塩分の摂り過ぎは、私たち人間や犬にとっても健康維持のために気を付けておきたいものだ。
塩分の過剰摂取になりやすい食品はさまざまだが、その中でも気を付けたいもののひとつがベーコン。肉を加工した食品であるため、犬も食べられるかも…と思ってしまいがちだが、与えてもいいものだろうか。
そこで、ベーコンの気になる塩分量や、犬が一日に必要とする塩分摂取量はどのくらい必要なのか調べてみた。
ベーコンの塩分量
まずは簡単にベーコンの製造過程から解説しよう。
ベーコンには豚バラ肉や豚肩肉などが使用されることが多いが、まずは成型した豚肉を塩に漬け込むところから始まる。
すでにこの段階で豚肉が多量の塩分を含むことになるのだが、そのままでは塩辛くてとても食べれる状態でないため、塩抜きし適度な塩分濃度に仕上げる。それから乾燥→燻製という工程を経て、ベーコンが出来上がるというわけだ。
次に気になる塩分量だが、ベーコンのような食肉加工品は、塩漬けや調味料として塩を使っていることも多いため、比較的塩分の高い食品に分類されている。
実際にベーコン100g当たりの塩分含有量は、およそ2g~2.5gほどと多く、これはかなりしょぱい方だ。
ちなみに、なぜ塩漬けする必要があるかというと、味付けのためという理由以外にも、食材の生臭さをなくし、水分を抜くといった理由もあるから。水分を抜くことにより微生物が繁殖しにくくなるといったメリットもあるようだ。
犬が1日に必要とする塩分量は?
犬にはどの程度の塩分が1日に必要なのだろうか?
犬の身体が必要とする1日のナトリウム摂取量は、体重1㎏あたり50mgと言われている。
これを塩分に換算してみると、体重1㎏あたりで0.127gとなる。例えば体重10㎏の犬では1.27gが適量ということになる。
前項でも説明の通り、ベーコン100g当たりの塩分含有量は、およそ2g~2.5g程度。これを1枚あたりにしてみると約20gで0.4gほどになる。つまり、ベーコン1枚でも体重10㎏の犬で1日に必要な塩分の約3分の1は摂れてしまうのだ。
そのため、塩分量で考えると、与えるには注意すべき食品のひとつと言えるだろう。
ついでに人間の場合はどうなのか。厚生労働省の発表によると、成人男性の1日あたりの塩分摂取量の推奨値は6g未満とされている。
こうして考えると、塩漬けという工程を経て作られるベーコンは、人や犬にとっても塩分の摂り過ぎになりやすい食品であることは間違いないだろう。
食塩相当量を知る方法
パッケージに記載されている栄養成分表示をよく見てみると、「食塩相当量」や「ナトリウム」などと記載されてはいないだろうか。
食塩相当量は何となく意味は分かっても、ナトリウムと言われると正確には分からない…といった人もいるだろう。
簡単に言えば、食塩相当量とは、食品に含まれている「ナトリウム量」を「食塩の量」に換算した値。ベーコンに限らず、特に人が食べて塩味が強いと感じる食品はパッケージを確認してみるといいだろう。
参考までに、食塩相当量の計算式は次の通りだ。
ナトリウム(mg) × 2.54 ÷ 1000 = 食塩相当量(g)
この変換式に当てはめれば、ナトリウム量から食塩相当量を割り出すことが可能に。もし、ナトリウムがmgではなく「g(グラム)」表示になっている場合は、単純に2.54倍すればOKだ。
犬にも塩分は必要!
犬を飼い始めた時に必ず耳にするのが「犬に塩分は不要」という言葉。
愛犬家の中には、犬に塩分は不要だと強く思っている方も多いのではないだろうか。
しかし、犬にとっても塩分は生きていくうえでも必要不可欠な成分である。そのため、犬に塩分は必要ないという姿勢や解釈は間違え。「犬に塩分は不要」ではなく「人間よりも塩分は少なくて大丈夫」というだけなのだ。
では、なぜ塩分がダメと言われてきたのか、その背景にはドックフードの存在があるからだろう。実はドックフードには十分すぎるくらいの塩分が含まれているのだが、それ以上に摂取してしまうと過剰になるため、犬には塩分を与えない方が良いという強いイメージがついてしまったのではないだろうか。
もちろん塩分の摂りすぎは体に良くないが、最近では手作り食を与えてる飼い主さんも増えている。
塩分不足時に見せる習性として、人の手をよく舐めたり、足裏をよく舐める、陰部をよく舐めるといった行動をとる場合があるとも言われている。
なんとなくのイメージで「犬に塩分は与えない方が良い」と考えて、偏った手作りご飯を与えている人もいるかもしれない。手作りご飯で塩分を考えていなかったという人は、少し注意して観察してみるのもいいだろう。
塩分だけではなく「添加物」のことも考えよう
WHO(世界保健機関)によると、ベーコンをはじめとしたハムやソーセージなどの加工肉を1日に50g食べていると、死ぬまでに大腸がんにかかる確率が18%上がると言われている。
これは、研究者が加工肉に発がん性(とくに大腸がん)があると十分な根拠をもって結論づけたということになる。
本来こうした加工肉は腐りやすい肉を長期保存するために、燻製、塩漬けにしていたのだが、今では大量生産のため味や形を整えたり、発色を良くするために食品添加物や化学調味料が使用されているのだ。
なお、発がん性が指摘される添加物としては以下の通り。
- ソルビン酸K・・・細菌やカビの発生・増殖を抑える働きがあるため、腐敗防止、つまり保存料という名でよく使用されている。単体でも危険性があると言われているが、他の食品添加物との組み合わせにより発がん性が指摘されている。特に、亜硝酸との組み合わせが危険視されており、ベーコン、ハムといった加工肉には両方含まれていることがあるという。
- リン酸塩・・・原料である肉の水分を保つ効果から、柔らかい食感・歯ざわりを保つために使用される。腎臓病などの病気がある場合はリンの摂取量は問題となる。
- 発色剤・・・亜硝酸Na、亜硝酸K、硝酸Kなど、肉類の色を鮮やかに見せる目的で添加される。加熱、酸化による褐色化を防ぐために使用されている。
こうして見ると、塩分だけではなく食品添加物にも注意が必要なのかもしれない。
よく、人間の食べ物は犬に与えない方が良い、と聞くのはこうした理由があるからではないだろうか。
結論
ベーコンは下茹ですることで、多少なりとも中の塩分を減らすことができる。
また、食品添加物もそれと同時にお湯に溶け出し減らすことができるという。しかも、茹でてから使用すれば余分な脂肪も抜けるため、ヘルシーに食べることができるだろう。
ただ、これは人間にとってはおすすめな食べ方のひとつであるが、犬の場合はそこまでして与えるべき食材なのかは考えもの。
ベーコンは手軽で便利だが、愛犬には他の食材を選んであげたほうが良さそうだ。
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