別名「はじかみ」、英語では「ジャパニーズペッパー」とも呼ばれる山椒は、日本で古くから使われる和のスパイスだ。
目が覚めるような辛味と爽やかな香りが特徴で、薬味として重宝されてきた。料理においては、うなぎにかけて食べることでもお馴染みの「粉山椒」をはじめ、たけのこご飯や和食に彩りを添える「木の芽」など、山椒は実だけではなく、芽や花、樹皮や樹木にいたるまで、余すところなく使える有能なスパイスなのだ。
また、山椒には脂っぽさを抑える効果があり、うなぎや焼き鳥との相性も抜群。料理のアクセントとしても最適である。ただ、そうなってくると、犬にも与えていいのかな…と考えてしまう飼い主さんもいるだろう。
そこで今回は、山椒について深くリサーチ。山椒にはどんな成分が含まれてるのか、与えることはできるのか調べてみた。
山椒の成分
漢方に使われる山椒
山椒はスパイスだけではなく、漢方としても用いられてきた。
現在でも、冷えやお腹の調子を整える漢方薬方剤の一種、大建中湯などに使われている。山椒に含まれているサンショオールは、鎮痛、抗菌作用などの効果が期待できるとされており、生薬のひとつにも数えられている。
ビタミン類が豊富
山椒にはたくさんのビタミンが含まれている。それが、ビタミンA・C・B1・B2だ。
ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つであるほか、皮膚や被毛の健康を保つなどの効果もある。
また、ビタミンCは活性酸素を無毒化する抗酸化作用があり、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるのに一役買ってくれる。犬は体内でビタミンCを合成できるが、年齢と共にその能力は低下するので、長期的に摂取したい栄養素でもある。
さらに、ビタミンB1、B2は疲労回復や脳の神経の機能を維持したり、栄養の代謝を助け成長を促したりする働きがある。
山椒は、スパイスとしてふりかけるのは少量ではあるが、意外にもたくさんの栄養が詰まっているのだ。
山椒の辛味成分
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」ということわざがあるように、しびれるような辛味と爽快な香りを持っている。
別名「はじかみ」とも言われる理由は、「はじ=実がはじけること」、「かみ=辛い」という意味合いから、はじかみという古名がつけられたほど。
山椒の辛味成分はアミド化合物、サンショールなのだが、実はこれらの成分は唐辛子や胡椒の辛味成分と同じ種類だ。
特に、ちりめん山椒や佃煮などでお馴染みの「青山椒」の実を噛むと、ただ辛いだけではなく舌がピリピリと痺れることがあるが、これはサンショールに麻痺(局所麻酔)作用があるから。中国漢方では、この成分が胃腸を刺激し、機能を亢進させるため様々な処方薬にも使われてきたようだ。
犬に山椒は刺激が強すぎる
山椒は漢方として使われるなど、少量でもたくさんの栄養素が詰まっているため、愛犬にとっても体に良さそうなイメージがある。
しかし、山椒は胃腸を刺激する作用が強い。刺激が強すぎるものを与えて、胃腸に負担がかかれば腹痛を起こす原因にもなってしまう。
このように、内臓への負担になるリスクを考えると、犬に山椒を与えることは避けた方が無難だと言える。
もし、与えるつもりはなくても、犬が誤って山椒を口にした場合、少量であればしばらく様子を見よう。下痢や嘔吐、食欲不振といった気になる症状が出る場合は、かかりつけの獣医師へ相談しよう。
「木の芽」は与えられる?
料理に彩りを添えるものとして欠かせない木の芽は、山椒の若葉、新芽のこと。
手のひらでさっと叩いて料理に載せれば、春の息吹を感じさせてくれるだろう。しかし、木の芽にも辛味成分であるサンショールが含まれている。また、苦みもあるため、犬には積極的に与えない方が良いだろう。
さいごに
山椒と言えば、みなさんは何に使うことが多いだろうか。
定番のうなぎにふりかける以外にも、佃煮、脂っこいステーキや和え物、酢の物、煮物のアクセントなど使い方は色々あるが、もっと身近なもので言えば七味唐辛子がそれにあたるだろう。
七味唐辛子は7つの薬味が使われているが、実際に使われている代表的な薬味は、唐辛子、山椒、麻の実(おのみ)、芥子の実(けしのみ)、黒胡麻、生姜、陳皮(ちんぴ)、紫蘇(しそ)、青海苔などである。
あまり使うことはないと思っていた人でも、山椒は私たちの身近なところにあるスパイスだったのだ。
薬味として重宝する山椒だが、愛犬と一緒に楽しむのはやめたほうが良さそうだ。
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