江戸時代、現在の東京江戸川区小松川付近で栽培されていたことから、その名がついた「小松菜」。
今や通年通して手に入るが、もともとの旬は冬。本来寒い冬に採れる野菜だったので「冬菜」「雪菜」などとも呼ばれている。
小松菜といえば、一見、ほうれん草と見た目が似ているが、鉄分やカルシウムに関しては小松菜のほうが優れているのはご存知だろうか。
しかも、ほうれん草よりアクが少なく、用途的にも同じように使えるので、愛犬ごはんのレパートリーにも加えてみたい食材のひとつだ。
ここでは、小松菜の栄養や効能、与える際の注意点などについて紹介していく。
小松菜の鉄分とカルシウムは、ほうれん草よりも高い!
野菜の中で鉄分と言えばほうれん草というイメージが強いが、小松菜と比べると含有量はどの位違うのだろう。
ほうれん草と小松菜で、その量を比較してみよう。参考までに、カルシウムの数値も上げておく。
鉄分 | カルシウム | |
ほうれん草(葉/通年平均/生) | 2.0mg | 49mg |
小松菜(葉/生) | 2.8mg | 170mg |
(※引用:日本食品標準成分表2015年版(七訂)いずれも100gあたりの数値)
こうして見ると、今まで「ほうれん草と言えば鉄分」というイメージが覆るほどの鉄分が含まれていることが分かる。また、カルシウムにいたっては、ほうれん草の3倍以上含まれているから驚きだ!
小松菜の栄養と効能
鉄分
鉄分が不足すると貧血になることは多くの人が知っているだろう。
鉄分は貧血予防や改善に効果的と言われている。鉄分は赤血球の中の「ヘモグロビン」を作るのに欠かせない材料である他にも、赤血球が酸素を運ぶ手助けをしてくれる大切な役割がある。
カルシウム
カルシウムは骨や歯を作るのに必要な栄養素。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り食がメインの場合は、どうしてもカルシウムが不足しがちになってしまう。
しかも、犬の年齢に応じて必要量も変化するのだから、手作り派の方は意識して摂取したい成分。
βカロテン
βカロテンが豊富に含まれているのも、小松菜の魅力のひとつだ。
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。
しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つでもある。
ビタミンC
犬は体内でビタミンCを合成できるが、だからといって摂取しなくてもいいわけではない。年齢と共にその能力は低下するので長期的に摂取したい栄養素の一つなのだ。
ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素なのである。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
小松菜を与える前に知っておきたい3つのポイント
小松菜は茹でてから与えるのが正解
小松菜には若干ながらもシュウ酸が含まれているのは知っておきたいところ。
シュウ酸の摂取はシュウ酸カルシウム尿石症の原因にもなってしまうため注意が必要だ。
まずは、どの程度含まれているのか、他の葉物野菜とで比較してみよう。
小松菜 | 約50mg |
春菊 | 約30mg |
ほうれん草 | 約770mg |
(※いずれも100gあたりのシュウ酸の数値)
やはり想像通り、ほうれん草は圧倒的な数値を誇る。
一方、小松菜に含まれるシュウ酸はほうれん草に比べると少ないことが分かる。
とはいえ、何はなくともできるだけ愛犬には摂取させたくないところ。
そのため、小松菜を愛犬に与える際には茹でてから与えるのが正解。
シュウ酸は水溶性。茹でることにより、その量を減らすことができるのだ。
甲状腺に疾患のある犬は念のため注意
甲状腺は、甲状腺ホルモンという代謝を促すのに大切な物質を作って血液中に流してくれる重要な器官。
小松菜のようなアブラナ科の野菜には「ゴイトロゲン」という成分が含まれており、甲状腺ホルモンをつくるのに必要な「ヨウ素」の吸収を妨げると言われている。
健康な犬であれば特に神経質になる必要もないが、もともと甲状腺に疾患のある犬は念のために注意する必要があるだろう。
小松菜は日持ちが悪い
当然のことながら、愛犬には鮮度の良いものを与えたい。
そのため、購入する時は以下のポイントをおさえておこう。
- 葉が鮮やかな緑色をしているもの。
- 葉が肉厚で内側に丸まっているもの。
- 茎にハリがあるもの。
逆に、茎が長いもの、葉脈が発達しすぎているのは育ち過ぎのサインで、食べた時に硬く歯ざわりが悪いこともある。
また、葉の端が黄色くなっているものは、ビタミンCが落ちてる証拠。腐ってはいないので食べても大丈夫だが避けた方が無難だ。
さいごに
小松菜は寒さに強く、雪の下でもその鮮やかな緑色を保ち枯れない野菜だ。
旬を迎える冬の季節では、霜にあたると葉は柔らかくなり、厚みもでてみずみずしくなってくる。また、この時期のものはアクが抜けてより一層甘味が増すといわれている。
今や各地でハウスなども含め通年出荷されている小松菜。手に入れやすい野菜なので、ぜひ愛犬ごはんにも取り入れてみよう。