスを茹でていくのだが、アスパラガスは先端にいくほど柔らかい食材。そのため根元から茹でて行くのがベスト。

根元部分を30秒ほど茹でたら、倒すように全部を入れる。1~2分で茹で上がるが、途中でアスパラガスの向きを返してやると、ムラなく火が通り固さが均一になるのでお試しを。

茹であがったら犬が消化しやすいサイズに刻めば完成だ!

 

さいごに

アスパラガス

旬は春から初夏だが、輸入物は一年中手に入るため、今やスーパーでもお馴染みの食材となったアスパラガス。

栄養も豊富に含まれており、そのうえ火の通りも早いため調理も簡単だ。

愛犬とアスパラガスを美味しく食べるには、下ごしらえと茹で時間がポイントになってくる。固い部分とハカマを取り除き、適度に皮をむくことで筋っぽさがなくなり食べやすくなるのだ。

一見、面倒と思われがちだが難しいテクは必要としない。ぜひ、ひと手間かけて愛犬と美味しくいただこう。

こちらの記事もCheck! 犬は小豆(あずき)を食べても大丈夫?意外にも低カロリー!?その栄養と効能